https://youtu.be/RTE-mxfqa0E @YouTubeさんから
低音部、齋藤冬優花 だよね?
「黒い羊」の音源を初めて聞いたとき、びっくりした。何だこの低さは、と思った。最初は、これ、かなり加工したのかなとも思った。
でもそれは違ったらしい。今回のアカペラではっきりした。でも、それはそれで驚きだった。
最低音部、女性としては相当低い音程で、歌える人、かなり少ないと思う。「アイドル」の楽曲では初めて使うような音程ではないのかな、とすら思う。下がりきっていないところがないわけではないけど、あの音域でよくピッチを維持するなぁ。
齋藤冬優花、ダンスのイメージだったけど(ごめんなさい、ダンスのイメージだけでした)、ガラッと変わった。あれだけ低い音程のところでも響きを失わない。
それに石森虹花もいい声だなぁ。芯があってまっすぐに出てくるような声質。少しリバーブをかけているくらいでそれ以上の加工はしていないと思うけど、輝きと少し憂いを感じさせるような中音域の響きが心地よかった。もう少し音数が少なくて声そのものを聴かせるような楽曲を聴いてみたいな、と思う。
でもこのアカペラは公開された音源よりテンポが25%くらい遅い。
ダンスを禁欲して、このテンポの、あるいはもうちょっと遅くてもいいかな、そんなアコースティックバージョンがあったら聴いてみたいな。ピアノ一本、せいぜいアコースティックギターまで。
歌とダンスとで楽曲を届ける欅坂だけれども、言葉と声にだけそれを託すことがあってもいい。
『生存する意識 植物状態の患者と対話する』(A.オーウェン みすず書房)を読んだけれども、ダンスを見るとき、音楽を聴くとき、言葉を聴きとどけるとき、脳が作動する部位が、神経回路が違うらしい。
ならば、ダンスパフォーマンスが前面に出ることで生まれている表現があるように、ダンスを抑えるたときにはじめて届く何ものかもあるはずだ。
実際にメンバーたちが「MVをみて曲の聴き方が変わった」と言っていた。齋藤冬優花もそうだったと思う。けれども、それは逆もあるのだと思う。
鋭く削ぎ落とした先にある表現もある。それはもっと深い絶望を表現するかもしれない。スローテンポの二人のアカペラは、そんなことを思わせてくれた。