若干ネタバレも含みますのでとあるシリーズは超電磁砲しか見ていないという人は読まないほうがいいです。
黒子の葛藤、アクセラレータの寂寥、御坂美琴の決意。なかなかに味わい深い話でした。
黒子の葛藤は第七話で一話分使ってじっくり描かれていますが、わずかとはいえアクセラレータ側の心理描写が出てくるとは思わなかった。
計画前のアクセラレータとしてはとにかく今の状況を脱したい。
もっとアクセラレータ風に表現すると「この退屈な世界を壊したい」となるのでしょうか。
詳しい状況は分かりませんが夢も希望もない、世界に対する絶望すらも通り越した感情がひしひしと伝わってくる描写でした。
盗人にも三分の理というやつですね。
本人は意識していないだろうけどある意味この作品で最も不幸なキャラクターかもしれない。
しかしそれにもまして私の心に染み入ってきたのは最後の美琴と黒子の会話。
「私がもし学園都市に最悪をもたらすようなことをしたらどうする?」
「(前略)黒子のやることは変わりませんの。」(ジャッジメントとして)
そしてそのあとに「黒子に捕まるならそれも悪くない」という心理描写が続きます。
実際の物語上ツリーダイアグラムはすでに破壊されており、美琴のたくらみは実行されないのですが、ここに彼女の黒子に対する愛情を感じます。
つまりこれから学園都市最悪の犯罪者となるわけで(パターンはいろいろ考えられるものの)過酷な運命が待ち受けていることははっきりしているわけです。
もし黒子が御坂美琴についていく選択をした場合黒子を犠牲にすることになります。
それは心優しい彼女にとっては耐えられないことでしょう。
そして彼女は再び答えの出ない葛藤に苦しむことになります。
だから敵対するとはっきり意思表示をしてもらえて安心した。
それでようやく自分を犠牲にしてでも妹たちを救うという決意ができたということでしょう。
ついてきてくれなくて良かったという悲しくも心動かされるシーンでした。
ここで私は「もしも」の世界が気になります。
もし上条当麻がツリーダイアグラムを破壊しておらず御坂美琴がそれを破壊する場合どうなるか。
情報隠ぺいの上放置されるという可能性を除外して考えると御坂美琴は捕まるか殺されるかするでしょう。
仮にジャッジメントに捕まる場合、おそらく抵抗はしないでしょう。
そして真実を語ることもしない。
それに対して黒子は(お姉さま、どうしてこんなことを)という思いでいっぱいなわけです。その思いがこれからの黒子の人生を変えていきます。なんてことになるんだろうなと考えるとすごい面白い。
もしそうなったら御坂美琴に脱走して逃げ隠れしながら、もう少し『一万人を殺す』ということの意味を考えてほしいなあと思います。
数字の上で把握するとなるとたいしたことないですが、もしこれを現実の重みとして実感し、かつそれをすべて自分の責任と考えるなら未だに御坂美琴が自我を保っているのがおかしい。
おそらくはまだ命の重みを感じきれていない。
それを自覚して一人では背負いきれないこと、そもそも一人ですべてを背負う必要がないんだと自覚してほしい。
なんにせよクローンにあれだけ感情移入できる御坂美琴はいい子ですね。
普通の人ならちょっと嫌な気もしながら「あっ、そう」ですましそうだし、私なら精神がおかしくなる寸前までひたすら実験を観察するという暴挙に出そうです。
今回の話はこれまで放送された超電磁砲Sの中で最高のできでした。
ちなみに二番手は第七話の黒子が葛藤してとりあえずの答えを見つける話。
八、九、十話は正直退屈だった。
凝縮して一話に閉じ込めてくれないかなと願ってたんですが、その思いも届かず。
バトルが嫌いなわけじゃあないんですが、とあるシリーズのバトルシーンは違和感しか無くてどうにも好きに慣れない。
