東京都交響楽団 第731回定期演奏会

マーラー:
歌曲「亡き子をしのぶ歌」
…………(休憩)……………
「大地の歌」

ソプラノ:イリス・フェルミリオン
テノール:ロバート・ギャンビル
指揮:エリアフ・インバル
管弦楽:東京都交響楽団
(2012.3.29、東京・サントリーホール)
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先週のショスタコーヴィチの大熱演のお陰で
否応なしにも期待が高まる今日の演奏会。

日本に置ける、
マーラー受容史の功労者のうちの一人、
インバルがこのアンニュイな作品をどのように
聴かせてくれるのか?も楽しみでした。

まずは亡き子をしのぶ歌。
この作品をまともに聴くのははじめて。
いつもカップリングの合間に、
ながら聴きが多く…。
しかし、ソリストの歌と、
いつもながらに安定感のあるオケに
いつの間にか聞き惚れてしまいました。
さすが都響!
さすがインバルです。

ますます期待が高まる後半。
第一楽章冒頭の金管は
やや安全運転。
テノールも声が出ていません…。
下手ではないけど、
やや声量不足か…

しかし、第2楽章では、
メゾのフェルミリオンが存在感タップリ。

その歌手陣営とは裏腹に
インバル=都響は美質全開。
インバルの同曲CDでも確認できる
音の薄さはそのままも、
テンボの揺れや音の出し入れの上手さには
舌を巻きますし、
音の薄さもインバルの志向によるもので、
ショスタコーヴィチの際にも感じた
クリスタルな弦楽器は今日も健在。

やや頼りなく思うのは贅沢というもの。
国内オケでは立派。
常に安定した演奏会をやってくれる点で、
やはり国内では無敵の称号を授けたいと思います。

そして、こんな調子を考えながら最終楽章。

演奏がすき嫌い、とかではなく、
いつのにか涙し、身体が固まったことが
わかった時には
拍手がソロカーテンコールに達していました。

メゾのフェルミリオン、
今日も大健闘の都響、
そして、またしてもインバルマジックにかかった演奏会でした。

おもえば、同作品、
はじめて聴いたのは件の
インバル=フランクフルト、
ネスとシュライヤーによるもの。

テノールは断然CDのほうがよかったのでししが、
それでも感動のステージでした。