携帯電話が広く普及し、我々は何をするでもなくボンヤリする時間を失った。
 

 移動していても携帯を見て、メールだかゲームだかして、脳をボンヤリさせる時間が減った。 
 

 それは私も例外では無く、来たメールはなるたけすぐに返信するのがエチケットだと思うから、
 携帯は常に持ち歩いている。それでも携帯を初めて買ったのはお店を始めて1年後位の35
 歳位から。
 

 今、自分の生活で全く携帯を見ない時間は睡眠時間とバイクに跨ってる時だけだ。
 

 クルマだと信号待ちで携帯をチェック出来るが、大型バイクでは無理なんで最初から諦めて
 いる。でもこれがいい。
 

 大型バイクを操る時、神経と身体はシンクロし、右手でスロットル調整とフロントブレーキ
 の操作、左手はクラッチ操作、右足はリアブレーキ操作、左足では左手のクラッチとシンクロ
 した動きでギアチェンジをする。この作業をスムーズかつ迅速に行う。 
 

 だので、スクーターは私の中では機械操作の楽しみと言う面で物足らない。面倒臭い事を
 積極的にやる為にバイクに乗るという側面が私にはある。 
 

 操作は呼吸をする様に無意識に行う。勿論、前述の様に意識的にも行える選択の余地がある。 
 

 無意識にバイクを運転していると、頭の中が真っ白になって行く。やった事が無いが波乗りも
 こんな感じかもしれない。禅を体験した事も無いが、バイクで長時間走っていると精神の
 内面に深く落ち込んで行く様な感じになる。
 

 これを体験するには一人で出掛けるのがいい。連れだって出掛けると、仲間の事が気になって
 こういう精神状態には陥らない、多分。 
 

 高速道路がこの状態に一番陥りやすい。真っ直ぐな、信号の無い一方通行だから。
 
 

 以前、とある女性がツーリングに参加して「身振りで合図するバイク乗りって、昔のプロペラ
 飛行機のパイロットみたいでカッコイイですね」と嬉しい事を言ってくれた。その時の彼女は
 彼氏のタンデムであったが、その後、普通二輪、大型と免許を取得し、今は乗る側へ回った。 


 携帯とか無くても、以心伝心な感じが彼女にはカッコよく感じたのかも知れない。 


 便利ってのは少し疑った方がいいと思う。それによって失うモノのがカッコよかったりすると  ナンだし。