マイナーチェンジした17インチのSRX-4は私には旋回能力が高過ぎて駄目でした(T_T)

これもまた、FX400Rと同じく、SRXには罪は有りません。ぼかぁ、今でも初代SRX-4&6はヤマハの傑作だと思います。

特にセルスターターが無くキックスタートオンリーで乗り手とオートバイの間に敢えてひとつ壁を作って居る演出(乗り手はこの壁を乗り越える楽しみが在る。この「儀式」を面倒と捉える人には、残念ながら初代SRXとはご縁がありません)細部の仕上げの美しさ、スリムで擬縮されたデザイン等、メインストリームには成り得なくても存在感の有る、黒木メイサ的な水原希子的な雰囲気が在ります(無いか)

そして棚からぼた餅的に、私の所にやって来たオフロードバイクDT200R。

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排気量たった200CCの2サイクルエンジンから32馬力を絞りだし、その車重は僅か乾燥重量99キロ。

SRX-4がDTの倍の排気量400CCで、乾燥重量147キロと50キロ近く重く、それでいて最高出力33馬力とほぼ同等、2サイクルと4サイクルエンジンの違いは在りますが、DTが如何に小さいオートバイなのにハイスペックで在るかの一端は、数字で分かります。

僕は元々2サイクル車は好きなタイプでは無かったのです。2サイクルってのは過激でならしてるオートバイの心臓の形態です。優しい2サイクル車なんてイメージに無いのです。4輪で言えばマツダのロータリーエンジンです。

高校生の頃、訳あってひと月ばかりヤマハの初代RZ250を借りて乗って居た事がありました。

これの350CC版「RZ350」は、当時「750キラー」と呼ばれ、、その性能の凄まじさをあまねく人々(主にバイク乗り)に知らしめて居ました。そしてもうひとつ、畏怖の念を込めた付いたあだ名が「棺桶バイク」(T_T)

乗り手の技量が伴わない場合、そのオートバイは乗り手を容赦無く見放す。恐ろしい凶器の様な1面がRZには有りました。

まあ下手でならしたこの俺が、そんなオトロチイオートバイの250CC版に乗って楽しい筈が無い。

そのイメージも有り、2サイクル車のDT200Rも期待はして居ませんでした。どんだけピーキーで乗りずらいんだろうなあ、と。どうせなら4サイクルのオフロード車、セローのが好きだなあ、と。しかしだ。いざ乗ってみたらこれが超楽しい。

極めて軽い車重はオートバイが如何なる状態でも「まあ何とかなる」と安心感を乗り手に与え、高回転では獣の様に爆発するパワーも、低速でレスポンスがイマイチな2サイクルエンジン、コーナーをパワーバンドの遥かに下でビチビチ回るビビりの俺にはありがたく。

フロント19インチで細い前後ブロックタイヤは、太いハイグリップラジアルタイヤより遥かに良心的に路面情報を伝えてくれた。太いハイグリップタイヤって下手くそには意味が無いどころか危険なんじゃ無いか。値段もべらぼうに高いし。

そして目からウロコのアップライトの乗車姿勢。

それまでのSRXやFXのセパハンの低く、背中を丸めて前方を上目遣いに睨み付ける様な乗車姿勢と異なり、立った姿勢で回りを見渡せるオフロードバイク、見晴らしが良くて、結果疲れないし、コーナーも遠く、奥まで見えて怖さがかなり薄まります。

低速なら転けても車体がスリムなので、ハンドルのバーエンドから接地してオートバイ本体へのダメージがほぼゼロ。これも気楽で安心に繋がります。峠で速い筈のSRXでしたが、俺にはDTの方が安心して峠も走れました。

それからはもう、DTばかり乗る様になってしまい…SRXではとても入る気もしない林道や河川敷、里山の獣道、未開の魚釣りポイントへのトランスポーターと随分と私を楽しませてくれました。

丁寧な仕上げと造型美でワックス掛けが喜びになるSRXと、気兼ね無く何処へでも乗り入れられるDT。

乗って眺めて改造して、愛でるオートバイのSRXと、汚れや傷も気にしない、スポーツギアの様なDT。どちらも知る事が出来て幸せでした。そしてオートバイは、ホントに乗ってみないと分からない。見た目の好みや、外観、スペックから受ける印象を覆して来る、意外性の乗り物がオートバイです。これは4輪の比では無いんじゃないかなあ。

僕の頃は、オートバイの大型免許は教習所で取得出来ず、埼玉県の試験場での本番1発試験しかありませんでした。合格率は埼玉県は5%以下等と言われ、当時の大型バイク乗りは現在の比では無い、正に神の様な存在でした(笑)

それは歪んだ形で健康とは言えない制度でしたが、考えてみると今の様に最初のオートバイがいきなりハーレー、なんて場合より、排気量の限定があるお陰で、色々なオートバイの本質的な魅力に触れたり気付かされたりする機会が多かったのかも知れません。

そして06年から現在のトライアンフ・ボンネビルにたどり着く訳です。

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↑2006年の夏。日本海にて撮影。

レスポンスの緩やかなキャブレター、鉄のフレームが包むぼんやりした空冷2気筒エンジンに、細い前後タイヤ、ある意味この味わいを狙って出してるトライアンフに英国人のオートバイに対する知見を感じます。性能に特化した全力投球みたいなオートバイよりも、この手の「のんのんオートバイ」を造る方が何かと難しいんじゃないでしょうか。

転ぶと怖いし大変だから、これからもコーナーでは倒さずに、のんびり乗って行こうと思います。