すごいMVだった。それは直感的にわかる。でもその凄さはたぶん、もっともっと深入りし、噛みしめるときに深くなっていく、そんなMV。
以下、若干の覚書
アナスターシャ(アナスタシア)
原義はギリシャ語で「目覚めた/復活した女」の意味。
5つの空席。
冒頭部分。
さぁ、頂が天に届く塔を建てよう。
そして名を上げ、全地に散るのを免れよう。
旧約聖書(新共同訳) 創世記11より。 この塔がバベルの塔。
旧約聖書の該当部分。
世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた。
東の方から移動していた人々は、シンアルの地に平野を見つけ、そこに住み着いた。
彼らは「れんがを作り、それをよく焼こう」と話し合った。石の代わりにれんがを、しっくいの代わりにアスファルトを用いた。
彼らは、「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう」と言った。
主は降ってきて、人の子らが建てた、塔のあるこの町を見て、
言われた。「彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、防げることはできない。
我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう。」
主は彼らをそこから全地に散らされたので、彼らはこの町の建設をやめた。
こういうわけで、この町の名前はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を混乱(バラル)させ、また、主がそこから彼らを全地に散らされたからである。
旧約聖書の中でも非常に有名な部分。
バベルの塔は神によって否定され、完成させることはできなかった。そして散り散りにさせられ、人間は共通の言葉も失う。原罪を背負い楽園を追われた人間の苦難の道のり。
けれども、「アナスタターシャ」=復活した女性たち、は、ついに塔を完成させ、そこに自分たちの独自の旗を立てる。
細部にわたって造り込まれたMVは、メンバーにもファンにも、それぞれの固有の物語を復活させ、一つの世界にまとめあげ、押し上げていくのだろう。私のようなものが、その一つ一つの物語に安易に何かを言うのはきっと、大切な場所を土足で踏み荒らす行為なんだろうと思わせるほどの表現の密度と緊張感がみなぎっている。伊藤衆人監督と2期生メンバーの「乾坤一擲」のMV。
公式MV