春季キャンプ(1日、沖縄・宜野座)

矢野燿大監督(52)が就任3年目のキャンプを打ち上げ、各ポジションで巻き起こる高いレベルでの競争に、過去最高の手応えを口にした。巨人を強く意識したというオレンジ色のフレームのサングラスを初日、そして最終日に装着。自分たちの力を高め続けた先にある、宿敵撃破を目指す。

突き刺さる日差しだけじゃなく、使命も受け止めていた。頂点へ踏み出すための、南国でのひと月。その終わりと始まりに、矢野監督は宿敵色のツルをしたサングラスを選んだ。巨人に挑み、超えるため、自分たちにできることを突き詰めたキャンプだった。

「3年目ですけどね、去年も手応えは十分に感じたいたんですが、もっともっと良いキャンプをやれたなと、すごい充実したキャンプでした」

帽子のつばにかけたオレンジ色のサングラスは力強く陽光をはね返していた。この逸品にこそ、思いが詰まっていた。

「最初と最後はこれ(オレンジサングラス)でいっとこうかなと思って。そりゃ巨人は意識しているよ。でも、毎回言うように、巨人にだけ勝っても優勝できひんからね。巨人を意識して戦うというのは俺らにとっても必要なことだから」

顔を合わせるのは143試合のうち25試合。当然、そこに全勝したからといってVが確約されるわけではない。だが、リーグ2連覇を許し、特に昨季、8勝16敗と大きく負け越して独走を許した悔しさは忘れられるものではない。球団としても9年連続で負け越し中。オレンジを常に『頭の片隅』に置いておかなくては、虎将ではない。

最終日のこの日も朝9時から大山、木浪ら早出組に23分間のノックを浴びせ、その数は計231本にも上った。3年連続で両リーグワースト失策数という課題にも真正面から向き合った。「楽しむ」というこれまでのモットーは「カッコ良く行こうぜ」に変えた。選手それぞれの思うカッコ良さで、物事に挑み、超えて行ってほしいと再三訴えかけてきた。

「去年もかなり良いと思ったけど、さらに良くなって。今の手応えとしては『100(点)』に近いような手応えは感じている」

勝負の3年契約3年目。目元のオレンジの奥から、歓喜に沸く甲子園の黄色が、もう見えている。