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画像はマツダRX-7。三代に渡るマツダ・ロータリースポーツ(78y初代SA22c型→85y二代目FC3s型→91y~02y三代目FD3s型)の二代目の型で、クルマ好きはその形式名称で「FC」と呼ぶ「RX-7」です。クルマ好きじゃ無いと呪文の様ですな(笑)

5ナンバーサイズの今となってはコンパクトなクーペボディ。FD型RX-7よりはゆとりのある室内空間。先鋭の中の「中庸」と言うものの偉大さを感じる一台であります。俺はFDも好きですがFCは尚更好きです。

これは俺のお店を造ってくれたTさんと言う設計士さんのクルマです。Tさんは大のマツダ党で、俺より4つ歳上ですが、その世代のロータリーは全て愛車にされてると思います。普段の足は最新のマツダ・アクセラ。

FCは趣味のクルマで、この度、あんまり塗装がヤれたので全塗装と相成りました。

いやー、カッコいいす。

FC自体もシブイけど、Tさんのクルマとの向き合い方がカッコいい。

「俺はFCと言うクルマが好きだ。FCは俺の思い出のクルマなんだよ。世間の評価は関係無い(まあロータリー好きは大抵こうだ)」Tさんの年齢と社会的地位からしても、走りのクルマ選びならBMWかポルシェでも良いでしょう。でも「俺はセブンだよ」と。

有事の際、市場価格を上回るお金をそのクルマに突っ込めるか否か。これが乗り手が出来るクルマへの愛情表現のひとつと俺は考えます。

市場価格が10万のクルマに、果たして20万、30万のお金を突っ込めるか。そのクルマがその乗り手にとってかけがえの無いクルマであれば、答えは自ずと出るでありましょう。

トヨタ自動車の開発陣は、初代ソアラの開発に当たり、コンセプトメイクをあの白州次郎に意見を求めたそうです。

したら白州は細かい話は何もせずに

「かけがえの無いクルマを造れ」

と言ったそうです。阿呆な事を真面目に聞きに来るトヨタの人がウザかったか。


白州は晩年、ポルシェ911を愛して居ましたが、911は好き嫌いは別としてまさにかけがえの無いクルマ、代わりの無いクルマです。恐ろしく上下に薄い特殊な水平対向エンジンを、リア・タイヤの更に後ろに積む。そんなクルマは世界中にアレしか無い。「ポルシェ」と言うブランド価値とは異なる意味が911には在ると思います。運転した事無いけど(-_-;)

「ロータリーエンジン」と言う世界でマツダしか市販成功し得なかった、孤高とも言えるエンジンを内包したRX-7。そして自らが世に送り出したロータリーエンジンに天国(日本車唯一の91yル・マン24h耐久レース総合優勝)も地獄(重なる回収出来ない開発費)も見せられたマツダ。ロータリーエンジン、それは底が丸見えの底無し沼。マツダにとっては「俺とお前は焼山葛、うらは切れても根は切れぬ」みたいな関係だった。そのロータリーエンジン搭載車で、結局、一番に「成功」したのはこのFC型RX-7だったんじゃないかな。当時のライバル(日産スカイライン)との優位性、生産台数、あの時期FC型RX-7は国内で最強のスポーツカーでした…。

見方次第で…価格帯を度外視すると、RX-7は911と比類する程の特殊なスポーツカーですが(セブンはロータリーエンジン、911は水平対向エンジンが搭載されなければ、クルマ自体が成立しない)Tさんの価値観はそこだけじゃない気がします。

50過ぎて(スンマセン)綺麗なFCに乗るってTさんてムッチャカッコいい。

ポルシェやハーレーは、巷の評価を得たブランドアイテムの意味が強く、成功の証や自己演出に便利で分かりやすいけど、FCはそれらとは一線を画した左斜め上の存在。

こういう人が、俺にはカッコいい人に映るのです。