どんどんカードが貧弱になり、最早一般の人が見る気も起きない年末格闘技ですが、このカードが
 結果的に一番話題になってるみたいですね。 
 

 K-1ファイター(キックボクサー)の長島選手と柔術家(殴る蹴るは不得意)の青木選手が、
 1RはK-1ルールで試合をし、2R目からは総合ルール(投げたり間接を極めたり出来る)で
 試合を行いました。
  

 下馬評では青木の絶対有利でした。青木選手は世界レベルのグラップラーであり、長島選手は
 コスプレで目立ちますが、K-1ファイターとしてはまあ国内レベルの選手です。 
 

 ただし、如何に素晴らしいグラップラーでも2ラウンド目の5分以内で、動く相手からテイクダウン
 を取って、極めて勝つのは難しいです。このルールはストライカーにより有利なのは間違い無い
 と思います。まあミックスルール自体がなんだかあ、と言う気もします。が、試合を受けた以上は
 プロとして言い訳は出来ないでしょう。 
 

 1RのK-1ルールをしのげば、2R目で青木が長島を間接技で仕留めるだろう、と言うのが
 大方の二人の実力差を考えた試合前予想ですが、結果、青木のラウンドになると思われた2R、
 開始4秒でタックルに来た青木の顔面を、長島の強烈な膝が捕え、青木は格下の長島にKO負けを 
 喫しました。 
 

 K-1ルールで行われる1R、青木は全く長島の打撃に付き合いませんでした。
 

 「勝つ」事だけを念頭に置き、お金を払ったお客さんや、テレビの前の視聴者、他の格闘家、
 その他関係各位を全く無視して青木は1Rを逃げまくった。それは滑稽な程、露骨な逃げ方でした。 
 

 アマチュア格闘家ならそれでも良かんべけど、プロが大晦日に埼アリでそれやっちゃ駄目だで。 
 

 しかも青木はドリーム・ライト級王者・・・。
 

 解説席の元K-1ファイターの魔娑斗も「こんな事する位なら、初めから試合を受けるな!」と
 青木に不快感を示していました。因みに青木は数年前、桜井マッハさんと試合をして負けた時
 解説席の山本キッドに「マッハさんカッコよくて強いんで。やっぱ同じ強いならキモくて
 強いより、カッコよくて強い方がいいんで」と揶揄されてましたが、性格的に難があるんでしょうか
 ねえ、ここまで同業者に言われるつーのは。 

 

 「雀鬼」桜井章一によれば、勝負事とは同じ勝つでも負けるでもおのずと質が違い、一番良いのは
 「きれいに勝つ事」次に良いのは「きれいに負ける事」最悪なのが「汚い手を使って負ける事」だそう
 で、「汚く勝つ」なら「きれいに負ける」方が桜井氏の勝負論の中では上位に来る訳です。 
 

 青木選手は大舞台でこれ以上無い情けない負け方をしました。しかし、格下選手に勝ったとしても
 それが相手選手の個性を全く受け付けないあの戦法で掴んだ勝利なら、やはり何の共感も無い、
 感動も無い、関節技だけが得意のしょーもないチャンピオンがしょーもない勝ち方をした、と言う
 だけですな。 
 

 青木選手は負けて恥をかいて良かったのかも知れません。また出直すつもりで心を強く持って
 欲しい。青木選手のファンはあんな試合を望んではいない筈です。 

 

 魔娑斗が解説席で「逃げてるだけじゃ勝てないって事がこれで解ったでしょう!!」と叫んでました 
 が、彼こそ確かに逃げない男だったんですよねえ。