おじちゃんが亡くなる2日前のこと。

 

なんとなく、電話しなきゃな、ビデオ面会しようっていう思いに駆られ

介護施設に連絡して、その週末に予約を入れようとしたところ

スタッフの方が、

 

 

 

「容体があまり良くないので、本日中に可能であれば

 

時間をお作りします。いかがでしょうか。」

 

 

という返信でした。

 

こちらの夜中1時、日本の朝11時の時間に予約をさせてもらい

施設からの電話を待ちました。

 

 

おじちゃんは、その頃はもう

食事も自力で取ることはできず

一日の中でもほとんど寝て過ごすことが多くなっていました。

 

ビデオ電話がつながった時、

そこにはおばちゃんとスタッフの方がいて

おじちゃんは寝ていました。

 

 

その時間は、おじちゃんとの直接のやりとりはできませんでしたが

30分間の面会時間の中、おばちゃんといろんな話をしました。

 

 

おばちゃんは、強がって

 

 

「まったく、寝てばっかりで。ダメだよ、起きなくっちゃ。」

 

 

っていつもみたいに、おじちゃんに喝を入れたりしていたけれど

家族の前で素直になれない、強がってしまうおばちゃんは

多分そうやって自分のことも奮い立たせていたんだと思います。

 

 

おばちゃんも、ちゃんと今の状況を理解しているし

おじちゃんは、充電がなくなっていくように、

少しずつエネルギーが少なくなっていくような

そんな感じが、毎回ビデオ電話で面会するたびに

私も感じていました。

 

 

おばちゃんに、言いました。

 

 

「おばちゃん、おじちゃんが先で、よかったよ。

これが正解なんだよ。

男の人は、女より弱いから

おじちゃんは、おばちゃんが居なくちゃ生きていけない人だから

おじちゃんが先で、よかったんだと思うよ。」

 

 

そうしたら、おばちゃんも

 

 

「そうだな。

やっぱり女の方が、いざって時はやっぱり強いかんな。」

 

 

「おじちゃんは、おばちゃんがいないと泣いちゃうもんね。」

 

 

そんな話をしたら、少しおばちゃんの口調も穏やかになっていきました。

 

 

おばちゃんに、

 

 

「おじちゃんの手、握ってあげな。」

 

 

と、言ったら

 

 

「あたしの手はつめてぇから、ダメだよ。」

 

 

って、ちょっと恥ずかしがって私の前で手を握ったりするのを

最初は躊躇していたんだけれど

 

 

「いいから握ってあげなって。」

 

 

と無理やり促すと、おばちゃんは

 

 

「あったけぇ・・・。」

 

 

と言って、優しくおじちゃんの手を握っていました。

 

 

「おじちゃんの手があったかいうちに、いっぱい握ってあげな。」

 

 

と言いました。

 

すると、また恥ずかしがって

 

 

「そんなこと言ったって、おじちゃん寝てばっかりだもん

だめだっぺな。」

 

 

「大丈夫だよ。寝てたって、ちゃんとわかってるよ、おじちゃんは。

わかんないはずないじゃん。

一番大好きなおばちゃんがここにいてくれるんだから。」

 

 

そこにいたスタッフの人も

 

 

「うん、ちゃんとわかってますよ。」

 

 

と言ってくれました。

 

 

私はそこで握ってあげることはできないし、

まだ施設外の人の面会は禁止だったから

そこで手を握ってあげることができるのは、おばちゃんだけでした。

 

 

けど、おじちゃんにとっては

おばちゃんは、人生で一番大切な愛する人だから

それが一番うれしいことなはず。

それが一番の願いだったはず。

 

 

そうやって、おばちゃんは手を握りながら、

そのあとの会話は、なんてことない世間話だったのですが

とても穏やかで優しい時間でした。

 

 

最後には、いつものおばちゃんの言葉

 

 

「なんだっていいや、幸せなら。元気でいろや。」

 

 

って言ってくれました。

 

 

その面会の間、おじちゃんは目を覚ますことはなく、

おじちゃんが息をしているのを見たのは、あれが最後となったのですが

おじちゃんは、ちゃんと私たちの会話を聞いていたと思うし

私たち2人の存在も、おばちゃんの手の温もりも、

ちゃんと感じていたんだろうなと思いました。

 

 

亡くなる少し前にできた会話。

あんなふうにおばちゃんと、穏やかに話をして

おばちゃんが素直になっていたの

もしかしたら初めてだったかもしれません。

 

 

おじちゃんは、性格もとても穏やかな人だったから

きっとあの時間を喜んでくれていたはず・・・。

 

 

 

4年前、おじちゃんが入院していた時。お見舞いにきたおばちゃんと。