人生どうらく日記


昨日に引き続き、

カラヤン&ベルリン・フィルのブルックナー全集(DG)、

今日は後編です。

私がランダムに聴いた順番です。


【交響曲第2番(ノヴァーク版)】80年12月~81年1月録音

初期のシンフォニーとして立派すぎる演奏。

オケが例外なく巧く、派手にやっています。

しかし、第2楽章など、

カラヤンとオケの意思の疎通が図りきれていないように見えるところが散見されます。

また、フィナーレでは、

この曲としては必要以上に威容を誇るテンポで、

私は抵抗を覚えました。


【交響曲第8番(ハース版)】1975年1・4月録音

後期の交響曲らしく構えの大きな演奏。

オケの鳴りっぷりも尋常ではないほどに派手!

しかし、レガーティスト・カラヤンらしく、

そこにクセがあって、どうも曲本来が持つ美しさに浸れず、

却って、白々しさが耳につきます。


【交響曲第1番(リンツ稿)】81年1月録音

この曲を、ここまで立派に、ここまで派手に、ここまで巧く演奏されることに、

ブルックナー自身が一番驚いているのではないでしょうか(笑)

この初期の交響曲に、

弦楽器は18型でしょうか?管楽器はどれだけ増強させているのでしょうか?

倍管を通り過ごしているような感じさえします(笑)


【交響曲第9番(原典版)】75年9月録音

引き締まったマッシヴなサウンドが楽しめます。

これぞ絶好機の当コンビならではですね。

素晴らしい。。。。。

しかし、なにか物足らないのも事実で、

やはりここでも音楽のうねりであるとか、

ブルックナーらしい、ゴツゴツとした巨大な隕石のような演奏が

恋しく思えてきます。

整えすぎているのでしょうね。


【全集のまとめ】

初期の交響曲は立派すぎて抵抗を感じながら、

1番が意外にも良かった。

中期以降は、4番が大ハズレでしたが(←うるさん、ごめん!!)

5番、7番そして、9番が良かったです。

しかし、9番の個別感想に書いたことは

全曲通じて共通で、

オケが巧いし、サウンドもマッシヴで且つ輝かしいのですが、

ブルックナーの核心に迫る、

というよりかは、

そこには敢えて踏み込まないところにカラヤンの美学が見て取れます。

そこがこの全集としての価値の分岐点でしょうね。


また、全集ボックス、

短期間で全曲聴き終えたのですが、

全9曲の折り返し、つまり、4・5枚目くらいから

パターンが読めてきて飽きてくるのも事実(笑)

その点もボックス物の弱点ですかね(笑)

逆に言うと、流れが統一されて、

演奏者の意図が理解しやすい、という利点もありますね。


時間があるときに、

今回印象の良かった曲をピックアップして

聴き返したいと思います。


最後に録音ですが、

大変状態が良く、全く不満を感じませんでした。

総じてこの時代のDGのカラヤン録音は良く録れていると思います。

カラヤン自身のこだわりも相当のウエイトを占めていることと思いますし、

その辺が、現在でも語り継がれるカラヤンの偉大さや普遍性に繋がっているのでしょうね。