駒沢敏器の「語るに足る、ささやかな人生」と言う本を読みました。

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これは筆者が1人でレンタカーを借り、数ヵ月間かけてアメリカの「スモールタウン」と呼ばれる人口1万人に満たない田舎街での旅の体験を記したエッセイ。

戦争、銃、麻薬、貧困、暴力、差別、宗教問題と言ったCNNから得られるアメリカの病巣とは違った世界がスモールタウンには残って居て、それを簡潔な文章で筆者は表現して居ます。

私が特にいいな、と思った一節。

筆者は人口2600人のテキサス州アンソンで、「本当のカウボーイ」のロデオ大会を見る機会に恵まれる。

アメリカでは農機具メーカー等のスポンサーが付く「プロのカウボーイ(!!)」が存在し、全米をサーキットするらしいが、アンソンでは年に1度、ノー・コマーシャルのリアル・カウボーイによるリアル・ロデオが開催される。

その昔ながらのロデオ大会にいたく感銘した筆者は、街の世話役からアンソンに住む「リアル・カウボーイ」の1人、トミー・スプラベリーを紹介され取材をしている。

筆者は「リアル・カウボーイ」の定義とは「牛追いにトラックを使わず、拍車やバックルを自作する者」と聞かされ、トラックを使わず馬で牛追いをするのは、保守性よりも、そのカウボーイ個人個人の価値観や美学から来るものだと説明を受ける。

紹介されたトミーは質素で剛健な自宅に住み、筆者は彼が何でも自分で作業出来る男である事をまず伺がい知る。

トミーの奥さんも自分を他人にどう見せたいか、と言う様な虚栄心に関心が無い素朴で控え目な美人。

筆者はこのリアル・カウボーイの印象をこう評して居る。

「トミー・スプラベリーのきわだった特徴をひと言で言うなら、それは精神が高貴な事だった。~中略~ 礼儀正しく、言葉は平凡だけれど遣い方が丁寧で、普通のアメリカ人の様に喋り過ぎるところもなかった。自分の中に確固とした基準の様なものがあり、それに触れないことは真実ではないとして、簡単に口に出さないように映った。しかしその威厳のせいで、相手に緊張を強いて寡黙にさせてしまうようなところは、少しもなかった」

「リアル・カウボーイ」トミー・スプラベリー!!!

会ってみてえ!!!