幕末の幕府軍の様子をルポルタージュしたような文章を思い出し・・氷川清話から
この・・たどたどしく進むブログも、ようやくきな臭くなってきました・・新政府から仙台藩に対して会津を討てとの命令が出されました。戦争の危機が迫っています。この当時の藩の戦争の様子をルポルタージュ風に、現実そのままを描写したような文章は無かったか？？いろいろ思い出したりしました。そういえば氷川清話のなかに記述があったよな？と思ったのですが、蔵書は、大震災で書庫がゴタゴタになり物置に移動しており、それを、終の棲家にしようと建てて置いた今の住居に引っ越した３年前にほとんどすべてブックオフに来てもらって処分してしまったのでした。仕方ないので図書館にでも行こうとか思っていたのですが、それよりアマゾンを探したほうが早いかも？？と400円で中古本を手に入れ、読み直しました。この時期の直前、第二次長州征伐での彦根藩の戦争へ赴く様子をルポした記述がありましたので垣間見てみます。「まだ太平三百年の夢が覚めないときであったから、本当の戦争を知らない者ばかりで、三百年も昔のように、やはり赤具足を着込んで、旗指物を押し立ててヒューヒュードンドンと囃し立てて進んで行った。ところが長州の武士は既に開化している。尻を端折って身軽にいでたち、紙くず拾いか何ぞのような風で旗太鼓堂々の幕軍とすれ違いに、傍らの小道を進んで、こちらにすすんできた。しかし、風体が風体だから幕軍では、それが敵兵だとは、少しも気づかなかった。長州兵は、その際に乗じて、こともなく先鋒をやり過ごしておいて、さて不意に本陣の大将を目がけて鉄砲を放った。そこで、幕軍は大騒ぎをしているうちに、大将が討ち死にしたという風説が先鋒に聞こえてきた。」幕軍と、長州軍の様子がよくわかる記述だと思います。幕軍の目から見ると、長州の軍勢と言うものは、まるで紙くず拾いのような・・つまりは、取るに足らない、不審であるとか危険を感じさせるような、ほんの微かな考慮の必要も感じさせない、いわば認識の内にすら入らない下賤の者たちと写ったようです。戦争に行くための幕軍と言う軍隊は、敵を敵として認知できない軍隊であったことがよくわかります。当然、戦争なのだから相手も、それなりの体裁を整えてくるに違いないし、そのことは疑いないという、思い込みもいい加減にしてほしいと現代に生きる私は思うのですが、さに非ず。三百年の封建制度の太平の中にいた藩のサムライと言うものは、こういう人たちなのだということは、押さえていた方が良いのではないかと思いました。後々の仙台藩の重役が観察した奥州鎮撫総督府の幹部であった世良修蔵などの、物腰しや、言葉使いなど諸々のことが、太平の三百年間に培ったことどもとはまるで異なっていただろうことは容易に想像がつきます。あいつらが天皇の軍隊であるはずがない。インチキだと世良等を見てしまった素地があったのかもしれないとも思ってしまいます。なにしろ政治の中心にあった京都に近い彦根藩でさえ、このようなことです。ましてや白河以北、はるかな辺境にある東北においては、太平の気分を払拭できるはずも無いかもしれません。
