イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

 
 そんなこんなで、海岸沿いを走り、能登半島の先端、珠洲市は狼煙(のろし)と言う地域に向かう。 
 

 その地が今夜の投宿先であった。まあ、夕方までに辿り着けばよい、呑気な道程である。寄り道
 上等な旅であった。
 


 途中、トビの町に入った。
 

 その集落は、強烈な、1パーセントも欠ける事の無い、完全無欠な夏だった。
  

 日差しのコントラストは凄まじく、日向は真っ白にハレイションを起こし、日陰は夜の闇の様に   黒かった。 
  

 お昼どきだが、その集落には人影が全く無かった。 
  

 集落は強い日本海からの季節風から家屋を守る為、独特の竹垣で家を囲っていた。
  

 バイクを降りて辺りを伺ったが、子供も大人も年寄りも居らず。
  

 ただ、頭上には沢山のトビが気持ち良さそうに、真夏の青の中を旋回していた。 
  

 多分、集落の人々は昼間、トビに姿を変えて、暇つぶしに空を舞っているのだろう。
  

 間抜けな、茹でダコライクな、オートバイの闖入者を上空から見て笑っていた事だろう。 
 

 そして涼しくなる夜、人の姿に戻り、竹垣で守られた家に柔らかな明りを灯す事だろう。 
  
 

 集落を見渡せる丘に登ってみると、原っぱに風が吹いていて、とても気持ちが良かった。