藤原崇起オーナー(67)がインタビューに答え、戦力強化方針について育成と外国人補強を中心とする考えを強調。2年目を迎えた矢野阪神の爽やかさをファンに対して示すことを課題として挙げた。


-巨人に勝ち越せない。


「確かに結果は出ていません。打撃の問題と経験でしょうね。昨年出場した若手の多くはここまでの出場機会はなかった。甲子園であれだけの声援の中でプレーすることもなかった。十分に経験し、今季に生かしてくれるだろうと期待しています」


-4番候補のボーアら外国人を多く獲得した。


「チーム構成を考える上で一昔前はトレードやFA戦略がクローズアップされ、育成が少し外に置かれた印象があるかもしれませんが、今、トレードやFAは少なく、育成と外国人補強が中心になるかと思います。特に育成が主流でその間に足りないところを外国人が補う。育成から戦力になることが理想だと思います。巨人の岡本選手やヤクルトの村上選手、中日の高橋選手もそうですよね」


-投手戦は観戦していても重苦しいが。


「ナゴヤドームと甲子園は本塁打が出にくいですからね。それはそれで甘受して、その分、投手でしのぐ、と。球場の特性に合わせたチーム作りというのも大事な戦略の一つだと思います」


-他球場は狭くなる一方。守り勝つのは難しくなっている。


「確かに昨季は143試合のうち1点差での勝利が20、負けが19、引き分けが6でした。3分の1は僅差。そういう中で今はトラックマンなどで計測した豊富にあるデータをどう生かすのかが大きな課題になります。育成の意味でも大きなファクターになると思います」


-2軍施設を移転するという話も。


「育成という意味で十分な施設を作ってあげたいという気持ちはあります。一方で、甲子園から大きく離れたところに作るわけにはいけない。1、2軍の連携を考えても、ここなら、というところがなかなかなかった、というのが現状ですね。もちろん阪神沿線に作っていきたいという思いもありますが、われわれだけでは決められない。いろいろな方と十分にお話ししてお互いの理解が必要になることもある。できるだけ早くという思いはもちろんあります」


-ドラフトが成功したかどうかはくじ運にも左右される。


「1巡目は確かにそうですね。でもその後はウエーバー制ですから。昨年は各球団の特徴が出たのではないでしょうか」


(続けて)


「日本は非常にいい環境だと思います。高校野球も社会人野球も活発。観客動員数も増えていて。やっぱり、みなさんいろんな努力をされていると思います。昨年、ラグビーのW杯をみましたが、すごかったですね。試合時間の2時間が瞬く間ですよ」


-確かに。


「世界トップレベルはパワーもスピードも技術もある。そして、チームワークもある。誇りをもって試合に臨んで、ノーサイドの後は非常に爽やかですね。高校野球も爽やか、社会人野球だって爽やか。矢野阪神も爽やかに近づいているんじゃないかと思います。そういう爽やかさをファンの方に示せるか、というのが今後の課題です。爽やかに見ていただく努力をしないといけない。フロントの仕事はチームの補強もありますが、観客の皆さんにエキサイティングな、終わって勝った、負けたというのだけではなく、いい試合だったな、と感じていただけるように考える余地はまだまだあると思います」