吉村昭氏の「羆」をアップしたが、羆に関してもう一冊本を記しておられます。「羆嵐」これは学生の時に読んだが、すごく面白かった。父オススメの一冊。これを「父の本棚」に書こうと思っていたが、横入りしてきた奴(本)があるニヤリ

私の本棚ーーー

中山七里さんの岬洋介シリーズ「どこかでベートーベン」と柚木麻子さんの「幹事のアッコちゃん」だ。どちらもシリーズもので、新刊が出てから図書館で予約して、ようやく順番がまわってきた。期間は二週間びっくり


羆嵐を後回しにして、読みました。中山七里さんの筆致力は、すごい。岬洋介は敏腕検事を父に持つピアニスト。
最近の本なので内容については控えますが、ピアノの音の文章表現がすごい!びっくり音を表現するのに、風や川の流れに例えるのは常套だけど、勢いがあって飲み込まれるみたいな文章表現のできる人です。シリーズ第一作「さよなら、ドビュッシー」では、弾き手の体の痛みを書いておられるが、手の引きつり、強張り、痛み、冷や汗の文章表現は秀逸です。文章なのに音の洪水に溺れてしまいそうになります照れ

「アッコちゃん」シリーズは、女性が元気になる本です。小説は、「アッコちゃん」と関わった人の視点で進行するので、ほとんどが客観的なアッコちゃんしかでてきません。年齢的には、私は「幹事のアッコちゃん」と同世代。


バブリーな時に、就職して(たぶん)結婚もせず、子どもを持つことなく、バリバリ仕事をしてきたアッコちゃん。主人公の女の子は、就職したけど、自分の思うような仕事ができないし、思うように仕事もできない、そんな彼女に強引に威圧的にでも、温かく引っ張って支えて押し出してくれるアッコちゃん。アッコちゃんに関わった人間は少し変わる。少し変わるけど、材料は、あるもの。あるものって、持ってるもの。素直さ、根性、落ち込んでも底についたら、仕方がないけど、立ち上がろうかっていう単純さ、拗ねない。そういった、誰もが持ってるものを基盤に努力をするのって地味かもしれないけど、大切かなって思える。突飛なことをするのだって成功させようと思ったら、やっぱり、基礎がないと途中で崩れてしまうよ、って言ってるような小説でした。この基礎って、もちろん人間関係も含まれてると思います。
面白かった(≧~≦)



ということで、吉村昭氏は、また、今度。です。