
子供の頃、小学校1~2年生くらいの頃でしたでしょうか・・・・・・・・、
ウルトラマンの絵が上手くなりたくて、絵本に描いてあるイラストを
一所懸命に模写しては、子供ながらに研究をしていました(笑)。
当時、私の住んでいた実家は(今もそうなんですが)、表が傘屋さんの店舗に
なっていて、住み込みで働いていたスタッフのお姉さんが数人いてくれました。

中でも一番可愛がってくれていたお姉さんがいたのですが、そのお姉さんに
頑張って描いたウルトラマンや怪獣を見せては、寸評をもらっていました。
「今度のは上手く描けたね。」とか「ここんとこがちょっと変なんじゃない?
もっとこうしてみたら?」「私は、この絵が一番といいと思うな。」という感じだったと
思いますが、まぁ、お付き合いと言うか、遊んでもらっていたのですね。
でも自分の頑張って描いた絵を見てもらって反応してくれる人がいてくれて、
とても嬉しかったし、その度に、モティベーションは上がっていきました。
ある日、いつものように模写しているうちに、あることを思いつきました。
「そうか、模写(子供の頃はそんな言葉しらないですが(笑))するんじゃなくて、
本のイラストの上に紙を置いて、そのまま線をなぞって写せば(トレース)上手く
描けるんじゃないか。そうだ、それが一番うまく描けるぞ。」
我ながら素晴らしい発見をした小さな坪井秀樹君は、ピックアップしたウルトラマンの絵を
頑張ってトレースし、文字やなんかで切れている箇所をうまく繋げて、描き上げます。
得意満面で、お姉さんに見せに行ったとき、お姉さんが絵を見た途端言った言葉は、
「これ、ひでっ君の絵じゃないじゃない。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
この瞬間の映像が今でもハッキリと残っています。
店のレジの置いてある棚の裏側の会話でした。
今までで一番上手く描けた絵は、すぐに見抜かれて、自分のモノではない・・・・・。
じゃあ、自分の絵って何だろう・・・・・・・・・。
どうしたら、上手くて、ひでっ君らしさが伝わる自分の絵が描けるんだろう・・・・・・・・。<
この想いは、その後の私の人生観に大きく影響しているようで、
ビジネスの現場においても、時々、この時の事を思い出す時があります。
キチンと利益が出て儲かる時流の業種業態・商品・サービスは何なのか?を探究する
側面と、
本来、自分はビジネスを通して、何を伝えていきたいのか?という側面・・・・・・、
この二つの接点をいかに見つけて実践していくかこそがビジネスなのだと思います。
儲かっている商品や、流行りの商品を探して投入していくこと自体は決して悪いことではなく、
現実問題として必要だとは思います。
しかし、それにしか興味を持たなかったり、それだけをやり続けている連続の間に、
一つの一つの商品や事業に愛着が持てなくなったり、まるで、上っ面だけ舐めて
希薄になっていく中で働いているというのは、何とも味気なく、空しい感覚になるという
こともあったりします。
ただこなしていく仕事の連続の中に、「俺の人生って何なんだろう・・・・・」と
感じている人はここに陥っているような気がします。
一度社会に出てしまったら、人生のほとんどは仕事になるのが普通。
「仕事=人生」というのは、好む好まざるに関わらず、いたって普通なのです。
そもそも、すぐにトレースできたり、すぐに投入できる流行モノは、誰でもすぐできる訳
ですから、飽和状態になるのも速く、そうなった時に顧客側が何を見るかと言えば、
本来その会社が何を根幹にしているか?ではないかと思うのです。
そんな時に顧客から聞こえてくるのは、
「それって、ちゃんと君が描いた絵なの・・・・・・・・?。」
お客さんというのは論理ではなく、感覚的にとても敏感で、そういうことを察知したり
認識したりする天才なんじゃないかと思います。
技術は、先行している誰かに教えてもらいながら長い時間をかけて磨いてこそ
上手くなっていくものだし、
また、その技術は、本来自分が何をしたいのか?によってのみ、本物となって
オリジナルとして世に出ていくのだと思います。
「上手い」ことと「伝わること」。
どちらも要求される時代なのだと思うし、自分のビジネスの本質や根幹というものが
問われているのだと思います。
すぐマネできる目に見えるモノより、なかなか目に見えない大切なことを見つけることの方が
難しく、また重要であると思うのは、私に、こういう記憶や考えがあるからかも知れません。
選ばれる側と、選ばない側がますます明確になる極めて正しいビジネス環境で
自らを試していこうじゃありませんか(笑)。
あの時の、もう亡くなったお姉さんに、私はちゃんと見せに行きたいと密かに
企んでいます(笑)。
もうそんなこと忘れちゃってるんだろうな・・・・・・・・。
「上手く」なろう、「伝わる」ようになろう。
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