皆さんにも共感していただけるかなぁと思いますが、友人、彼や彼女と行楽地などへ車で出かけける際に、長い移動時間の車中でお気に入りのアーティストやテープ、MD等に編集した独自プレイリストの楽曲を聴いていて、行きはテンションが上がっても帰りは疲れからか、音楽が心地良くない、聴きたくない、という感じになることってありませんでしたか?昔は今と違ってサブスクなんてないわけですから、車の中に積んでいる音源は限られ結果的に同じものを繰り返し聞く事になるわけですが、飽きてしまいもう全く聴きたくないという感じになることって誰でもあると思います。美味しいものを食べてもお腹いっぱいの感じに近いのでしょうか。
脳には「報酬系」と呼ばれるシステムがあり、新しい体験や好奇心を引き起こすものに触れると、この報酬系が活性化してドーパミン(快感ややる気に関連する物質)が分泌されます。ですが、同じ音楽を何度も聴くと、この報酬系の活動が低下し、刺激が減少します。結果として、脳が「退屈だ」「飽きた」と感じるようになり、逆にエネルギーを消耗してしまうのです。脳は繰り返しのパターンや予測可能なものに対して「慣れ(順応)」を起こしやすく、特に音楽のような感覚的な刺激に対しては、新しい体験や発見がないと、脳の活性化が低下してしまいます。この状態になると、興味を感じづらくなり、精神的に「重い」「つまらない」といった感覚が出てくることがあります。
そしてもう一つ、これは私だけの感覚なのかもしれませんが、「好きな曲をずっと聴いていると脳が疲れる」という現象があります。前述の脳は刺激が無いと逆に疲労するという話とちょっと矛盾するようですが、以下のような背景があると考えられます。
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感情の活発化
好きな音楽を聴くと、感情が高まることで脳の働きが活発になります。感情が動くと脳内の「ドーパミン」や「セロトニン」といった神経伝達物質が活発に分泌され、快感を得られる反面、神経が刺激され続けることで疲労感につながる場合があるのでは? -
注意と集中の消耗
好きな曲はどうしても注意を向けがちです。ギターのフレーズやリズム隊の一音一音を意識して聴こうとするため、脳は「選択的注意」を働かせて曲の細部に集中します。この集中が長時間続くと、脳のエネルギーが消費され、結果的に疲れやすくなるのでは?例えば私はオールドスクールなロックが好きな反面、コンテンポラリーなブラックミュージックのR&Bやソウルのジャンルはどうしても精製された無味無臭の音楽の様に感じてしまい、興味を惹かれず(実はそんなに聴いていないので語れないが)疎いのですが、それらの音楽では脳が疲れないように感じます。それは興味のない音楽は脳にとって「バックグラウンドの音」として処理されやすく、エネルギーの消費が少ないのでは?というのが私の仮説です。特にブラックコンテンポラリーのような音楽は私にとっては軽快なリズムや洗練されたメロディ、編曲でシンガーの歌も技術的に非常に高く、耳にそれなりに心地よく感じる事は確かであり、興味も無いが不快な要素も無いという感じです。興味が無いので特定の印象的な音やフレーズだけがフックとして残り、それ以外の時間は意識を強く引かれることなく脳内を通り過ぎていくため、ある種の「メディテーション状態」に入っているのかもしれません。脳が余計な思考を手放し、音をただ感じることができるため、脳疲労の癒しに繋がっているのでは?と私は考えました。
ただこれは私の様な音楽の趣味趣向の人間だから起きる現象であり、コンテンポラリーなブラックミュージックが大好きであったり英語がネイティブなみに堪能で歌詞の意味が頭に入ってくるような方にはあてはまらないと思います。また興味も無いし嫌いでもある音楽だと違うと思います。要はコンテンポラリーブラックミュージックだろうが、フュージョンだろうがクラシックだろうが何でも良いのですが、本人にとって興味が無く感情を揺さぶられない、且つ不快でない音が脳の癒しには良いのでは?というのが私の考えであります。

