ヘルパーだった頃の話。
訪問で通っていた方で、奥様は既に特養に入られ、ご自身も奥様と同じ特養に入るため、入居待ちをされていた。
私は、この方がご入居されるまでの間、買い物や昼食の準備、朝昼薬の服薬確認支援などで、短い間ではあったが担当した。
ちょうど3ヶ月経つ頃、ケアマネから「そろそろ特養入れそうなので、支援終了になるかも。」と連絡があり、それから数日後の訪問最終日に、娘さんも来て下さり、ご挨拶させて頂いた。ご本人からは、「やっと母ちゃんと一緒に暮らせるよ。あんた、良い人だから、また何かあったら頼むな。」と言われ、私は、「また、来ますよ。いつでも連絡くださいね。」と、その場を後にした。
それから2ヶ月が経った頃、ついウトウトしてしまい、深夜2時くらいにお風呂に入っていたときだった、やはり、湯船に浸かっていると、またウトウトし始めてしまうのだが、ウトウトする度に虫が飛んでるようなザワザワとする音が耳元に聞こえてきて、その度に目を覚ました。「何なんだこの音?」と浴室に虫がいないか確かめたが、見つけられなかった。「うーん?」と不思議に思いながら、風呂から上がり床に就いたのは、もう朝の3時を過ぎていた。
私は、結構はっきりした夢を見る事が多く、時々夢と現実がゴッチャになり、寝起きの際は頭の中を一旦整理しないとならないときがある。
この日もそうだった。夢の中に担当した方が現れて、浮かない顔をされながら私にこう言って来た。「また、母ちゃんと離れ離れになっちゃうんだよ。」と。私は、「えっ!だって、せっかく一緒に暮らせるようになったのに、何故?」と聞くと、「うーん、またそうなっちゃったんだよ。」と言うだけだった。
はっ!と目が覚めて、その夢が何を意味しているのかよく整理しなければならなかった。暫くして、凄く嫌な予感がしたと同時に、叔母が、以前、祖母が亡くなったときの不思議な体験談を思い出した。「何か、耳元で虫が飛んでるようなザワザワする音がして全然眠れなかった。そしたら、姉さんから死んだって連絡があって・・・もしかしたら、これが虫の知らせって言うのかしら?」正に入浴中の出来事と同じ!でも、余計なことは、もう考えたくなかった。このときは。
午前中ケアマネから連絡が来た。
「〇〇さん亡くなられたんだって、何か家族から連絡あった?」
「あぁ、やっぱり。家族からは連絡はないけど、ご本人からは連絡ありましたよ。」
ケアマネ「!?・・・どういうこと?」
「虫の知らせと夢で。夢の中で、また母ちゃんと離れ離れになっちゃったんだよって、言ってたから、たぶんそうだろうなって。亡くなられたのって、深夜2時くらいでしょ?」
ケアマネ「えっー!何言ってるの?そうそう、亡くなったのは2時くらいだったみたいよ。ねぇ、ちょっとホラー過ぎるんだけど⁉︎そういう人だったの?」
「かもね。」
それから娘さんに連絡して、午後ご本人へ会いに行った。
娘さんに虫の知らせや夢の話をすると、「父さん、あなたのこと気に入ってたから、挨拶したかったんだと思う。」と。
私は、ご本人へ手をあわせながら「最期にまた呼んで頂いて、本当にありがとうございます。安らかにお休みくださいね。」と、笑顔でお別れの挨拶をさせて頂いた。
ヘルパー冥利に尽きるかな?
しかし、この方に気に入られていたのは、全く思ってもいませんでした。私より他のヘルパーをお願いした方が良いかと思っていたくらいでした。
そんな誤解も解きたかったのかもしれませんね。