人生どうらく日記
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調

クラウディオ・アバド指揮

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

(1996年、ムジークフェラインでのライヴ)


DGによるアバドの録音。

録音状態に当たりハズレがありすぎ

録音年の新旧でも一概に言えないところが辛いのですが

これはまともです。


そんな当盤ですが、

アバドのしなやかさとWPHの柔らかさが噛み合っていない印象を受けました。


第一楽章、ウィーン・フィルの美音を生かした演奏ではあるのですが、

フォルテッシモのところでテンポが速くなることに違和感を覚えます。

また、弱音の部分では、ただでさえ甘味なウィーン・フィルの弦に

一層のしなやかさを求めているのか、

あるいは、あの棒捌きに如実にオーケストラが反応しているのかはわかりませんが、

しなやか過ぎて、私には腰砕けになっているような印象すら受けます。


第二楽章では、推進力もあり特に過不足ありません。


そしてアダージョ。

またまた、第一楽章と同じで、

しなやかに歌いすぎているのが裏目であります。

しかも第一楽章とパターンが同じで飽きてきます。


と言いながらも、

全曲を通してみると、決して悪くはありません。

むしろ、生で接していたら感動していたと思います。


しかし、やはりブルックナーの9番においては、

あくまでもインテンポで通してほしい。

少なくともテンポの揺れが恣意的に感じた時点で

マイナスの印象を受けてしまいます。


アバド自身、宇宙的な、とか、神々しい、といった

ブルックナー演奏に形容されがちな言葉には

関心を示していないどころか、

あくまでも「俗世の白鳥の歌」として捕らえているのかも知れませんが・・・。

同じく「歌」として捕らえているのならば

今年のライヴで接したメストのほうが

テンポが恣意的に感じない分、

感動できたように思います。