1988年。
自分で書いていて恐ろしくなりますが(笑)ほぼ30年前かいな。
当時、熊谷市内の友人の家の近くにクルマ好きの兄弟が住んで居て、お兄さんが初代RX-7の後期型ターボ、弟さんがトライアンフ・スピットファイヤーと言う旧い英国車に乗って居ました。
そのクルマ好き兄弟の家は箱田通りと言う街道に面して居て、俺は良くその前を通って友人の家に遊びに行って居て、彼等のクルマや彼等の動向を横目で眺めて居ました。
お兄さんのセブンはかなり改造してあるクルマで、ボンネットには熱抜きのダクトが沢山付いて居て、車高も低く、室内はバケットシートが奢って有りました。
かたや弟さんのスピットファイヤは変な緑色のオープンカーで、ほぼノーマル状態だった気がしました。
その頃の俺は、オートバイの事故をキッカケにクルマに興味が出て来た辺りでした。嗚呼しかし、事故の後遺症でプー太郎(今はニートか)の俺には金銭的に余裕が無く、家にあるクルマを夜だけ借りて乗って居ました。トヨタのカローラ。
当時、自分で欲しかったクルマはRX-7かMR-2、CR-X等でしたが、現実的には一番安価なCR-Xですら宇宙の彼方の存在でした。
ユーノス・ロードスターと言うクルマがどうやらマツダから出るらしいぞ、と言う噂を自動車専門誌で知るのは、其処から半年後位か。
ナンパより硬派、ミーハーよりマニアックなモノが好きな当時の俺には、この兄弟は眩しかったんですねえ。かとうれいこのビキニ位眩しかったなあ。兄の駆るセブン・ボンネット熱抜きダクト有り後期型ターボ。弟の操る旧い英国車のトライアンフ・スピットファイヤー。トライアンフ・スピットファイヤーって名前からしてもうカッコいいんだな。何か知らんがとにかく奴等は只者では無い。
彼等の車庫は、屋根だけトタンで葺いた様な簡素なモノで、地面は砂利でした。
だのでお兄さんはよく夜中に近所のスーパーの安定するアスファルトの駐車場で、セブンにウマを掛けて何かしら作業してましたねえ。
弟さんも、トタン葺きの屋根の梁から作業灯を吊るして、スピットファイヤーのエンジンルームを開けて何かイジッてたな。確か、ボンネットが逆アリゲーター式でしたね。ヒンジが前側に付いてんだ。
そういう濃密なクルマとの関わり方が、見ていて羨ましかった。
一度だけ未明に、たまたま弟さんのスピットファイヤーを街で見かけて後を着いて行った事が有りました。
真夏の早朝、彼はスピットファイヤーの幌を潔く開け放して居ました。
熊谷の市街地をゆっくり抜けて行くスピットファイヤー。リアタイヤが細くてキャンバーが結構付いて居た記憶が有ります。「キャンバーが付く」てのは後から見ると、クルマのリアタイヤがハの字に広がってる感じね。
荒川を渡り、広域農道に入ると彼はいきなりスピットファイヤーに鞭を入れ、あっと言う間に俺の視界から消えてしまいました(笑)
こちらはボヨンボヨンに柔らかい脚廻りのカローラで、タイヤも静かで燃費の良いオヤジタイヤ。馬力は似た様な物でしたが、こっちはコーナーに進入するとキャアキャアタイヤが鳴きまくる(笑)彼等には全く追い付けませんでした。
乗り手の弟さんとボロいが(失礼)手を掛けたスピットファイヤーが、物凄くカッコ良く見えて、二人が(あえて二人と呼ぼう)仲良さそうに疾走ってるのを見て、殊更に俺は羨ましかったんですよね~…
そして普段は散々カローラにお世話になってる癖に「俺のクルマはこれじゃない!これでは無い他の何かだ!!」と正直な自分の気持ちを確認するのでした。
クルマやバイクってのは、幾ら旧くてボロであっても、やはり技術者の英知の結集じゃないですか、人間がその時ベストと信じて造った部品数3万点以上からクルマ1台、バイク1台が構築されて居る訳ですから、そう言うモノって使い棄てじゃないんだよな、て俺は思うんですよね。ある種の命が宿ってんじゃないかなあって。
特にスポーツカーはそう。そのメーカーの考え方や技術力が、スポーツカーには良く現れます。
ミニバンや小型車は造る会社のアイデアですが、スポーツカーは造る会社のフィロソフィーです。
このスピットファイヤーとの出会いが、その後CR-Xを経てユーノス・ロードスターに結び付いて行った要因のひとつだなあ、と振り返ると思う事があるんですよね。
俺の小型軽量スポーツカー好きやバイクの趣味は相変わらずですが、変化したのはこのご兄弟みたいに、機械を自分でいじれる人に対して昔程は羨ましく無くなった事。
昔は機械を自分でいじれる人を「スゴいな、本物のクルマ(バイク)好きはこうでなくちゃな!」と思ってましたが、結局俺は面倒臭がりなんで、自分でいじるより信頼するプロにお任せするのが向いてるんだな、と悟りました。自分の愛車の動く最低限の理屈や構造が頭に入って居たら、まあいいかなあ、と。
自分でいじれる人は、エライとか本物とか言う括りじゃなくて、「機械いじりが得意で好きな人」尊敬してるが俺は向いてない(笑)
俺はクルマはO、バイクはRと言う、どちらも個人営業の小さなお店だけれど、信頼出来るお店に大切なクルマとバイクを診て頂いてます。プロのお話や仕事振りに感動したり、刺激されたりします。
あのご兄弟の自宅は取り壊されてしまい、今は違う方が住んでらっしゃる感じなんですよね。元気にされて居るのかなあ?まだスポーツカー好きで居て欲しいですねえ。
自分で書いていて恐ろしくなりますが(笑)ほぼ30年前かいな。
当時、熊谷市内の友人の家の近くにクルマ好きの兄弟が住んで居て、お兄さんが初代RX-7の後期型ターボ、弟さんがトライアンフ・スピットファイヤーと言う旧い英国車に乗って居ました。
そのクルマ好き兄弟の家は箱田通りと言う街道に面して居て、俺は良くその前を通って友人の家に遊びに行って居て、彼等のクルマや彼等の動向を横目で眺めて居ました。
お兄さんのセブンはかなり改造してあるクルマで、ボンネットには熱抜きのダクトが沢山付いて居て、車高も低く、室内はバケットシートが奢って有りました。
かたや弟さんのスピットファイヤは変な緑色のオープンカーで、ほぼノーマル状態だった気がしました。
その頃の俺は、オートバイの事故をキッカケにクルマに興味が出て来た辺りでした。嗚呼しかし、事故の後遺症でプー太郎(今はニートか)の俺には金銭的に余裕が無く、家にあるクルマを夜だけ借りて乗って居ました。トヨタのカローラ。
当時、自分で欲しかったクルマはRX-7かMR-2、CR-X等でしたが、現実的には一番安価なCR-Xですら宇宙の彼方の存在でした。
ユーノス・ロードスターと言うクルマがどうやらマツダから出るらしいぞ、と言う噂を自動車専門誌で知るのは、其処から半年後位か。
ナンパより硬派、ミーハーよりマニアックなモノが好きな当時の俺には、この兄弟は眩しかったんですねえ。かとうれいこのビキニ位眩しかったなあ。兄の駆るセブン・ボンネット熱抜きダクト有り後期型ターボ。弟の操る旧い英国車のトライアンフ・スピットファイヤー。トライアンフ・スピットファイヤーって名前からしてもうカッコいいんだな。何か知らんがとにかく奴等は只者では無い。
彼等の車庫は、屋根だけトタンで葺いた様な簡素なモノで、地面は砂利でした。
だのでお兄さんはよく夜中に近所のスーパーの安定するアスファルトの駐車場で、セブンにウマを掛けて何かしら作業してましたねえ。
弟さんも、トタン葺きの屋根の梁から作業灯を吊るして、スピットファイヤーのエンジンルームを開けて何かイジッてたな。確か、ボンネットが逆アリゲーター式でしたね。ヒンジが前側に付いてんだ。
そういう濃密なクルマとの関わり方が、見ていて羨ましかった。
一度だけ未明に、たまたま弟さんのスピットファイヤーを街で見かけて後を着いて行った事が有りました。
真夏の早朝、彼はスピットファイヤーの幌を潔く開け放して居ました。
熊谷の市街地をゆっくり抜けて行くスピットファイヤー。リアタイヤが細くてキャンバーが結構付いて居た記憶が有ります。「キャンバーが付く」てのは後から見ると、クルマのリアタイヤがハの字に広がってる感じね。
荒川を渡り、広域農道に入ると彼はいきなりスピットファイヤーに鞭を入れ、あっと言う間に俺の視界から消えてしまいました(笑)
こちらはボヨンボヨンに柔らかい脚廻りのカローラで、タイヤも静かで燃費の良いオヤジタイヤ。馬力は似た様な物でしたが、こっちはコーナーに進入するとキャアキャアタイヤが鳴きまくる(笑)彼等には全く追い付けませんでした。
乗り手の弟さんとボロいが(失礼)手を掛けたスピットファイヤーが、物凄くカッコ良く見えて、二人が(あえて二人と呼ぼう)仲良さそうに疾走ってるのを見て、殊更に俺は羨ましかったんですよね~…
そして普段は散々カローラにお世話になってる癖に「俺のクルマはこれじゃない!これでは無い他の何かだ!!」と正直な自分の気持ちを確認するのでした。
クルマやバイクってのは、幾ら旧くてボロであっても、やはり技術者の英知の結集じゃないですか、人間がその時ベストと信じて造った部品数3万点以上からクルマ1台、バイク1台が構築されて居る訳ですから、そう言うモノって使い棄てじゃないんだよな、て俺は思うんですよね。ある種の命が宿ってんじゃないかなあって。
特にスポーツカーはそう。そのメーカーの考え方や技術力が、スポーツカーには良く現れます。
ミニバンや小型車は造る会社のアイデアですが、スポーツカーは造る会社のフィロソフィーです。
このスピットファイヤーとの出会いが、その後CR-Xを経てユーノス・ロードスターに結び付いて行った要因のひとつだなあ、と振り返ると思う事があるんですよね。
俺の小型軽量スポーツカー好きやバイクの趣味は相変わらずですが、変化したのはこのご兄弟みたいに、機械を自分でいじれる人に対して昔程は羨ましく無くなった事。
昔は機械を自分でいじれる人を「スゴいな、本物のクルマ(バイク)好きはこうでなくちゃな!」と思ってましたが、結局俺は面倒臭がりなんで、自分でいじるより信頼するプロにお任せするのが向いてるんだな、と悟りました。自分の愛車の動く最低限の理屈や構造が頭に入って居たら、まあいいかなあ、と。
自分でいじれる人は、エライとか本物とか言う括りじゃなくて、「機械いじりが得意で好きな人」尊敬してるが俺は向いてない(笑)
俺はクルマはO、バイクはRと言う、どちらも個人営業の小さなお店だけれど、信頼出来るお店に大切なクルマとバイクを診て頂いてます。プロのお話や仕事振りに感動したり、刺激されたりします。
あのご兄弟の自宅は取り壊されてしまい、今は違う方が住んでらっしゃる感じなんですよね。元気にされて居るのかなあ?まだスポーツカー好きで居て欲しいですねえ。