あさひだの音楽万歳
ブルックナー:交響曲第5番

クリスティアン・ティーレマン指揮

ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

(2004年10月、ミュンヘン、ガスタイクでのライヴ)


今日は、現役の指揮者の中で、

ムーティと並びリスペクトしているティーレマンのブルックナーです。

なにしろ、ブルックナー教の信者である私は、

やはりティーレマンを聴かねばなりません(笑)


久しぶりに聴き返しましたが、

以前聴いたときと比べ、

自分の中で、このテンポに馴染んだともいいますか、

遅くは感じませんでした。

むしろ、あっという間に全曲を閉じたくらいの印象です。


優しいヨッフム爺、厳しいヴァント親分、大伽藍の朝比奈御大

この三者の美味しいところ取りといえば過言でしょうか。


第一楽章のニュアンスに満ちたピチカートのリズムや、

第二楽章中間部での美しさは比がありませんし、

フィナーレのコラールでの盛り上げ方も最高です。

やっぱりコレくらい脂ギッシュな迫力がないと

詰まりません、この曲。


しかし、ミュンヘン・フィルの就任披露公演だけあり、

若干オケがティーレマンの指揮に戸惑っている箇所も散見され、

ヴァント&ベルリン・フィルにあるオケの合奏精度の高さなどと比べると

一歩譲るところもありますが、そこはブルックナー、懐が深い!


少し軽めの現代的なサウンドを聴かせたレヴァインとのマーラー9番とは相当に異なる、

かなり地味で野暮ったいとまでいえるような響きですが、

ドイツ魂の塊と思えば、ご愛嬌と思えます。

いや、むしろ、こういう重厚長大な楽曲を

これ以上望めないくらいに、厚ぼったく、濃く、深く、そして重くやってくれてこそ、

ブルックナーかく在りなむ、と思います(笑)


ティーレマンとミュンヘン・フィル、

ゴタゴタにより決別。

オケにはマゼールが再びミュンヘンに戻り(←バイエルン放送響の前シェフ)、

そして、ティーレマンはドレスデンへと巣立つこととなりましたが、

もう少し、長く続けて欲しかったコンビでもあります。