夢うつつに、二度、ドアの閉まる音を聞きました。
一度目は、おそらく橙さん。
二度目は、おそらくみずゑさん。
橙さんは、たぶん帽子をかぶり、いつもの場所へ。
みずゑさんは、たぶん帽子をかぶり、静岡へ。
キッチンのテーブルの上は、おやつ祭の名残り。
昨日手を付けなかった十円饅頭とおはぎを口に入れ、
仕事にでかけます。
「こんなに天気のいい日に仕事してるのは馬鹿馬鹿しいね」
という挨拶は、もう聞き慣れました。
静岡へ向かったみずゑさんは、
知らない人ばかりのバスの中で、持っていたペットボトルのお茶が「静岡茶」という商品名だったのに気付き、自分を責めたそうです。
富士山は、五月の空に。
「山好き」の男の人が、今夜わが家を訪れるとか。