「できましたよ」妻の差し出すニット帽  何処か似てる 昭和のこみまささん
 

      一段と強い寒気が流れ込むと気象予報士が説く。

      暖かくして過ごすようにと思いながらも肝心かなめ、天井がない。

     察してか、妻は夜なべ仕事に編み物をしていた。

    

      「できましたよ」

     「こりゃあ暖かい、おう助かりだ」

 

      鏡を見て思った、まるで小実昌じゃん」

                  

    禿げ頭に手編みの半円形の帽子をかぶるコミさん、

    昭和の文筆家・田中小実昌を思い出した。

                           写真:  雑誌「サライ」1996.10 より