バオバブの謎



王子さまが地球に来る前に住んでいた星はとても小さな星でした。

その星にはさまざまな種類の種があり、良いものも悪いものもありました。
その中にバオバブの種もあったのです。

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バオバブが成長しすぎると王子さまの小さな星は破裂してしまいます。

だから小さいうちに芽を摘み取らなければ大変なことになってしまいます。


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王子さまはひつじにバオバブの芽を食べさせたかったのです。

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バオバブの苗木

お話の中でバオバブは憎しみや嫉妬の象徴として表現されています。
知らず知らず心の中に巣食い根を張って行く邪悪なもの。
小さな芽のうちに摘み取らなければやがてわが身を滅ばしてしまう。

サン・テグジュペリがこの作品を執筆した時代背景を考えると、
多くの人々の心に根を張る邪悪なものに、
永遠の少年だった彼は心を痛めていたのでは思います。

心の中に巣食うバオバブを抜き取り、手入れするべきだと訴えました。

その上で心のバランスをとることが大切だと…。

バランスとは、大人の心と子どもの心。
そのバランスをとることでより良い人生がおくれるのではないかと考えました。

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NHKの『100de名著』の解説をされた水本弘文氏(北九州市立大学名誉教授)によると、
人間の心を地球に例えると、大人の心は地殻。子どもの心はマグマ。
地殻がないとマグマはあふれ出てしまい、地球は存在することができない。
地殻があり、マグマがあることで地球はうまく動いて行く。



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バオバブはサバンナ地帯に多く分布するアオイ目アオイ科の大木。
年輪が無いため樹齢を知ることは難しいのだそうです。


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大きな木になると直径10~20mにも及ぶと言う。


『星の王子さま』のものがたりの中には沢山の迷路があり、
迷路から出る術がわからないまま読み終えたとしても、
その謎の箱は私たちの心の中にしっかりとしまわれ、
何かの折にそれぞれの読者が自分なりの答えを見つけることができる。

そんな素敵な謎なのだと思います。


そしてその「謎」こそが
この作品が世界中の人達から親しまれている理由なのかもしれません。