` 前回の記事からかなり時間が経った理由は専ら自分の体調にある。

 兎に角視力が悪くなり、新聞記事すら拡大鏡無では見ることが出来なくなったからである。そのせいか思考力も衰えを感じ、ブログの記事を書き連ねることへの自信も無い。

 

 そんな中でも思考力を維持することへの切羽詰まった思いやら、このまま脳軟化に陥ってしまうことへの不安もあり、ブログを続ける気持ちが湧いて来たのである。

 

 さて菅新総理が誕生し政界は新総理を中心に動き出した。

 

  日本のリーダーとして全く未知数だった菅総理だが、幾らか片鱗を見せ始めたこともある。ただ菅総理として明らかに誤算だったと思われることは日本学術会議が推薦したメンバーの中の6人を菅総理が承認しなかったことで連日マスコミの餌食にされたことである。

 承認されなか6人の学者は、過去に集団的自衛権の合法化に反対の立場を表明した等の何らかの政治的言動を採ったことへの報復と取れたからだ。その後推薦名簿には99名しか載せられていなくて、6名が最初から除外されていたとか、105名の名簿は添付されてはいたが見なかったとか、色んな情報が漏れ出て来て可笑しなことになってしまっている。それも総理のベトナム・インドネシア訪問で有耶無耶になりマスコミも深追いしなくなった。

そもそも日本学術会議が`設立された当初の目的は、学者が国家の軍事研究に利用され戦争に加担したことへの反省からだと言う。

 それが何故、政府から10億円もの資金援助を受けることになったのか疑問が残る。しかも日本学術会議は内閣総理大臣の管轄下にあると定款に記されている。形の上では学問が行政(政治)の下にあるとされている。これでは日本学術会議側から文句を言う資格も無く、菅総理に良い様に言われても反論の仕様が無い。

 何故早くから学問の自由の為に政治から独立した組織を創らなかったかと言われても仕方がない。

 もっと勘繰るなら、日本の学問研究は所詮政府の補助金を当てにした官製学問に過ぎないものだったのだ。特に国立大学の研究室は政府の顔色を窺いながら、実用一点張りの研究に重点が置かれ、基礎研究は二の次となっている現状がある。こんなことだから優秀な学者たちは日本を離れアメリカやヨーロッパの大学へ流出してしまうのだ。

 先ごろ成長戦略会議なるものを菅総理の鳴り物入りで立ち上げた。 何とその中に竹中平蔵氏が居た。今の肩書は東洋大学教授であり、パソナ会長が主なもので、正直今の彼は何物なのかすら定かでない。何故今更慶応大学名誉教授を名乗るのか解からない。

 そもそも彼が小泉内閣時代の遺物であることは誰もが知るところである。小泉総理に尻を叩かれ郵政民営化を進めたことだけが実績として残るが、結局かれがやりたかったことは、派遣業法の改悪によって非正規労働者と正規労働者の二極構造を定着させ、非正規労働者の賃金を抑えることで人件費コストを抑えることだった。

 竹中氏が当時盛んに口にしていた有名な言葉が有る。

 <トリクルダウン>である。

聞き慣れない言葉を使い煙に巻く人だ思いながら、マスコミに顔を出すごとにトリクルダウンを使うので、何となく耳慣れて来て、彼の主張するところの、

成長企業が一層成長することで、やがてその富が下層部に滴り落ちて全体が豊かになる

という理論が正しいものだと国民は思い込まされてしまった。

 しかし、下層階級は何時まで経っても富の恩恵に預かることなく今日に至っている。その間に、持てる者は益々富を得、貧しいものは益々貧しくなっていった。 確かに、株式市場は安倍政権になってからほぼ3倍に膨れあがり、便乗した投資家は大きな財産を作ることが出来たかも知れない。しかし悲しいかな殆どの人々はその機会にも恵まれないまま、給料も殆ど上がらないまま10年の年を経ている。

 竹中氏が主導する日本は、この1年間殆ど目ぼし成長を遂げていない。コロナ騒動国民は日本が決して先進国では無いことに気が付いた。日本が相変わらずデジタル後進国であることに嫌と言うほど気が付いたのである。

 その端的な例がマイナンバーカードがの所有率が20%程度に留まってそれ以上中々普及しないことだ。普及の遅れの大きな理由に個人情報を国が管理することへの警戒感が強い事だと言う。

 しかしマイナンバーカードの個人情報は取るに足らないものばかりだ。それにも拘らず、警戒感が強い所以は国民の政府に対する不信感だろう。政治の国民生活、個人活動への干渉はかって日本を戦争へと導いた経緯がある。昭和初期の日本は暗黒の時代とも言われた。社会主義運動を極度に恐れ、活動家を取り締まる特別警察隊を設け徹底的に弾圧を加えた。思想的には右翼思想が蔓延り、ファシズムが台頭した。

こうした歴史的背景がある日本では政府に個人情報を曝け出せば決して良いことは無いと言う考えが身についてしまっている。

そのため中国や韓国で当たり前になっている位置情報の共有を嫌う。何時何時に何処で何をしたかが解かると困るのだ。しかし、位置情報の共有によってコロナのクラスターが発生した場所に居たという情報を一早く知ることが出来る。しかし残念ながら日本のスマホ所有率は65%程度に留まり韓国の95%を大きく引き離されている。韓国ドラマを見ると驚くほどスマホの利用する場面が多い。スマホ無しでは韓国ドラマは成り立たないと言っても良いくらいだ。韓国でここまでスマホが普及した理由は矢張り韓国最大の財閥企業サムスンの御蔭だろう。スマホ部門では早くからアップルと凌ぎを削り合って来た。