英語の朗読がきこえてくる
裏の家の大学生の声
ついで日本語の逐次訳が追いかける
どこかで発表しなければならないのか
よそゆきの気取った声で
英語と日本語交互に織りなし
その若々しさに
手を休み
聴いていれば
この失敗にもかかわらず・・・・
この失敗にもかかわらず・・・・
そこで はたりと 沈黙がきた
どうしたの? その先は
失恋の痛手にわかに疼きだしたのか
あるいは深い思索の淵に
突然ひきずりこまれたのか
吹きぬける風に
ふたたび彼の声はのらず
あとはライラックの匂いばかり
原文は知らないが
あとは私が続けよう
そう
この失敗にもかかわらず
私もまた生きてゆかねばならない
なぜかは知らず
生きている以上 生きものの味方をして
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かなり長くなってしまいましたが、読んでいて印象深かったので全部載せました。
最初のストーリー展開もさることながら、
「原文は知らないがあとは私が続けよう・・・」
のくだりに、茨木のり子さんの共感と深い愛を感じます。
蛇足ですが、自分ならなんと続けるかなと思い考えてみました。
この失敗にもかかわらず
私もまた生きていかなければならない。
しばらくはただ痛みに耐えて、
いつかはそれを必然に変えて