夜。
鷹目さんっていう人がいて、
「善いことも悪いことも、ひとつの器のなかでの分量が決まってて、自然とバランスがとれるようになってるんだよ。」
って言ってて、それがどういう意味で言ってるのかわからないんだけど、とにかく車の中でそう言ってて、
僕たちはお寿司を食べに行った帰りで、まあ別にお寿司は関係ないんだけど、なんとなく魚くさかったわけ。
いや、実際に魚くさかったのかどうか、そういうイメージだったのか、実際に魚が腐ってたのか、手のひらから魚の匂いがするような気がしてて、別に自分が寿司を握ってたわけじゃないんだけど。
深い夜。
ソファにもたれながらお菓子を食べてて、ポテチやチョコやアイスや麩菓子やグミや煎餅やポップコーンやハッピーターンや金平糖や、それらを手づかみで口に運ぶんだけど僕なりのルールがあって、指先は最後まで舐めない。全部全部食べ終わって全ての味が染み込んだら、舐める。地層のように重なった味たちは舐めてもそうそう取れないから最後には歯でガシガシ囓る。これがたまらなく、不味い。12色の絵の具を全部混ぜたら結局黒になるよーな不味さ。
でも、いつもこーしてしまう。
もうお菓子を食べているのか指先の味を育てているのか目的がわからなくなってくる。
今日も不味いなぁーと思いながら指先をしゃぶっていたら、さっきの鷹目さんの話を不意に思い出した。
指先から、土の臭いがした。
「赤ちゃんが生まれる瞬間も、へその緒は赤ちゃんに酸素を送っているんだよ。」ていう記事を読み、へーってなって、その時のことを文字にして書いてみると、「へーっ」という文字面がもう、へその緒と赤ちゃんにしか見えない。みたいなことかな?わたし今日も傘わすれたわー。の、「わー」が、「雨当たらんように急いで帰ってるわたし」に見えるみたいな。あ、ひらがなの「わ」ね。とにかく、蝉夫の話は「ー」が気になる。いや、道端に落ちてるネギほどじゃないよ。ネギほどじゃなくてもー、ほら、焼き鳥の串くらい、道端に落ちてたら気になるだろ、焼き鳥の串。よく見たら、ねぎまとか書いてあるやつ。あれわたしからしたら、ねぎまじゃなくて「ねぎまー」だよもう。ひろえよ!ってなる。そう、道端に落ちてる系なんだよ、蝉夫の「ー」は。わたしは落とさないよ、ゴミ箱まで持って歩くし。
ぷ
ぷって、ボーリングの玉を投げる人にみえるんですよぉぉお
ぷ...__。とかすると投げてる玉込みでみえきちゃいませんかぁ〜?
鰤沢ちゃんの語尾は波うってるみたいに音が泳ぐ。
その話というか彼女の語尾を聞いていると話の内容が頭に入って来なくって、なんだか酔ったみたいな気持ちにいつもなるなぁ。
あ、蝉夫が鷹目さんの息子だってことをわたしが知るのは、それからずっとずっと後のことで、その時にはもう二人とも連絡先すらどーだったっけなぁ…くらいの時間はあっという間に過ぎてしまうもので、あっけないなぁと途方に暮れていた7月。
instagramで、自分の家の虫籠の中で、蝉が羽化中の写真をアップしてる人がいて、もーーーーーすごかったーーーーーーー。。
蛍光ペンの緑!蛍光ペンの緑!
あんな色なのな、蝉。なんていう蝉なのか。
これからは俺の中の蝉は、蛍光ペンの緑だからな!蛍光ペンの緑の鳴き声に囲まれる夏の到来なんだな!
夏か…
まんまと熱中症になってグロッキーに倒れこんでいたら、窓の外を鳥が旋回しながら飛んでんのが見えた。
あの空の高いあの辺は、暑いんかなー寒いんかなー…
あー、羽欲しい。
鳥の翼のほうが天使っぽくてかっこいい気がするけど、実際生活考えると邪魔でしょーがなさそーだなー
だから、実際羽が生えるとしたら、昆虫みたいに格納できるタイプがいいなとか安いリアリティを持ち込んで考えたりして、
カフカも羽があるタイプだったら変身してもなんか良かったじゃなかろーか
パカッ
ピラッ
ブイーン
…でも、実際虫全般が激しく苦手。
て、このわたしの「実際」ほど実際感のない言葉もないもんだな
ねえ。ほんとにね。
でもすぐ「実際」って言っちゃう。
実際って言ってるときの「実際」の意味のなさ、みたいなこと、
実際、意味ないんだよ。
ずーーーっと遠くに、見えるでしょ、
ほら、
ね、見えたでしょ。
あれ、
わたし。
脱け殻なの。
実際。
おめでとう。
お目出度う。
御芽出度う。
おめでとうって滅多に口に登らない言葉で、だからこそ口を伝うと特別な温度のある言葉
目が会うような
芽が出るような
ドキッとした感じ
あのぉあ、今日ってぇ平成最後のぉ13日の金曜日だったんですってぇえ〜知ってましたぁあ〜ん
鰤沢ちゃんがまた泳ぐように喋ってる…
んーじゃ来年の今ごろは何て名前の時代になってるんだろーね〜
て口調を真似て聞いてみたけど、もう聞こえないのかそっぽ向いてる鰤沢ちゃん
時代に名前を付けたがる国があるかと思えば、
台風に名前を付けたがる国もある…
何に名前を付けたがるかによってその国らしさが知れたりすんだろーか…しないか
おわり
おしまい
終了
the end
完
さようなら
bye-bye
サヨナラ サヨナラ サヨナラ