太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男 (小学館文庫)/大石 直紀
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読み終わって二週間ほど経ってしまったので

既に内容を忘れ始めていますが,これ以上忘れないために.


第二次世界大戦中,激戦の地サイパンで

陥落後も民間の日本人を守った大場大尉の実話.

もはやサイパンで日本軍に勝利の望みがないと悟った時,

彼が無駄死にするよりも「生き残ろう」と考えるようになったという,

考え方の転換が印象深かった.


灼熱のサイパンの地,死と背中合わせになっているというのは

一体どういう気持ちなのだろうか・・・

機関銃でハチの巣にされ即死する人もいれば,

病気やケガでじわじわ死に追いやられていく人もいる.

その現実を目の当たりにしながらも,

「生き残ろう」とする強い意志.


現在はサイパンもグアムもにぎやかな観光地となり,

戦時中,激戦地であったことなど微塵も感じられない.


それでも,過去に悲しい歴史があったことだけは

忘れてはいけないと思う.



話は変わりますが,2010年の11月にグアムにCPAの受験で

行った時に,トレッキングに参加してみました.

http://www.usesguam.com/


この時に,日本軍の戦車や,米軍に破壊された日本軍の

燃料供給ライン,防空壕を見て,

本当にこの地で戦争があったのだな・・・と痛感しました.

本物の戦車はこの時に初めてみました.

戦時中に破壊された燃料ラインを,米国人のガイドと一緒に

平和に会話をしながら歩いている現代の自分.

すごく不思議な気分でした.


トレッキング中,「Seocnd Battle Field」という場所を

通りましたが,そこで多数の死傷者が出たそうです.

ふと耳をすませば銃撃戦の音が聞こえてきそうな,

兵士の叫び声が聞こえてきそうな,

まるで一瞬タイムスリップをしたような

そんな不思議な感覚に襲われました.


グアムに受験で何度も行かれてる方は,

もしご興味があれば参加してみてください.

今までと全く違うグアムの顔が見えると思います.

ポールソン回顧録/ヘンリー ポールソン
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リーマンショック当時に米国の財務長官であった

ヘンリー・ポールソン氏の記録。

日記形式で記述されており、2008年の暗い秋の出来事を

ひとつずつ思い起こさせる。


JPモルガンによるベアーの救済から始まり、

GSEの危機、リーマンブラザーズのChapter 11申請、

バンカメによるメリル買収、AIG、シティの瀕死の危機、

ウェルズファーゴによるワコビア買収、

そして大手金融機関への半強制的な資本注入・・・


ポールソンの潜り抜けた激動の時代は、

「100年に一度の危機」といわれた。

ポールソンは、リーマンを救済せずに世界を不況に陥れたと

たたかれることもあるが、

この本を読んで、彼は彼のベストを尽くしたのだと感じた。


後からはどうとでも言えるけど、彼はあの最悪の状況の中で、

ベストを尽くした。

不眠が重なっても体調を崩さず、どれだけ叩かれても

精神的につぶれることなく、

任期をまっとうした、それだけでも偉大なことだと思う。


こういう驚異的に能力の高い人間がいたからこそ、

世界の金融システムはメルトダウンすることなく、

今日も自由市場が機能しているのだと思う。



それにしても、この本の中で感じたのは日本の地位の低さ。

言及されているのはほとんど中国で、

日本はMUFGがモルスタに出資するかどうかで

まごついてた時だけ、少し登場するのみ。。。


やっぱり米国の金融当局者もそういう目線なんだろうなぁ。

ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場/フィリップ・デルヴス・ブロートン
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昨年から持ち越していた本書,ようやく読み終わりました.

結構ボリュームが多かったです.


正直言ってビジネスに陶酔する用意ができていなかったこの著者は,

HBSに行くべきではなかったのでは?

と言いたくなりました.

資本主義を心底信奉している人が行くとこだと思っていました,

ビジネススクールって.

だから投資銀行とかコンサル出身の人が多いんじゃないのかな~


アメリカ流のビジネスに心底染まっている人であれば,

きっとHBSを不幸な人間の製造工場だなんて

思わない,むしろ自分のキャリアに華を添える,ただそれだけの存在だって

割り切っているんじゃないのかな.


MBA取得って,20代後半のとても大事な時期を2年間も費やす,

非常にリスクの高い選択だと思う.

だからこそ,本当に自分のキャリアにおいて,人生において

MBAが必要なのかどうか,よく考える必要があると思う.