アレックスと付き合い始めて半年くらい経った頃でしょうか。平日も会うことが多くなり、出会った頃のぎこちなさや新鮮さはなくなった一方で、性についてもオープンに話すようになりました。


そんなある日、私が日本でよく行っていた新宿2丁目の話をしたら、こちらにもLGBTが集まる街があるようだから一緒に行ってみよう、とアレックスが提案してきました。私も興味があったので、即OKしました。


そしてその週末、2人でその街(丘の上の街)に一緒に行ってみました。街には普通のレストランやバーが立ち並び、新宿2丁目とはだいぶ雰囲気が違うなぁというのが第一印象でした。私がその街のディープな場所を知らなかったから、そう感じただけかもしれませんが…


その頃の私は、彼と会う時、週末も含めあまりメイクもしなくなり、だいたい中性っぽい程度の格好でした。その街で彼と歩いた時には時々腕を組んだり手を繋いだので、傍からみるとゲイカップルに見えるような感じだったと思います。


メキシカンレストランで食べたあと、現地のゲイバーに入りました。私が想像していたものと全く違い、本当に普通のアメリカのバーという感じでした。ただ、お客さんの多くはLGBT当事者か理解者というだけで…


アレックスと仲良くビールを飲んでいたら、アレックスと同年代、二十代なかばっぽい白人の若者ルイスに話しかけられ、一緒に飲み始めました。


ルイスは長めの金髪、碧眼、私と同じくらいの背丈、ガッチリ体型で、声が少しダミ声でした。私は男性が性対象ですが、もともと白人に興味がないだけでなく、ガッチリ体型やダミ声はあまり好きではないので、ルイスにはあまり良い印象は持ちませんでした。


私たちがゲイのカップルであることを教えたら、ルイスもゲイであり、今パートナーを探しているところだと言っていました。何となく良い印象を持てなかったルイスに私は早く立ち去って欲しかったのですが、アレックスは同年代の気やすさか、笑顔を交えてフレンドリーに話し、携帯電話番号すら交換していました。しかも、スラング混じりの早口のネイティブ英会話だったので、何を話しているのか、私にはあまり聞き取れず…


嫉妬も感じたので、私は少し機嫌が悪くなり黙りこんでしまいました。アレックスはそれを察知したのか、そこで切り上げようと言い、帰ることにしました。


帰りのトラム電車の中でアレックスは、丘の上の街はどうだった?と聞いてきたので、日本と雰囲気が違うこと、途中までは楽しかったこと、ルイスはちょっと苦手、などと答えました。


アレックスは、ルイスに妬いているの?と聞いてきましたが、実際、嫉妬も感じたので、正直に頷きました。


アレックスの家に着いてから、僕のこと、そんなに思ってくれてるんだ、嬉しいよ、とアレックスがキスしてハグしてくれました。そして、その晩は久しぶりに激しく愛し合いました。


たまには嫉妬を感じるような刺激があった方が燃えるんだ、と感じながら…♡