うちの息子、当時中学生。
小さな頃からママっ子で、抱っこはママ。
手を繋ぐのも、ママのみでした。
母親としては嬉しいことですが、時には困ることもありました。
だって、父親もダメ、小さな頃から身近にいた、私の実母(息子からしたら祖母)の手も繋がなかったのですから。
そんな息子は、手前味噌ではありますが、とても優しい子に育ってくれました。
特に反抗期もなく、小さな頃も、やんちゃで世話が大変!ということもありませんでした。
ただ、体が弱くて、熱を出すことが多かったくらいです。
今では、勉強の合間に、家事を手伝ってくれます。
(と言っても、お風呂を洗ってくれたり、食事をよそって、配膳してくれたりですが。)
私が、義両親の通院の付き添いをするときも、息子が一緒に行ってくれる時もありました。
ある時、息子と二人で、義父を入居していた施設に送り届けたことがありました。
義父は、足が大分弱くなっていて、一人で歩かせるのが怖いほどの弱りようでした。
しかも、多少、認知症の症状もありましたので、外出に付き添うときは、転倒しないように、目を離してどこかに行ってしまわないように、気を遣わなければなりませんでした。
車を玄関に近いスペースに停め、義父を降ろす前に、バッグの中をちょっとゴソゴソしてから、助手席に座っている義父を見ると、そこにはもういなかったのです。
私は一瞬焦って、車の周りを見回すと、息子が義父と手を繋ぎ、二人で玄関に向かって歩き出していたのです。
実は、私、義父を支えなしで歩かせることはありませんでしたが、手を繋ぐことはしませんでした。
それはそうですよね。
ほかの、いわゆるお嫁さんはどうか分かりませんが、正直に言うと、やっぱり嫌でした。
でも、息子は違ったんです。
私と義父は、血の繋がりはありませんが、息子と義父は、繋がってるんですものね。
男同士だから平気、ということもあったかもしれないですけど。
小さな頃、私としか手を繋がなかったのに…。
私に何を言われたわけでもないのに、自分で義父を車から降ろし、手を繋ぎ歩き出した息子を、私は頼もしく思いました。
子供は、いつの間にか、親の想像を越えて、大きくなっていきますね。