はじめに以下の文章は ペットバードレポート誌に掲載された
記事を著者の許可を得て再投稿したものです。
2000年の記事なので、内容が現状に合わない箇所もあるかも
しれませんが、何とぞご了承願います。
Touched by an Angel
(天使がくれた感動)
Sam Foster(サム・フォスター)

(画像は私が大好き画家エリック・ピークさんの絵画です)
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友人がブリーディング時期をむかえたクルマサカのオスの成鳥を
飼っていて、私はその友人のためにメスの成鳥を探していました。
この美しいオウムは原産地のオーストラリアでさえ飼われている
数が少なく、また野生の個体を捕まえるのは現在は禁止されてい
ます。
あちこち電話したところ、南オーストラリアでブリーダをしてい
る人に紹介されました。その人のところには最近ヒナ1羽を孵し
たばかりのペアのうちオスが落鳥しメスが残っていました。
オスの解剖をしましたが特段の問題箇所はみつからず、また母鳥
とヒナは元気でした。この飼い主は残されたメスのために別のオ
スを探すつもりはなく、メスを買いたいという希望者がみつかり
喜んでいました。
ケアンズに向けてメス鳥の輸送準備が終わったときに、ヒナの方
も欲しいかどうか尋ねられました。どうやらオスが落鳥した後に
メスが定期的な給餌を放棄してしまい、飼い主が一日に2~3回ほ
ど家に連れてきてスプーンで給餌しては禽舎に戻していたようで
した。既に生後14週間が経っていて、攻撃的ではないにせよ、人
工育雛されたという状態では無いようでした。
そのときは、既に私の元にはクルマサカの若いペアがおり、ブリ
ーディング用に飼っている鳥達を増やすつもりはありませんでし
た。その飼い主と長々と話した末、飼い主はこのヒナに全然興味
が無いことが解り、300豪州ドルで買うことにしました。私とし
ては、まずこの若鳥をかかりつけの獣医に健康診断してもらって、
そして一人餌になって人や他のトリに馴れてきてから、別の飼い
主を探そうと考えていました。
クルマサカ2羽はアデレード空港まで車で2時間、シドニーまで飛
行機、長い待ち時間を経て北オーストラリアまで飛行機で移動。
こちらの空港に到着したときはこの難行でうけたストレスでいっ
ぱいの様子でした。
ただちにメスを友人に届け、キャリアーの中で大きな声で威嚇し
て鳴く美しいピンク色のヒナと長旅最後の45分を車で家へむかい
ました。ヒナはキャリーに入れられて大きな声で威嚇していまし
た。その時私は彼女をインカと呼ぶことにしました。翼を広げて
黄色と明るいオレンジ色をしたりっぱな冠羽でディスプレイして
いる姿は、古代インカインディアンの絵を思い起こさせたからです。
(つづく)