5月なかば、アレックスとまた食事することになりました。単なる男同士の知り合いとして会っていましたが、2人だけで会うのは3回目です。現れた彼のクールな姿とキュートな笑顔が眩しく感じられました…アメリカ転勤で恋人Yさんと離れ9ヶ月近く経ち、心も身体も新たなパートナーを求め始めていたのかもしれません。


今回の食事でも、アレックスと一緒に行くアニメフェスティバルのコスプレの話になりました。私は女装して行きたかったのですが、当日までアレックスに女装することは知られたくなかったので、結局、お互いテーマを決めず、当日のお楽しみで、と提案したら、彼もその方が良かったらしく、すぐにOKと言ってきました。彼はもうコスチュームを決めているような気がしました。


その日、コスチュームの話はそれで終わり、当日の行き方や着替えの方法などの話になりました。当日はアレックスが私の家に車で迎えに来てくれるとのこと。一時間ちょっとで会場に行けるので、お互い家で仮装を済ませてから行こう、ということになりました。


アニフェスに行く段取りがだいたい決まったので、その日はショッピングモールを2人で少しブラついて帰りました。帰り際にアレックスが、僕のためにこんなに時間使ってくれて本当にありがとう、と言ってきたので、どう致しまして、私だってアニメエクスポに行くのをとても楽しみにしてるから、と返しました。


そして別れ際に握手してくるのかな、と思っていたら、彼は私を軽くハグしてきました。予想外だったので驚きましたが、その時、私の心が揺れたことは間違いありません。一方で、この子、もしかしたらゲイかも、と私のセンサーが一瞬反応しました…


家に帰って、最近のことをYさんにメールで知らせました。Yさんは、相変わらず優しく受け止めつつ、アメリカに何年か住むなんて、そうそうあることじゃないから公私ともに楽しんできて、という返事でした。


本当はYさんが側にいてくれたら私はそれだけで良いのに、とずっと思っていたので、その返信には寂しく思いましたが…


でも、Yさんがそう仰ってくれるなら、アメリカ滞在中はもう少し楽しもうとも思い始めました。