大店米屋 「おお~~これは清の守。この度は御苦労じゃった」
  

 清の守 「これはこれは、米問屋殿。こたびも戦の助太刀、誠に助かりもうした」
  

 海鮮問屋 「ほんにほんに、あの様な謀反があるとはのう」
  

 清の守 「これはまた海鮮問屋殿。かたじけのうございました」
  

 呉服屋 「ほんにのう、我ら熊谷は商人の街じゃからのう、あの様な波風は困りおるわ」
  

 清の守 「いえいえ呉服屋殿。この清の守が今まで通りにぬるくやります故、当分は安心かと」 
  

 大店米屋 「頼んだぞ、ミスター風見鶏、元々そちも米繋がり、農地奉行の出であろうからの」
    


     そこへ「清の守様~~!!」と血相を変えた都市計画奉行が入って来る。 
    


 都市計画奉行 「清の守様、町人より国道17号の車線規制を何とかしろと。二車線道路をいきなり
         市内で一車線に規制する為大混雑。事故も起き、裏道や生活道路に逃げ込むクルマ 
         が後を絶たず、歩行者からも苦情が。しかも自転車利用者の為に規制、解放した
         車線は自転車どころかゴキブリも利用していないと」
          

 清の守 「苦情?捨ておけい。最初から承知の上じゃ。車線規制は国からの攘夷である!!文句を
      ぬかしておるのは貧しい者であろう?町うちの小金持ちには夏祭りを与えておる。あれで
      せいぜい憂さを晴らせば、政治の事には口出しせんわ!!」  
   

 都市計画奉行 「は・・しかし清の守様、またみのさん辺りに突っ込まれると面倒な事に・・」
  
 

 清の守 「攘夷と申したであろう!!現代の攘夷は『エコ』じゃ!!『エコ』の前には例え
      みのさんでも手出しはせんわ!!」 
   

 都市計画奉行 「妻沼県道の道路拡張、車道4車線化で商店を立ち退かせた筈が何時の間にか
         自転車道にすり代わり、付近の町人からスジを通せとの声が上がっております」 
  

 清の守  「言わせておけい。特例市は独自の判断で動けるのじゃ。町人一人一人の意見なぞ
       聞いておったらキリが無いわ!」
  

 大店米屋 「そうそう。『弱者や老人に優しい』も効果的じゃぞ。大義名分と言うヤツじゃな」 


 呉服屋 「ホントはちっとも優しくないけどネ!」 

 
 海鮮問屋  「それはそうと清の守よ、例の準備は進んでおるであろうな?」
  
 

 清の守  「御意に。まずは小うるさい鎌倉通り。ここを無意味に歩道を広げ、且つ鉄棒で圧迫感を
       与えて路上駐車を一掃。これにより、買い物客は激減、60店あった小店は30店に
       半減」
  

 呉服屋 「よくやってくれたな。あの商店街はうちの店の近く故、目障りであった」
   


 清の守 「更には駅近い弥生の通りも歩道を広げ、無意味に曲がりくねらせ、買い物客はおろか
      地元の小商いをしておる連中の車も停める事を困難にさせてあります。これには宅配
      便業者も苦虫を噛み潰しております」 
  

 大店米屋 「うむう、上出来であった。買い物客の流れが弥生に向けば、我が新店舗にも影響が 
       出る。兎に角、クルマ社会のこの熊谷で、クルマを使えなくする事が、町うちの
       小店の撤退に繋がる。あのシャッター街を見れば、新たに小商いを考える町人も
       出て来ぬわ!!」 
  

 都市計画奉行「一部の若い商人が町うちで気を吐いている様でございますが、何分この不景気で
        青色吐息。町人共も値段の安いが正義となり、流れは完全に大店様達に向いて
        おります」 
  

 清の守  「更に今回の主要国道の片側を規制する事で、町なかは人はおろかクルマさえ億劫で
       通らなくなりましょう。さすれば、資金力の無い小店はやがて消えて無くなり、資金力
       を背景に大駐車場を完備する大店の天下となる日もすぐそこかと・・・」 
  
  

 海鮮問屋 「さすれば大店のみの街となり、年貢も取りやすく、一石二鳥と言う訳じゃ」 

  

 清の守  「左様でございます。目障りな町民、小商いの商人など一掃してくれましょうぞ」

  

 三大店  「清の守、お主も悪よのおおおおおお~~~」