東京五輪で金メダルを獲得した野球日本代表「侍ジャパン」の稲葉篤紀監督(49)が16日、インタビューに応じ、岩崎優投手(30)、青柳晃洋投手(27)、梅野隆太郎捕手(30)に対して、五輪の経験を糧にシーズン優勝争いで活躍することを期待した。


-金メダル獲得から時間がたって、今の心境はどうか。


「(19年の)プレミア優勝の時は、まだ五輪があるという思いでいた。今回の優勝はやり遂げたなと。自分の中で一つの区切り。ホッとしたし、緊張感から解き放たれたという気持ちはある」


-金メダル獲得の反響を感じた場面は。


「家族で買い物へ行った時も『おめでとうございます』という声をたくさんいただいた。皆さんが見ていてくれたのだなと、非常にうれしかった」


-長い間、ともに戦った選手たちと別れた時の心境は。


「ちょっと寂しい気持ちもある。このチームでもうちょっと戦いたかったなと」


-最後に選手たちに伝えたことは。


「感謝の気持ちです。いろんな方たちの支えがあって野球ができているという感謝を忘れずに…と話はさせていただいた」


-青柳は稲葉監督から「この経験を下の世代に語り継いでほしい」と言われたと話していた。今後の選手らに願うところは。


「よかった選手も力を出しきれなかった選手もいるが、野球はチームスポーツ。一つになって戦っていくチームが、やっぱりいいチームになっていく。そういう経験を踏まえ、いろいろな人に伝えていってほしい」


-青柳も五輪では悔しい思いをした。


「試合では打たれたけど、みんなが促して僕の誕生日にハッピーバースデーを歌ってくれた。ああいう(ムードメーカーぶり)のがよかったよね」


-金メダル獲得でいい経験として残る。


「梅ちゃんも、優(岩崎)もね。優は本当に気持ちが入った投球をしてくれた」


-梅野は甲斐との連携で裏から支えた。


「大きいよね。投手とコミュニケーションを取って、どう生かそうかと常に考えてくれた。1試合しか出場させてあげられなくて…と話したら『いえ、いい経験をさせてもらいました』と言ってくれて。本当にいいメンバーに恵まれた」


-それぞれが役割を果たしての金メダル。


「もちろん。ヤギ(青柳)も打たれたけど、次に向かってやろうとしてくれていた。こういう選手たちがいたからこそ、表に出ている選手たちが思い切りできたし、われわれもいろいろなことを考えられたと思う」


-監督自身の経験を踏まえ、五輪で成長できる部分とは。


「チームでは主力、いわば日の当たる選手たち。それが代表ではチームのために自己犠牲をする、みんながそういう考え方になった。勝つために何をしないといけないか、代表に入ることで分かるんじゃないかな」


-その意識が自分を成長させる。


「もちろん。こういう選手たちが先頭に立ってチームの中でやっていくことによって、チームの変化も生まれると思うし、そうなってほしいよね」


-阪神が優勝争いを繰り広げていく中で、3選手に期待することは。


「五輪を経験すると自分がひと回り成長した感じになる。その自信で堂々とやってほしい。この経験をしたら優勝争いの重圧なんて…と思ってくれるかもしれない。ヤギも悔しい思いをシーズンで晴らしてやろうと思っているだろうしね」


(続けて)


「ただ、これからは(メダリストとして)より期待が大きくなる。よりプレッシャーが掛かる。でも、そこをはねのけて超一流選手になってほしいね」