私の主人━━タカシ(仮名)は、自分のことを”無趣味”だと言っているが、実はアニメやゲームが大好きな筋金入りのオタク男である。
新型コロナウイルス感染症の流行前は、約2ヶ月毎にPC部品(ジャンク品)やちょっとレアなオタクグッズ、あやしい同人誌(18禁🔞)や美少女ゲーム(エロゲ)等を物色しに秋葉原へ繰り出していたタカシだったが、ここ2年近くは職場から不要不急の外出を禁じられていた為、休日は家に閉じこもり、大人向けの美少女アニメを3倍速で鑑賞(※より多くのアニメを鑑賞する為)したり、小学生の息子と一緒にあつまれ動物の森やガンダムブレイカー(機動戦士ガンダムのバトルゲーム)に興じる日々を過ごしていた...。
私が苦言を呈すると、タカシは『俺はただ遊んでいるんじゃなくて、自宅を警備中なんだ！』と開き直り、息子は勉強そっちのけでゲームばかりやりたがるのでほとほと困っている😓
この自宅警備員&ニート予備軍めヽ(`Д´)ﾉ💢
昔(数十年前)は個人で小説や漫画等の創作活動をする場合、雑誌や編集部に投稿(持ち込み)をしたり、同人誌を発行してイベントで販売したりといった方法が一般的だったが、インターネットが発達した現在は、誰でも自由に作品を発表することが出来るようになった。
━━まったく、良い時代になったものだ。(※1)
私がまだ腐女子だった頃(今から約30年前)は、アニメイトの掲示板や文芸雑誌の読者交流欄で同好の士(趣味趣向が同じ仲間)を探して連絡を取り合い、互いに原稿(爛れた妄想小説や腐った漫画、イラスト等)を持ち寄って薄い本(同人誌)を発行したものだ。当時はまだ携帯電話やPHSが普及していなかったから、同人誌を売ったり買ったりするのにわざわざ手紙書いて通販の申し込みをしたり、代金は郵便為替で決済するのが一般的だったと記憶している。
あまり詳しく書くと、私がもう"いい年齢"であることや、やおい大好き少女(※2)だったことがバレてしまうので、このくらいにしておこう。
※1 私も数年前に”とある小説投稿サイト”で官能小説を連載していたことがある。一定のファンがついてきたところで調子に乗って筆が乗ってしまい、団鬼六と結城彩雨と御前零士を足して鍋でグツグツ煮込んだような内容のフランス書院も真っ青な超★エログロ作品を夜な夜な書き殴って連載していたのだが、過激すぎたのか運営から垢BAN(アカウント停止)されてしまった。本当に残念でならない。
※2 男性同士の恋愛を描いた作品をボーイズラブ(略してBL)と言うが、昭和～平成初期まではやおいというのが一般的だった。やおいの語源は諸説あるが、やまなし・おちなし・いみなしの最初の文字をくっつけて略したというのが通説となっている。
小説投稿サイト『小説家になろう』で現在もっとも勢いがあるジャンルはファンタジー小説、その中でも"異世界転生"を題材にした作品が人気を博しているようだ。
私も主人に勧められていくつかの作品を読んだ(嫌々読まされたとでも言うべきか💦)が、このジャンルの初期に書籍化されたものはともかく、内容はどれも似たり寄ったりだ。ワンパターンな設定とご都合主義的なストーリーに薄っぺらいセリフ回し。インパクトとオリジナリティに欠けるといわざるを得ない作品ばかりだ。
⇩よく見られるパターンがコレ⇩
①トラックに轢かれて死亡する
上記を略してトラ転という
暴漢に襲われて死亡するパターンも有り
②死亡前の記憶を保ったまま異世界転生する
異世界は魔法と剣術、ファンタジーの世界
王族や貴族、騎士等の身分階級がある場合が多い
妖精(エルフ)やコブリン、獣人等が登場する
③現代の知識と技術で数々の困難を軽々クリア
俗にいうチート状態である
④大活躍により勲章や称号を授与される
財宝や城、良家の子女を下賜される等
⑤敵がいつの間にか仲間になっている
強敵と書いて”とも”と読む
⑥その気がないのに女性が群がってくる
群がってくるのは若くてカワイイ女の子ばかり
なぜか女の子の方からが積極的に迫ってくる
夜這いをかけられる
朝フェラーリ♥で起こされたりするケースも多い
⑦ハーレム(事実上の一夫多妻)を形成
⑧出会った女の子の中で最も家柄と容姿が良い相手と結婚する
なんだかんだ言っても男は美人なお嬢様が大好き♥
巨乳で淫乱だとなお良し(๑•̀ㅂ•́)و✧な男性が多い😓
多少設定等に違いはあるが、概ねこんな感じの内容のものが多い。
ちなみに、女性向けWEB小説や漫画で現在もっとも勢いがあるのは”悪徳令嬢モノ”のようだ。
転生前の意識を保ったまま悪徳令嬢として別世界へ転生⇨婚約者(王族や貴族)から愛想を尽かされて(又は他の女に浮気されて)婚約破棄される⇨転生前の知識を活かして死亡フラグをかわしつつ素敵な男性に見初められて(若しくは自分を振った婚約者から復縁を持ちかけられて)ハッピーエンド♥
...という、実にご都合主義(一昔前の少女漫画的)なストーリーが展開されるのである😓
男性向けの”異世界転生”の亜種だといっても過言ではないだろう。
私がこれらのWEB小説(異世界転生を題材にした作品)をあまり好きになれないのには、いくつかの理由がある。
テンポが良すぎる軽薄な台詞回し(登場人物達の会話が薄っぺらくて寒々しいところ)、現代人なら誰でも知っている知識や技術を用いて主人公が危機を軽々と乗り越えてしまうところ(作者の努力や創意工夫があまり感じられない)、異性からモテたりハーレムを形成したりと、何の努力もせずに異性から愛されたいという超個人的な願望(欲望？)を、恥ずかしげも無く堂々と書き綴っているところに、読んでいるこちらが思わず赤面してしまいそうになるからである。
また、死亡した後に異世界に転生してハッピーエンド♥といった安易なストーリー展開が、命を軽視しているように感じる...。
タカシにこの話をしたら『あまり頭を使わずに短時間で読めるし、ストレス解消にはもってこいなんだ😅』と言われたが、もしかしてタカシは、異世界転生したいと考えるくらいストレスが溜まっているのだろうか...？
タカシがそのうち本気で異世界転生したくなり、トラックに轢かれて死んでしまうのではないかと、私は内心ハラハラしている😥
そんなWEB小説(異世界転生モノ)が大好きなタカシの為に、妻であり、元腐女子でもあるこのＳ子が、タカシを主人公にした異世界転生モノのライトノベルを一本書いてやろうかしらと、密かに企んでいる。
タカシ転生
目指せ！異世界でハーレムエンド♥
作者・鳥飼Ｓ子
俺の名前は鳥飼タカシ。”とある関東の大帝国”でしがない地方公務員している、41歳の自称イケオジである。公務執行中に運悪く事故に遭い...。