生まれて初めてプールの管理釣り場でルアー釣りをしました。

場所は埼玉県川越市の水上公園でございます。

真冬のプールに鱒を放ち、それを客である釣り人に釣らせる。そういう場所が埼玉県には4ヶ所有り、それぞれに賑わって居る様です。

ぼかぁ、所詮釣り堀だべや、とたかをくくって居りましたが、何せ初体験なんで取り敢えず釣り掘り用ルアーでも仕入れとくか、と川越水上公園の地元の中古釣具チェーン店のタックルベリー川越店に行ってみた。

タックルベリー川越店の扉を開き、レジでその旨を伝えると、店長さんらしき人が一見の客であるわたくしに接してくれて。

「川越水上公園?この時期はシブイですよ、フライは兎も角、ルアーでは簡単には釣れません!」

と正直に教えてくれる。

聞けばこの店長、釣りばっかしてるご様子で、朝イチ出社前にも川越水上公園で竿を振るそうで。

店長に管理釣り場に効くルアーコーナーに連れて行って貰うと、実際に店長がフィールドに出て使って良い釣果を得られたルアーには親切にどの釣り場でどんなんが釣れたかポップが付けてある。やるじゃないか店長。

釣具屋の店長が釣りばっかしてる。

普通に考えると当たり前の様だがそれは違う。

本屋に行っても酒屋に行っても、そのお店で扱う商品が何処にあるのかそれがどんな内容なのか、昨今日本の現場の職業人は分かりゃしねえ。時給分の範囲外は自分の仕事でありながら知る気も無い。

本屋の店員になったなら、その時に興味が無くても巷の話題であればその本位目を通しておきなよ…仕事で自分の知らない世界が見られたなら、それこそ得した気分ではないか。そういう積み重ねが人間の中身を構築してくんじゃないですか。

MAZDA屋に新型ロードスターの話を聞きに行ってもな、出てきた営業マンがガチなクルマ好きかどーかは分からない。専門性、趣味性を問われる業界の人も単なるサラリーマンになってる場合が多すぎて「分からなかったらお店の人に聞く」と言う古来からの手法が利きゃしねえ。お客が知りたい事をお店の人が知らない場合、客はそのまんま退場さ。でもそういうのも、寂しいけどもう馴れた。

しかしだ。わたくしの目の前に現れたこの男は違うぜ。

筋金入りの釣りバカな上に親切だ。

俺が新品のルアーを幾つか買おうとしたら

「お客さん、その予算で中古ルアーを新品の倍の数揃えましょう。なに、現場では手駒の数は多いに越した事はありません…」

と、まるで戦地に赴く外人部隊の兵士に語りかけるベテランの武器商人の様なセリフを吐きやがる。

ベテランの武器商人でなければ、カナダはユーコンテリトリーの入り口にある老舗アウトドアショップのベテラン店長だ。小説家の片岡義男先生が訪れた際に、お前の履いてるその靴下がなってないとか有名人を叱り飛ばす事など朝飯前の店長だ。

そのお店の品揃えは日本のアウトドアショップとは訳が違う、狩猟用のライフルから乗馬道具、スノーモービルやそり犬まで扱ってる様なグレイト・アウトドアマンの為の店だ。勿論、バブアーのコートも全種類揃う。本当の男が大自然と命のやりとりをする時に頼るべき店だ。

そんなお店の店長は、客を目の前にクフクフ笑いもしなければウソもつかない。何故なら彼は、己の長く特異なアウトドアの経験から得た知識、そして信頼すべき客筋から得た情報、それらを合わせてリアルにフィールドで体現する現役のアウトドアマンだからだ。リアルカウボーイなのだ。そして自分の持って居る知識を分かりやすく客に説明してくれる骨太な漢である筈だ。

そんなカナダ・ユーコンテリトリーに行かな会われへん様なグレイトな店長が、まさかこんな近くに、タックルベリー川越店に居られたとは!!

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店長が選んでくれたルアーで釣れたよ!3時間で4匹!素人の割りには、この日の周りのルアーマンより全然釣れたみたい!

ありがとう店長!