人生で初めて自分のために花を買った。


実家暮らしの時は母が植物大好きで常に部屋に緑があり、ベランダにはハーブが植えられていた。私は情緒に乏しく、花って近くで匂い嗅ぐと臭いなぁとか思って母に「また花買うの?」と、緑の新入りが増える度に横槍を入れていた。


一人暮らしを4月から始めて約6ヶ月、自分以外に生きてる何かがお部屋にあればハッピーやなぁと思うようになってきた。犬や猫は飼えないし、魚も用具など揃えるものがたくさんなイメージで管理できない。そうなるとやはり植物だ。


あと、部屋に植物があるってなんか健康的で文化的やな、良いことしてる気分ヘッヘッヘ。


そんな軽いノリで部屋に緑を求め出した。

今なら定期的に植物を買っていた母の気持ちも分かる。この時点でハートがぶ厚くなった感覚がある。


"部屋に緑が欲しい"そう思い始めてからも中々手を出せず、自分で食べたアボカドを土に植えてみたりし芽が出ずという奇行に走りながらもだらだらと日々は過ぎていき緑を欲する気持ちも遠くの引き出しに移動していった。


そんな時ふとコメリを徘徊していると白くてぽわぽわした花を見つけた。なにこれカワイイ。ウフフ。そんな変態な様子でカスミソウと目が合った。

目が合った、と思った。自分が興味ある/魅力的と感じてるものと目が合ったような錯覚に陥るのも変態的だ。

この時再び、"緑が欲しい"という気持ちが引き出され部屋に連れて行く事にしたのだ。


花瓶も無い状態で急に衝動的にカスミソウを連れてきたものだから花を生けるものがない。

応急処置として計量カップに生けておき、すぐにダイソーに向かい花瓶を探す事にした。


私の人生で花瓶を買いに行く事があるなんて。花瓶を選ぶ行為でさえも尊く感じた。この時点で私の心はだいぶと健康的になっている。今までどんだけ無味な生活を送ってきたんだよう。こんな事で心が満たされるのだから自分ってやっぱチョロい。



無事花瓶をゲットし、花を生けてみた。

「めっちゃカワイイ!!!」声に出して言った。こんな些細な事だが新しい家族が増えたような気分になった。誇張表現が過ぎるようだがそれほど一人暮らしは孤独なのだ。


新しい家族を玄関に飾る事にした。これでオンボロ宿舎にも帰るモチベーションが上がるってもんだ。

生活が楽しくなるなんてこんな単純な事でいいんだよ。ずっと続けていくことなんだから、べらぼうに難しい事なら私は出来ない。


カスミソウの日もちは7〜10日間だそうだが、その間白くてぽわぽわしたものが部屋にあるのを楽しもう。


そしてこの記事を書いている今、実家から宿舎に帰っている電車の中だがそろそろカスミソウを出迎えてから7日ほど経つ。寒々とした部屋に我が子を置いてきた気持ちになるが、その心配もまた宿舎に帰る理由になる。転勤願いを出し、うまくいけば残り数ヶ月。転職も視野に入れているがこれからも単純なことの繰り返しでやり過ごしていく。