教授の投げっぱなしジャーマン研究室

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第四回 総集編30集 凶バトル検証



『これより、名誉教授の検証学会を行います。 教授お願い致します』


はいはい。


えー、
今回は週刊連載後に発売される単行本以外に、
出版元が一粒で二度美味しい雑誌。
コチラの総集編30集について検証してみたいと思います。


皆さんのお手元にもすでにあるようですが、
大変危険なので喧嘩の武器としての使用はお止め下さい。

さらに、猫の座布団・春眠暁を得ず枕・原稿用紙に貼ったトーンの押さえなど、
本来の役割り以外への使用も控えるようご注意をお願いします。



『教授、お時間が迫っておりますが……』


はいはい。



さて、
今回で30集目に入ったこの総集編ですが、
見返すことで新たに気がついた点が幾つかありました。

それは散らばった伏線も多く含まれており、
連載時には曖昧だった様々な背景が目につきます。
そこでワタクシなりに調査した結果を本日ここで発表し、
ご批判はすべて宇宙に投げ捨ての、
地球には優しいけど大気圏外にとって、
非常に汚染度の高いレベルで進めたいと思います。


パチパチパチパチ(会場)



えー、
まず初めに何故この試合を選んだのかと申しますと、
半年ほど喉の奥に刺さった魚の小骨を思い浮かべて下さい。
はい、とっても不快感ですね。
それです。
ワタクシはずっと喉に引っかかっていた骨について考え、
この試合がどうしてこうだったのかと悩みました。


最 凶 対決!


そう名付けられた試合の渦中にいた人物は、
沢村竜平と間柴了の2名でしたが、
危険性を秘めた両者が繰り出したのは、
長年培い積み上げてきた誇りではなく、
奪い合いよりも激しい殺戮の連続でした。


ですが、
問題は目立つ反則部分ではなく、
テーマが狂気だったとしても、
別の視点で戦う両者がそこにいた事実が御座いました。


そこでワタクシは恐がる調査員と共に、
生命保険の2倍掛けを書面にて約束しつつ、
沢村と間柴について調べ上げたのです。


おー!(会場)


はいはい。
ビックリするのはまだ早いです。

まず問題の反則は南アフリカ共和国に置き、
このバトルでの最大の共通点についてご説明致します。


えー、
皆さんはララパルーザを覚えてますでしょうか?

そうです。
千堂と幕之内のフェザー級タイトルマッチのことです。
あの試合はベルトではなく誇りを賭けて争いましたが、
実は今回の試合も同じだったことに気がつかれた方はいますか?


ざわざわ(会場)


『会場内の皆様、ご静粛にお願い致します』


騒ぐな騒ぐな。
はい、これは千堂の台詞ですね。
まあそれはどうでも良いのですが。


あまりにも狂気に目が向いてしまった為、
我々はその禍々しさに奪われてしまいましたが、
ベルトが欲しい奪い合いは勿論あっても、
そうではない自身の誇りを掲げて戦っていた試合でもありました。


生まれも育ちも環境も違うのに、
恐ろしいほど類似する影が二つ重なる出来事は、
振り返っても千堂と幕之内戦以外に見当たらず、
コレは別次元でのララパルーザであったとしか例えられません。


そこでララパルーザ当時の背景を持ってくると、
幕之内には梅沢くんが、
千堂には浪速ッ子軍団やらと、
フィールド外で応援する仲間が存在していました。


今回のバトルでも、
沢村には河辺教諭が一人でその背を見つめ、
間柴には妹の久美が祈りを捧げています。
ついでにホール名物の足踏みも復活したので、
別ララパルーザへの素材は充分揃っておりました。



おおー!(会場)



さて、
これだけではまだまだ納得されない方もいると思うので、
先に学生時代の千堂の肉声をお聞き下さい。


(テープ音)


「ワイらはな、自分以外に上がおるのを認めへん。

何故やと?アホ! そういう人種やねん」


この貴重な肉声は河辺教諭からお借りしたものですが、
学ランを着込んでいた当時に千堂が放った台詞でして、
一つ注目すべき点が御座います。

千堂武士は過去に二度も幕之内に決闘を申し込み、
その執着心は海を越え山を越えて各地に轟きましたが、
そういう人種だと沢村をはっきり位置付けするなら、
沢村もまた幕之内に対決を望んだ千堂に重なり、
同時に孤高のヤンキー気質を匂わせます。


ではもう一つ肉声をお聞き下さい。


(テープ音)



「ククク……オレはこの拳で這い上がる」

はいはい。
右奥の方、驚いて机に潜らないように。


こちらは間柴がジムでひっそり語った台詞で御座います。
邪魔する奴は息の根を止めるとも宣言してましたが、
先ほどの沢村が千堂と共通する点があるなら、
間柴は幕之内と似通った線を持っております。


それは、
認めてもらえなかった自分が最初にあり、
王者になったことで周囲から歓声を浴びたが、
その枠に収められると違和感を覚え始め、
どうにかして自身を取り戻そうとする姿です。


そこまで頑なになる部分だけ差し引くと、
まさに頑固親父が経営するこだわりの寿司屋の如く、
ある意味、幕之内と同等の信念を持ってると言えるでしょう。


しかし、
どんなスポーツでも反則をやってはならないのに、
何故あれだけ彼らがそれにこだわったのかを思うと、
両者の意思を唯一掴めそうな人物に答えがある気がします。


ですが、
貴重な資料になるべきインタビューを前に、
その人物は我々に一つの注文をつけたのですが、
……まあお聞き下さい。



(テープ音)


「それでは、先ほどの質問についてお願いします」

「おう、オレ様は語ると長いぜ」

「どうぞ宜しくお願いします」

「……ん?」

「あのぉ、始めて頂けますか?」

「よう、今日のパンツの色はなんだ」

「はい?」

「答えねぇならオレ様がちょっくら」

「きゃぁーーーーー!?」

「騒ぐんじゃねぇ!」

「なにしとるんじゃ、この馬鹿モンがぁ!!」

「い、痛ぇじゃねーか、このジジイ!!」

無音



「では……もう一度質問に」

「おう」

「大丈夫じゃ、コヤツはワシが見張っておる」

「す、すいません、ありがとう御座います」

「む」

「早く答えんか!」

「イチイチ叩くんじゃねぇーよ!ジジイ!!」


無音



「とりあえずアレだ、

 猫が猫に負けるワケにはいかねぇってことだな」

「ご、ご協力ありがとう御座いました」


えー、
編集に間に合わずお聞き苦しい部分がありましたが、
鴨川ジムに所属する鷹村守の肉声でした。

彼のインタビューは大変難航致しまして、
可愛いお姉ちゃんでなければ引き受けないから始まり、
途中、スカートを捲る荒業まで見せましたが、
調査員が涙目で得たこの情報は大きいものでした。



「教授、どこら辺が大きかったのでしょうか?」


はいはい。
目の付け所がシャープな質問ですね。


お手元にある総集編の中盤を読み返すと、
鷹村が猫田の家に遊びに行っている描写があり、
そこで口にしたこの台詞がとても気になりました。


『資料をお持ちでない方は、コチラを御覧下さいませ』


えー、
ボードに台詞を書いてみましょうか。


【 オレ様だって一人になりてぇ時がある 】

ワタクシは常々思っているのですが、
人間には二通りの心の温存型があると考えます。


一つ、誰かによって蓄える力
一つ、孤独によって蓄える力


主人公である幕之内は人に支えられて成長を見せますが、
今回の最大のテーマは孤独だったのではないか?と。


えー、
原作内で両親を失った人物を挙げるとするなら、
千堂・沢村・間柴が代表格として存在していますが、
千堂武士には祖母が傍におり、
その他にも年齢不詳のヤンキー軍団の引率や、
チビッ子たちの楽しいアンチャンだったりと、
想像よりも多くの人に囲まれておりますのでここから外すとします。


では残る二人はどうなのか?

沢村竜平は河辺教諭に出会うまで、
人との触れ合いもなく淡々と心を凍らせてましたが、
献身的な支えに気がつき教諭にだけ弱さを見せるようになれました。


間柴了には妹の久美が最初からいましたが、
支えられると言うよりも、
支えていかなければならない事情があり、
それでも久美の優しさに助けられています。


これを踏まえた上で沢村と間柴を引き出すと、
実際にはどちらもが似た環境下で育ち、
心のひん曲がり具合も酷似していたことで、
試合内容としては結果になってしまいましたが、
お互いを高め合うことで部分が生まれていれば、
この試合はララパルーザ以上になれたようにも思います。


なんと惜しいことでしょう。
倒すことに執着していた場面も、
何度も立ち上がった姿も、
持ってる弱さを克服した点も、
に流れていれば最の親友にさえなれたのに、
それを上回る心の闇が見ているものを濁してしまい、
の敵になってしまいました。



人間が相手を震えさせ貶める方法など、
別に武器を探して使わずとも簡単に行えますが、
通常の状態でそれを知る術はとても難しいのです。



【 狂気 】



はい。
ここで鷹村の言った「一人になりたいオレ様」が登場します。


過去に行ったバトルオブホークで見せたのは、
野性と科学の融合だけじゃなかったのはご存知でしょうか?


人を殺める武器としての拳は、
その破壊力も勿論ですが、
持ってる人物が放つ気配もそこに足されます。


武器だけで殺める方法は数多くあれど、
それに慣れてる相手には通用しない場合があり、
最後に残るのは気配ではないかとワタクシは思います。


リング上の殺気を誰よりも先に使った人物。
大阪の千堂が得意とした殺気を籠めたパンチを思い返しても、
あれも一種の狂気が生んだ戦法であり、
取得出来るその性質を考えると、
荒れ狂ったゴンタ時代が見え隠れ致します。


えー、
それを踏まえると、
鷹村が当時世界最強だった相手に使ったのは、
大昔から解消されない心の底に眠った狂気がありますが、
間柴や沢村のように普段から外部に放たないでいる理由に、
鴨川会長やジムメイトとの繋がりが見出せるので、
鷹村の内部では狂気よりも、
表面化での安楽が勝ってるのだと思います。



ではホークが敗北した理由を探すと、
裏表なく自由自在に放つだけの狂気と言うのは、
ある程度の凄みを帯びることがあっても、
継続するおっかなさがそこで均一され薄まってしまい、
相手がおっかなさにもしも慣れてしまえば、
爆発させるだけの強さが存在しないのもわかりますね。


つまり、
ジャパニーズ相手だと鷹を括ったつもりでいたのに、
蓄積されてお得な高利回りの貯金率を持ち、
そこに親孝行に不足ナシ!の息子感情がプラスされ、
普段見せなかった殺意を鷹村に芽生えさせてしまったことで、
楽勝ベイビーがご破算になったと言うことです。


いいですか?
見た目がアレなヤンキー坊ちゃんがいたとして、
通常の状況なら恐い存在であっても、
眼鏡を取った後のヤンクミのがもっと恐かったって言う、
怪物には上がいる典型があのホーク戦だったんです。


ですが、
普通ならば角が取れて丸くなったと喜ぶべきなのに、
鷹村は断固して円形になる自分を拒み続けます。


例えば、
長年慣れしたんだ相手への労いや、
やっちゃいけない最低限の行為など、
彼の思考にあるはずの学習機能は使われないままで、
一向に正す姿を見せようとしません。


ではそれは何故でしょうか?

多分、野生の生き物は飼い慣らされると牙が弱るので、
適度に放たれないと存続が難しいのでしょう。


「質問、それが猫ちゃんのペンションなんですか?」


良い質問です。


一人きりになって旅をすると言う意味ですが、
客観的に自分を見直すと共に、
これは一種の自虐行為でもあると思われます。


誰も知らない街を放浪することで、
自分以外に頼れる者はいない状態にまで貶め、
現世とほどほどに断絶をする中で、
生温くなった意識をばっさりと斬り捨てる。


それによって、
失ったらいけない心の迷いと語り合いながら、
なに喰わぬ顔でひょっこり帰ってくるのを繰り返し、
鷹村は唯一の武器である暴挙野生を守ってるんですね。



「では、沢村と間柴の孤独はどうなんですか?」


えー、
鷹村は孤独と仲間意識の両方を手に入れた人物ですが、
沢村と間柴は一定の位置まで伸ばした手を引いてしまい、
個人が一番濃い影を作る孤独へと戻っていきました。


彼らにとっての孤独は鷹村とは元が違うので、
良い例として鷹村を上げてみましたが、
実際は別の色だと考えて下さい。



「質問!どうして違う色なのでしょう?」



思い出して下さい。
鷹村は実家を飛び出しただけで一人ぼっちではありません。
好き好んで太田荘に暮らしているだけであり、
帰ろうと思えば居場所は残されているはずです。


心配してくれる姉や弟や兄も存在していますし、
ジムがほとんど家族のような状況にいれば、
孤独を感じる暇がないほど、
心の中はある程度満たされていると言えるでしょう。


だから彼は自らの力で孤独へ導こうとするので、
望んで密室を作っているようなものですが、
それがないと生きられない性もあり、
一生変わらない生き方の枠に住んでいると思います。


ですが、
沢村や間柴は望んでそうなったのではなく、
抗えない力によってなってしまった時代があり、
振り返り続けては空洞を広めるトラウマと対峙しています。


そうです。
このトラウマには呪縛と言う魔法が備わっており、
常に敵対するなにかが彼らには見えているんでしょう。


本来なら人間の感情にある
優・情・救・労・癒
この5つの柱で相手の心を分析をするとしても、
まず最初にこれらを知り覚える作業が必要になります。


もしも、
いつも誰かに痛めつけられたり、
裏切られるだけしか知らないなら、
どこかで自分を認めてくれたとしても、
残念ながら脊髄反射でそれを跳ね除けようとするでしょう。



「教授、その意味は?」



はいはい。
その意味はたった一つしかありません。

恐いからです。


期待をすることで失敗をして、
期待をされても成功も出来ず、
それが長年の人格を作ったとするならば、
二度と同じ轍を踏まないように注意するでしょうし、
心を見せたらその城が崩壊する危機感も持ってしまいます。


沢村があれだけ肉に執着する理由は、
母親と最後に食べたステーキが残っているからですが、
口に含む物にすがる傾向に肉親への渇望が元々あるので、
彼自身は無意識であっても、
食べることで一旦幼児化していると思われます。


河辺教諭とファミレスで会った時に、
減量中でも肉を選んだのは単純に好物たっただけではなく、
食べることによって素直さを表す道具に繋がり、
初めて「頑張る」と言う表現を出しました。



「でも、その後「殺す」とも言いましたが……」



えー、
多分アレは食べ終わったから元に戻っただけなので、
ずっと食べればもっと「頑張る」が聞けたと思います。



「質問です!間柴は幼児化しないんですか?」



これは素敵な質問ですね。


間柴が幼児化するキーワードは妹の久美だけです。
彼は自分で兄だからと抑えているつもりですが、
眉毛の動きだけですべてを読む能力があるうちは、
久美に勝る者はいないと言えるでしょう。


王者になるまでは経済的に久美に支えられた時期があっても、
王者になってからは自分が支えてると思い、
これで久美の尻に敷かれず威厳が保てたと考えてますが、
どっこいまだまだ尻の下に収まってます。


と言うのも、
妹は成人している年頃なのに、
なにかあると後をつけてしまう癖が抜けず、
父親のようでありながら実は子供の部分にいます。



「そうすると幕之内と久美の関係をどう思ってるんですか?」



はっきり申し上げるなら、
母親を取られる危機ですね。
間柴にとって幕之内は妹の恋する相手ではなく、
母親に横恋慕する間男の位置付けに違いないと思います。



「教授、そうすると今後も無駄だと?」



いえいえ、
誰もがいつしか母親から巣立つものなので、
間柴の心に自信が生まれれば自然に離れていくことでしょう。
ただ現時点では難しいとは思いますがね。


さて、
両者共が母性に餓えている同士でこの死闘に入りましたが、
反則技を行う理由についてワタクシが解釈するならば、
互いが過去に一度ずつ別の試合で行ってる現実があります。


間柴は宮田一郎に、
沢村は幕之内一歩に、
それぞれが各々の方法でやってしまいましたが、
勝つことへの執着心だけを焦点に当てると、
ある場面で鷹村が言った「おめーらは甘いな」が浮かびます。


この甘いと言う響きは、
決して反則を認めてるわけではないですが、
渇望する欲に対しては納得出来るわけで、
一握りの頂点に立つ原則を持ち出しているのです。



「質問!その原則とはなんでしょうか?」



えー、
狭い壇上に登る為には、
紳士的なだけでは到底達せない次元があり、
ただ蹴落とすだけじゃ順番待ちをしなくてはなりません。


相手が瀕死の状態であっても、
リングで立っている間は命さえ断ち切る思いがなければ、
その場に立つのは自分に変わるだろうと、
鷹村語録を通訳するならこう変換出来るのはないかと思われます。


殴り合いの世界で正当さを謳うのではなく、
踏みつけて高笑いをする勢いがあってこその実力が必要であり、
そこら辺はリカルド・マルチネスの真髄とは別ですが、
日本でただ一人の世界チャンピオンに君臨する言葉は重たいものです。


しかし、
途中からなりふり構わずでそうなるならまだしも、
初めから殺意万端の状態で挑む姿に、
本来のスポーツ精神はどこにも見当たりません。


久美にされた因縁だけで執り行った間柴と、
見たい世界があるなら殺しても奪う沢村は、
走るだけのドッグレースだったはずの犬同士が、
檻の中で生死を賭けた闘犬に変わるぐらいの衝撃がありました。



「あのぉ、何故に反則なんですか?」



ワタクシがあの試合で悟ったことは、
そこに己の姿を見ただけのように感じています。


沢村にとってバイクだけが自由を見せてくれるなら、
大事なバイクを軽く扱われた怒りがあるだけだろうし、
間柴にとって妹の久美が唯一の肉親であるなら、
その久美へ拳を振るった憎しみを増幅させるだけでしょう。


互いが互いの大切なものへ手をかけただけで終わらず、
その憎しみと怒りが人々の想像以上に大きく育ち、
さらに放つ気配が類似しているなら、
喜ぶべき同志を発見し、
嬉々としてリングに上がった千堂や幕之内と違い、
抹殺すべき対象として自分を封印しようとしたに違いありません。



そうです。
過去へ戻るシーンが繰り返される度に、
思い出したくない映像が鮮明に思い出され、
そして残像が狂気を上書きして彼らの決意を強めるのです。



同じ場所で自分と同質の者を見た時、
人間は驚きの後に好意か嫌悪を選びますが、
もし嫌悪のカードを引いたとしたら、
自身が一番嫌だと思っている部分ばかり目につくでしょう。


反則を連続して行ったと言うことは、
互いがとっくに捨てた忌まわしい過去に見切りをつけられず、
振り返ってはならない闇に囚われた結果として試合に現れただけなのです。



幕之内の影を払う為に出した暴力と、
幕之内の光りを求めて出した暴力は、
倒れても殴っても立ち上がる恐怖と一緒に、
永久に消したはずの狂気をまた復活させてしまい、
その代償として作り上げた信頼を引き換えに、
恐怖に怯える自分をその場で殺そうとしたと。


さて、
ここでおわかり頂けてる顔が幾つかありますが、
ワタクシが言いたいことはコレなのです。

いいですか?
自分と立ち向かえとよく励ましの言葉で聞きますが、
空想の中で客観視した自分との争いはあっても、
肉体を持って登場する自分と出会う確率はほとんどありません。


それは精神の防衛反応が働くからか、
似たような人種を見つけることはあっても、
1から10まで重ねて仕立て上げるなど危険きわまりない。


ですが、
稀にドッペルゲンガーに出会う人物も存在します。

もしもそんな状況に陥ったとして、
好意的に受け入れられたなら離れ難い関係に深まるとしても、
反発し合った場合『コピー』は必要ないと殺意が芽生えるでしょう。



「教授は二人を本物でありながらコピーだと思うのですか?」



えー、
外見や中身がまったくの別人であっても、
肉体の器だけでその人のすべては語れません。
間柴と沢村がインプットした殺意と狂気のレベルは、
移植手術が可能なドナーにまで達していると考えるので、
見た目の拒絶反応よりもっと深部に意味があると思われます。


ただワタクシが想像する以上に、
その後の両者についての描写がないので、
これ以上の推測は絶望的ではありますが、
沢村は欲していたベルトを手に入れたことによって、
自分の『コピー』である間柴を表面上で殺したことになり、
リングの上で失格を受けても沢村を場外に跳ね除けた間柴は、
そちらも『コピー』である沢村を抹殺したと考え、
今後なにかのきっかけで対面しても記憶の彼方だと考えられます。



「つまり、怨恨は消えたと?」



そう取るのが妥当でしょう。


それでも日本での登録が不可能な事態にまで、
間柴は己を追い込んでしまったので、
これから海外に出ていくと言うのなら、
同階級にいるヴォルグ・ザンギエフと交える可能性もあり、
残された道が茨であっても手立てはまだ生きています。



「沢村についてはどうなんですか?」



重症を負ってから年月が経っていないのでアレですが、
リハビリ後の復帰を望む気持ちはワタクシにも御座います。

河辺教諭に肉親から本来与えられるはずの愛情を貰い、
心の底で初めて欲しいと思ったべルトを手に入れ、
それが反則を使って奪った事実であっても、
最後の最後で沢村がそのカードを引いていないなら、
試合で失った戦いの記憶と共に呪縛の中にいた自分も消えたはずです。


沢村が一人で歩いてきた道は、
ここからもっと険しくなると思いますが、
彼の魂は長年の呪縛から解放されたとも言えますし、
そのうち元気なった暁には千堂を仰け反らせるような、
どこで笑えば良いのか不明なギャグをボソリと飛ばせるぐらい、
あの人格にそこまでの変貌が生まれたら良いなと思います。



最後にこの試合を締め括るなら、
おみくじを引いてが出たとしても、
そのうち大吉に繋がる確変が実行されるだろうと信じ、
嫌いだった自分の過去と大きな決別する為に、
人智を超えた苦悩を握って葛藤を繰り返すことになるでしょう。



それが傍目には卑怯だと罵られても、
紛れもなくそこに自分自身が存在するのであれば、
これからの未来を試す意味で死闘は免れないと思います。


結果は己の心に宿るもので、
誰かが判断を下す為にあるわけではないと、
沢村と間柴の戦いについての解釈はこれで終了になります。



パチパチパチ(会場)



しかし、
ワタクシがもしワタクシに出会ったとしたら、
まず手始めにやることは争うよりも、
合理的に過ごせる計画を考えるかもしれません。

朝は相手が動き夜はワタクシが動くのであれば、
ワタクシは目覚まし時計を人生から捨てることが出来るのです。


ですが、
相手も夜に行動したいと言い出したなら、
そこから激しい死闘が始まってしまうでしょう。
さらに仕事がワタクシの役割りで遊びが相手であった日には、
パーティー用のキラキラ三角帽子と一緒に、
100円ショップで一番大きいハンマーでも買い込んで、
命懸けのジャンケンに勤しむはずです。


こう考えると、
沢村と間柴の試合はワタクシたちの醜い戦いよりも、
よっぽど全うなスポーツだったと言えるかもしれません。


『以上を持ちまして、名誉教授による検証を終了致します。ご視聴頂きありがとう御座いました』


第三回、木村達也検証


『 只今より、名誉教授の研究発表を行います。教授、宜しくお願い致します 』


はいはい。


えー、
本日は少し違う角度で自然界の生き物が持つ神秘を切り口に、
【木村達也】について検証したいと思います。

ご存知の方も多いと思いますが、
木村達也と言う人間には自然がつきものでして、
実家が花屋だけではなく、本人も生き物を飼っております。


えー、
それだけなら題材にする必然性もあまりありませんが、
幕之内一歩が犬を飼い、大阪の千堂が猫を育てる。
ここら辺は一般的な捻りなく、素直に愛でられるペットですが、
木村達也が選んだのは、古代魚としても有名なアロワナであります。


えー、
アロワナを一口で説明するなら、
その姿形から『龍魚』と呼ばれ、
アクアリストたちの最終目標にも挙げられるような、
地味な色合いの古代魚たちの中で唯一光りを放っている、
ゴージャス万歳!ビバ叶姉妹!と言うような、
鱗一つで人間を惑わす色気を持つ魚だと言えるでしょう。
非常に魅力に溢れ「お前がいれば世界もいらない!」

と、そんな叫びでうっかり水槽の前で寛いだ日には、
二度と現世に帰ってこれない、
異次元了解!タイムトラベルに陥いる美しさを抱えております。


ですが、
この魚に魅せられたが最後、
破壊的なその魅力によって金銭的に溺れ、
美しさに取り込まれた貧乏神になることも、覚悟しなくてはなりません。


そこで、
ワタクシは調査員と共にこの魚を育てている木村について、
従来の方法とは違った角度から検証してみました。



(会場内)おー!


まず、
アロワナと言う魚は見た目以上に繊細でありつつも、
実際はかなりの大食漢でして、
育つ勢いを自分で止められない生き物でもあります。
10cm程度の稚魚を購入し、その為の水槽と器具などを揃えるだけでも、
水槽一つでさえ、最低120cmクラスの大型を用意せねばなりません。


良いですか、
極一般的な風呂桶≒250リットルだと思い浮かべて下さい。

アロワナ一匹に必要な水槽を120×60×45で考えると、
総水量が約300リットル・風呂桶との比率 1.4倍 ・総重量が390kg。
このサイズですと平均200リットルの水量が水槽内に収められます。
それを3日に1回交換するとしても、
一匹の魚に対して、こんな入れ換え行為について思うのは、
相当な水道代を考えなければならないと言うことです。


さらに、
夏は水温30度、冬は26~27度をキープさせ、
水質管理やらなんやらと落ち着きのない生活になるなら、
犬や猫並に手間暇がかかるペットだと言えるでしょう。


例えば、
先程の水槽一つを選んでみても、
強度のあるアクリル水槽を購入しなければなりません。
ここを安く済ませようとガラスにしたなら、
後々、大きく後悔することを覚悟しなくてはならないでしょう。
何故ならアロワナ飼育の醍醐味に『ジャンプ』があるからです。


「質問!」


はいはい。


「それは木村が得意とする、ドラゴンフィッシュブローのことですか?」


良い質問ですが、ちょっと先走り過ぎです。


必殺技については、もう少し後で説明しますのでお待ち下さい。



えー、
話を戻させて頂きます。

美しいだけでなく豪快な餌喰いも魅力の一つですが、
個体によっては脱走クセのあるアロワナもいるそうで、
ジャンプと同時に外に飛び出てしまうこともあるようです。

中には、
皿のように縦に平らな尻尾を使い水槽をぶち壊すものや、
手に負えないいたずらをするものまで存在します。


さて、
木村達也をこのアロワナと言う魚に重ねることで、
実はある不思議な繋がりを見つけました。



(会場内) ざわざわ



ガラスを突き破る豪快さと手に負えない暴力性、
これは学生の頃のリーゼント時代によく似通っております。
もてあましてるFrustration You've got an easy dayな、
BOOWYサンキュウ風に随所で暴れ廻り、
盗んでいないバイクで近所を走り出すような、
そんな落書きの教科書と外ばかり見てる俺だった木村は、
ガラスの水槽の中で自分の日常を壊そうと奮闘し、
暴力に塗れた日々を送っていました。


『 映像の調節はお手元のクリックでお願い致します』










しかし、
15cmの稚魚が、
たった8ヶ月で50cmを超えるアロワナからすれば、
簡単に壊れるような水槽を好むはずもなく、
木村はこの後ガラスを捨て、自らの力でアクリル水槽を吟味し始めます。


「質問!」


はいはい。


「それが鴨川ジムってことなんでしょうか?」


とても分かり易い質問で宜しいです。


「ありがとう御座います!」



えー、
Bad Boy Meだった木村が叩いたアクリルの水槽。
この容器を彼はどのように吟味していったのかに焦点を当ててみましょう。


まず、
先程の風呂桶と水量に話を少し戻します。
あのような膨大な水量がもしも室内に零れたとしたら、
この支配からの卒業どころか大変な状態に陥ります。
例えば木村のいる二階の部屋にこれを当て嵌めてみると、
床の張替えだけでなく階段を流れ落ち、
階下の店にも被害が訪れるはずです。
それは単純に計算しても数十万単位の損害額にあたります。


これにより、
柔な水槽では彼の住処には到底無理であると言うことと、
安全性と頑丈さがなければ落ち着いて生活も出来ないと言う、
シェリー、俺は負け犬なんかぢゃないよな?!
そんな感じで自問自答していた日々もあったはずです。


しかし
水槽を見つけ安定と機能性を手に入れたとしても、
煮えたぎる己の生き様をこの場所で初めて覚え、
木村はこれまでにない、生きている自分に出会います。


それによって、
生きていく為に必要な餌へ彼は取り掛かろうとするのですが、
アロワナと言う高級魚であるが故に彼はまた困難に出会いました。


まず、
アロワナの餌として挙げられるのが、
コオロギ、ミルワーム、ザリガニ、冷凍海老、小魚などその種類は数多く、
栄養の偏りが無いようバランスよく与える必要性があります。
しかし長い付き合いになる魚でもあり、
栄養のバランスなどを考えると偏りを減らし量も考えなくてはなりません。


例えば、
幼魚は一日に数回のグッピーやアカヒレの稚魚を与えたり、
冷凍アカムシや生きたアカムシを水面に浮かべるなどの工夫が入り、
若魚から成魚には生餌(金魚・エビ・コオロギ)を与えつつ、
一日3回を1回10匹前後としても、
コオロギ100匹→約500円と言う金銭でも頭を悩ませる高級魚。


彼は自分の食い扶持を自力で求めるには、
日々鍛錬する以外に方法がないと知りました。
バイクから徒歩になり、リーゼントがサラサラヘアーに。
タバコの代わりにと鷹村からのボディーブローを吸い続け、
リバース&スキップで大逆転を狙う木村。
そんな姿にはかつての我がままジュリエットは見えず、
ONLY YOU 飾らないで!を貫く精神を感じさせます。


さて、
順調に成長を続けながら、
リングでも上位ランカーに名を連ね出した頃、
木村は人生に置いて最上級とも言える逆境に出会います。

誰が呼んだか死刑執行!

鎌首抱いてる兄さんが、階段の上で手招きしてるぜ!

と、そんな笑えないポスターに背中だけを写し、
単独飼いを基本とするアロワナらしい姿でこれに挑みます。


不思議なことに、
このアロワナと言う魚は、
単独の割りに混泳を拒むタイプではありません。
常に上層部を旋回するアロワナの姿に魅せられ、
ついつい他の魚を同居させてしまう気持ちをも抱かせる。
そんな小悪魔的な気配さえ漂わせるアロワナですが、
魚にも性格や相性と言うものがありまして、
絶対に大丈夫などと言う保証はどこにもないのであります。


しかし、
底を中心に生活する淡水エイや大人しいナマズを筆頭に、
打たれ強く無関心さも時に持つオスカーやダトニオなどと住ませると、
共有性を覚え喧嘩もなく、袂を割った心強い友人にもなれると申します。


はい。
ここでお気づきになった方もいると思われますが、
打たれ強く時に無関心さを装える魚を青木に当て嵌めると、
単独行動のアロワナの唯一信頼が置ける友人になるのだとわかりますね。


「質問です!」


はいはい。


「そうすると他の鴨川メンバーはどうなんでしょうか?」


まさにGJ!な質問です。



ジムの後輩である幕之内一歩は、
自分で静かな底を好むようなマイペース型です。
特に、
自らが無理な行動を起こさない大人しいナマズのようでもあり、
地震がない限り寝て過ごす性質を持っています。
この場合の地震は恋だったり試合だったりしますが、
基本的に彼は物怖じしなくて良い場面で物怖じをし、
普通するだろうってシーンで常にぼーっとしております。


そして、
ジムの筆頭でもある鷹村守について混泳を考えてみたのですが、
彼の場合は逆に混泳と言う部類に収められない魚だと言えます。
例えばバラムンディに当て嵌めてみると、
この魚は必ず上記の魚達を虐めてしまいます。
それが愛なのか暇だったからなのかはわかりませんが、
大事な魚を死なせないためには、
出来るだけこの魚を暴れさせないようにする注意も必要です。



えー、
そんな風に水槽での混泳やら餌について調査しましたが、
ここで本日の本題でもある、
『ドラゴンフィッシュブロー』に入らせて頂きます。



(会場内)パチパチ



アロワナと言えば水面ジャンプが有名ですが、
ブラジルなどの原産地では飛ぶ鳥さえも捕食すると言われ、
水面に落ちた昆虫だけを食さない獰猛さも兼ね備えております。
そのジャンプ力は飼育者の想像を時に超えるものであり、
大型個体に近づくほど、
蓋に取り付けた照明などを軽くぶっ飛ばしてしまいます。


自然界で水面近くを泳いでいるのが多いからなのか、
充分な餌の量で大切に育てられた者ほど、
体長80cm超えのビックサンダーマウンテン状態になり、
普通の蓋程度では破壊を免れないと聞きます。


死刑執行!と呼ばれ、
後輩の幕之内が苦戦した相手との試合が近づき、
原作でも伝説のコマになった、
「宮田~頼む!一回だけ」と言う、
一体なにが一回なのかをもっと淫靡に説明してくれ!
と、世の中の女性だけでなく、
ノンケな男性までをも身悶えさせた状況下で、
彼はまだ見ぬ自分の力を探していきました。


アウトボクサーであり、
自分の住む水槽内なら動きが活発で悠々と泳ぐ魚であっても、
他の水槽にポンと紛れれば、
己の力量が未熟であると知らされます。


本来、
上位ランカーと言うだけでなら問題はないのですが、
頼んだ相手が悪いのかどうなのか、
選び方の人選としては、
ある意味、最強に属する男へ乞うてしまいました。



その相手でもある宮田一郎ですが、
彼はどちらかと言うと動きが速すぎまして、
その端整な顔立ちを、

幕之内が昔無理に魚変換したところ、
「あんな格好良い魚なんていやしないよ……」
と、全世界の魚連合から苦情が飛ぶ台詞を口にしております。


しかし、
宮田を魚に例えるのは確かに難しく、
淡水魚に当て嵌めていた研究員の一人が倒れてしまい、
寧ろこれは誰も殴れない顔を持つと言う意味で、
淡水と言う部分だけを残しつつ、
彼をマナティに変換させることで納得しました。



(会場内)ざわざわ



『皆様、ご静粛にお願い致します』


はいはい。
認められないのは無理もありません。


ですが、
この中でマナティを殴れる方がいたら挙手して下さい。



(会場内)シーン



そうでしょう、そうでしょう。
ワタクシもさすがにマナティを殴ることは出来ません。


そうすると、
無理に当て嵌めてみたマナティですが、
誰も殴れない=電光石火
このように、
宮田独特の光りの速さだウルトラマン!的な、
無敵さを表現出来る材料にもなるわけです。



(会場内)おー!



では、話しを木村に戻しましょう。

そんなマナティに教えを乞う木村ですが、
所詮マナティとは川が一緒と言うだけでして、
ある程度の慣れと距離感が掴めても、
全部がアロワナに使えるわけでもありません。

アロワナはアロワナにしかない動きが必要であり、
彼はここで苦悩の日々に突入するのですが、
コオロギ100匹→約500円の飼育籠に手を入れた瞬間から、
アロワナの持つ奇跡を全身に浴びるのです。


そうです。
彼は水面が得意だって言う自分を思い出したのです。


元々、
咥えタバコで17歳の地図だった俺時代にも、
彼は水面に関する技を持っておりました。


みなさんも一緒に思い出して下さい。
ちび宮が登場し、鷹村の学ラン姿が初めて拝めた、
あの萌えるっきゃないぜ!25巻!!
この時に彼は華麗な水面蹴りを披露しているのです。








元来の水面好きによって己の性質に気がつき、
タイヤに竿竹IN間柴対策法を打ち出せば、
待たせたなみんな!って姿をサービス出来るぐらい、
余裕のある男のヒゲ面を覗かせ、
宮田一郎にもう一度頼み込む姿があり、
一体なにを頼むんだ?!
そんな全国の悶々を復活させる勢いを見せます。


しかし、
死刑執行で惜しくも3cmの距離に泣かされ、
土手で号泣姿を晒し、母性本能をくすぐる顔を映しつつも、
すべての観客を魅了した事実はアロワナの持つ魔力でもあります。


孤高の古代魚であり、アクアリストたちの頂点でもあり、
俺を買うなら財布の中身に注意しな!
と言う、新宿歌舞伎町のホストを蹴散らす華麗さで、
彼は大ジャンプをしてベルトを掴もうとしましたが、
落ちた先は水槽の中ではないと言い切りました。


ですが、
捨てる魚あれば、拾う子犬ありと言う、
犬好きなのに猫田と言う苗字の彼によって運命を取り戻し、
幕之内寛子の持つ鋭い脱力センスが彼をここから救います。


「質問!」


はいはい。


「でも、どうして片仮名での改名だったのでしょうか?」


これは良い質問です。
こんな質問なら、ワタクシも張り切ると言うものでしょう。



えー、
木村達也から木村タツヤになり、
新しく生まれ変わった俺で頑張って行くぜ!
と大口を叩き、去った割りに高速で出戻ってしまう彼ですが、
アロワナと言う魚自体が普通よりも口幅が広いので、
この程度では、まだまだ大口にもならないと言うことなのでしょう。


さらに、
偶然子犬の名前が片仮名で『ワンポ』だっただけで、
これが漢字で『湾捕』だったならば、
迷わず彼も『蛇都夜』辺りを狙い、
間柴より先に激しい当て字に走っていたはずです。


それは、
校舎の影で吸い込まれる空を眺めていた時代に、
ほぼ暴走族でファイナルアンサーされていた彼にとって、
人が読めない漢字を多く知っている機能性がここで発動し、
常人では考えつかない当て字を捻っていたと推測出来るからです。



(会場内)おー!



ですので、
片仮名だったから良かったのか?ではなく、
寧ろ、
漢字バージョンだったらどうなっていたのだろう?
と、パラレルな世界で活躍する木村をそっと浮かべると、
原産地で鳥を食べていた調査結果を思い出し、
もしかしたら鷹も食べてしまってたりして!
なんて、
多分九割の覚悟で鷹の爪の餌食になるとしても、
Birth  誕生!な勢いで変化していたら良いなと思います。


これは、
ワタクシの個人的な感想でありますので、
青木辺りがこっそり聞いて、
無駄知恵をつけさせないようにと、
盗聴器ザ・グッバイな感じで、
本日は会場内をくまなく探知機で調べております。


「質問!」


はいはい。どうぞ。


「木村が好む、エメラルドグリーンの謎についてお願いします!」


良い質問です。やっときましたね。



えー、
木村達也と言えばエメラルドグリーンですが、
実はあの色味について、なるほどと頷くことがありました。

アロワナには数多くの種類や色がありますが、
もっとも美しいとされているアロワナに『青龍』がいます。

これの名は青いと言う字を書きますが、
実際は緑色の煌びやかな魚でもありまして、
ブラジル産が一番高価で手に入りにくいとされてます。


研究員が都内のペットショップ100人に聞いたところ、
トラベルチャンス!的に、ほぼ全員が青龍を挙げ、
イエロー20cmとグリーン5cmが同じ価格と言う、
まさに生きたエメラルドっぷりを発揮していたそうです。


そうすると、
木村に取って緑色と言うのは、
アロワナ最上級の色合いに加え、実家の花屋も緑が命!
と、ダブルチーズバーガーのように、
2枚でお得さIm'lovein'it!
そんな思い入れのある大切な色だと言うのがわかります。



ですので、
木村達也は練習着に実家を、試合着にはアロワナを重ね、
常に誰よりも自然を愛する男としてリングに上がり、
非常にピースフルな生き方をしている人間だとも言えます。


余談ですが、
彼はきっとパソコンを使う時でも、
マイナスイオンに気を配る人物であり、
フランダースの犬の最後のシーンで、
毎回鼻水を啜って泣いているはずです。



えー、
最後は随分と南アフリカ共和国まで話が飛び、
長くなってしまいましたが、
ワタクシの独断と偏見による、
木村達也についての検証をこれで終わらせて頂きます。
ありがとう御座いました。



パチパチパチパチ!!(会場内)



『皆様、お疲れ様でした。

      これにて名誉教授の研究発表を終了させて頂きます 』


第二回 千堂武士の髪の謎について

「これより、名誉教授による研究発表を始めさせて頂きます。教授どうぞ」

はいはい。

えー、前回は幕之内一歩と鴨川属性を検証致しましたが、
今回は大阪に焦点を当て「千堂武士」について調査してまいりました。

まず、研究内容についてのご説明ですが、
ワタクシの興味対象部分を今回は取り上げたいと思います。

千堂武士の髪型について、
当初は微妙なパーマ感覚でセットされていましたが、
新人王戦後の彼の髪型に異変が起きたのはご存知の方も多いと思われます。
寝ていたはずの子供が夜泣きをしながら布団に立ち上がる、
そのような表現以外に見当たらない毛先の立ち上げにも驚愕しますが、
ここで焦点を当てるべき場所はその立ち上げではありません。

(ざわざわ) 会場内のどよめき

『ここで皆様のお手元にある資料を御覧下さい』

はい。
資料の中にある一枚の写真がお手元にあると存知ますが、
そちらをよく見て欲しいと思います。

はい?小さい?

えー、
では、クリックで大きさを拡大することをお奨め致しますので、
もう一度よーく御覧下さい。

(ガサガサ) 資料を漁る音




これは研究員が千堂武士を見つけ、承諾を得ずに写した盗撮に近い写真ですが、
怒りたいのか焦りたいのかわからないという、
千堂武士が固まっている状態の極めて貴重な一枚でもあります。

良いですか、
みなさんはあまりにも見慣れている為に見落としているかもしれませんが、
千堂武士の生え際をもう一度よく御覧下さい。
どうです?
なんか気がついた点がありませんか?

「教授!」

はいはい。

「……見直してみてもわからないのですが」

素直で大変宜しいと思います。

えー、では詳しい説明に入ります。
両方の生え際に記号が隠されていることに気がついた人もいるようですが、
はっきりと申し上げると、生え際に「ハートマーク」がある事実が判明しました。

(おー!)

千堂武士と言う人物について申し上げると、
凶暴な過去を背負う大阪のカリスマとして君臨しているのは有名ですが、
何十人も引き連れて歩いていた時代から、
すでにあのハートマークが存在していたと言うこともこの調査によって得られております。

「質問!」

はいはい。

「と、言うことは千堂はわざと作ってると言うことでしょうか?」

良い質問です。

しかし、調査員の纏めたレポートによると、
千堂自身は未だにその記号について知らずにいると書かれてありますので、
今回は所属ジムの職員である柳岡さんの協力を得ながら、
千堂武士の記号を深く追求ことが出来ました。

(ほ~)

その結果内容ですが、
みなさんにもある『つむじ』についてこれまでにない不可思議さが見受けられます。

(ざわざわ)

千堂の生え際の記号あのハートマークは、両方共つむじだったのです!

はい、落ち着いて下さい。
静粛に。

『会場内の皆様、ご静粛にお願い致します』

はいはい。
じゃあ、続きを始めますよ。

えー、
まず前髪が中央になるように左右から集められ、
頭頂部は天空に向かい生き物の爪のように波立ち、
耳の部分から羽根を広げるという、
美容師が鋏を投げ出す髪型をしておりますが、
調査員と共に協力して頂いた柳岡さんの証言をお聞き下さい。

:テープ音

「千堂武士の髪型についてお聞き致します」
「そうやな~ワイが知っとることですと、アレが櫛を使ってるのを見たことがないんですわ」
「と、申しますと?」
「シャワー後はタオルでガーッと乾かすだけのようやし」
「はい」
「維持するっちゅう感じには見えへんでした」

えー、
このような貴重な証言から推測すると、
千堂武士の髪質は形状記憶合金並みだということが判明しました。

(おー!)

タオルで乾かした後、自然乾燥だけで作られているあの髪型にも驚きが隠せませんが、
いつ・どこで・だれが・なにを・どのように・どうした。
そんな5W1Hを当て嵌めてみても崩れる事のない、
極めて稀でもある完璧な状態を維持し、
どの方向性から見ても揺るがないセット力についてパイプを口に運び考えてみると、
整髪剤を必要としない地球環境保護の分野にまで及ぶ、
ザッツ温暖化絶対駄目宣言などの駄目絶対に駄目!系な政府広告にも通用する、
そんな成金一発リーチ的な研究材料にまで発展することがわかります。

「質問!!」

はいはい。

「しかし千堂の髪を使ってそこまで出来るものなんでしょうか?」

良い質問です。

千堂の髪の毛を採取し、世界に3つしかない特殊顕微鏡で調べてみると、
驚くべきことに人類がこれまで持っていたキューティクルが、
髪の内部に一つも存在しないことが判明致しました。

(ざわざわ)

通常、
魚の鱗みたいなキューティクルによってダメージをなくそうと髪の毛が守られますが、
千堂武士から採取された髪の毛には鱗さえ見当たらず、
変わりに奇妙な模様が発見されたのです。

(お-!)

生え際に記号、髪の毛には模様。
この時点でサジを投げたい心境に陥る研究員も続出しましたが、
虎屋の羊羹を一人一本ずつおやつの時間に用意することで免れ、
なんとか研究を続けることが出来ました。

(パチパチ)

えー、
話は西アラスカの方まで飛んでしまいましたが、
髪の毛にあった模様。
この模様を突き詰めていくと、
縄文時代に発掘された人類が最初に作った壷の模様にも似ており、
さらに大阪の土地で活躍する某球団のユニフォームの柄にも似ていることが判明。
一体どちらが正しいのかまではまだ解析途中なので申し上げられませんが、
千堂のDNAが特殊だと言うことと、
通常の人間にはない野生的な性質の意味が、
この髪の毛によって読み取れるのではないかと思われます。

「質問!!」

はいはい、どうぞ。

「そうすると、千堂は人間ではないと?」

とても暴力的な質問ですが、答えましょう。

「ありがとうございます!」

えー、
先に申し上げますが、誤解を受けている方もいるようなので一言だけ。
千堂武士は人間です。
紛れもなく普通の成人男性の部類に入っています。
ですが、
部類にいると言うだけで断言出来るほどの根拠もありません。

しかし、
彼は自分を、ちょっと強いけど心優しい下町に住むアンちゃんだと信じております。
ワタクシも千堂武士を、
子供に集られやすいけど実際はNO!と言えない関西人だと認識しておりますし、
極度のおっちょこちょいぶりに愛嬌さえ感じている次第です。
ですので、
彼を人間外として扱うのではなく、
まずは信じる心を持って見守って欲しい所存で御座います。

(おー!)

今回は研究員と協力者により、
千堂の髪型は形状記憶と左右のつむじによって生まれる奇跡が作った物だと、
そのように貴重な調査結果が出せましたが、
この次に千堂武士をテーマに研究する時には、

八重歯・ギラつく瞳・捲れるトランクス・道頓堀での怪しい遊び・
東京駅に忘れた土産・連れて歩いていた舎弟がやけにおっさん臭い理由・
なにわの虎とロッキーの呼び方の違いについて・

など、
この辺りについても時間のある限り検証してみたいと思っております。

尚、
検証対象によっては研究員に生命保険が掛けられておりますので、
新しく研究員として参加ご希望の方がいれば、
ワタクシの身内が喜んで保険内容を説明に伺う次第で御座います。
約款についての詳しい内容など保険事情の問い合わせは、
ワタクシの個人メール、nikoniko@ganbarenippon.ne.jp
こちらまでお願い致します。

えー、
それでは以上を持ちましてワタクシの検証を終わります。

(パチパチ)

『これにて、第二回名誉教授による研究発表を終了致します。ありがとう御座いました』


第一回 幕之内一歩は何故丸太叩きが出来るのか

まず、
普段から鍛えられている強靭な腕の力によって神経が圧迫されているから
痛みを一切感じないようになっている説と
新人王戦で粉砕した拳によって、
あの周辺の神経が痛みに鈍くなっている説があるとします。

さらに、
黄色と黒は勇気の印と言うぐらい勇敢な気質が丸太への恐怖を打ち消し、
緑色の瞳が燃える時に、
常人の数倍もの力を発動できる説がこれに足されるのではないか。
すなわち、
丸太=打ったら痛いという、
ごく当たり前な想像を超えるなにかが幕之内一歩の脳髄に組み込まれ
それは鴨川会長も持ってるDNAの秘密があると推測出来る。
だが、
DNAの観念から言うと、
二人の間に血族の可能性は一切ないという事実があるだけに、
ある種、突然変異の可能性が高いとこれまでの経過から発表されていますが、
そこを踏まえた上であの丸太打ちを考えてみると、
驚くべき内容が明らかになりました。

通常、
土手に丸太を運び入れた時点で「ちょっとあの人おかしいわよ・・・」となりますが、
運び入れたと言うだけではなく、
土手に埋め込む作業にまで発展することは、
日常生活に置いて考えると極めて低い数値になると言えるのではないでしょうか。
その上、意味もなく一本ずつ入れて行く幕之内一歩について観察してみると、
最初の埋め込み作業をどうやって行ったのかまったくわからないのであります。
大人一人の手で抱え運びそして土に埋めることでさえ、
プロレスラーのS氏がこの度の学会で発表した内容によると、
答えは{NO}であった。

機械もなく『幕之内一歩』一人の手によって土手に丸太の先端を入れて、
尚且つハンマーで打つというのなら、
それによって受ける衝撃は原付バイク30キロで突進する勢いだと、
空手家のA氏からも証言を受けております。
しかし、
幕之内一歩は汗を軽く流す程度でハンマーを打ちこみ、
「ふーっ!」などと萌え誘導をするくせに、
丸太打ちではハンマーを軽々と使いこなす身長165cmのその背丈を想像すると、
本来180cm以上のプロレスラーでさえ無理な芸当をこなすという、
極めて人間離れをしている行動を当たり前のように起こす対象として、
深く突き詰めたい人物でもあります。

まず、
筋肉増強剤などというケミカルなものさえも必要としない、
真冬の雪の中を半袖と半ズボンで登校する小学生のような肉体と、
それを上回る「有り得ない」ポイントに焦点を当ててみましょう。

ここにいらっしゃる方で、
誰か氷がパンパンに詰められたクーラーボックスを一つ担いでみてください。
どうです?一個でも足がよろける重さではありませんか?
そちらの方が担ぐこのクーラーボックスは、
普段、幕之内一歩が担ぐものとおなじです。
しかし、彼はこの重さを驚くことに7つも持ち上げるという、
信じがたい腕力もを持っているのです

(おー)どよめき

これは少林寺拳法を50年務めているという、
中国のW氏でも無理だったという実験もかねており、
いかにして、ナチュラルな状態で作り上げたのかが
今回の学会での重要ポイントにもなります。

はい?質問ですか?どうぞ

「幕之内一歩はいじめられっ子だったのに、どうしてこの力を使わなかったのでしょうか?」

とても良い質問です。

何故、これだけの破壊力を持っているのにという質問ですが、
通常の人間であれば見せもののように使うべき力を、
本人自身はまったく知らなかったということで解決してしまいます。

(ざわざわ)どよめき

えーっ、
本人は自分を無力だと信じていたからこそ、
あの伝説の葉っぱ10枚に到達するのです。

はい?質問ですか?どうぞ

「鷹村が幕之内一歩に教えた理由はどうしてなんでしょうか?」

鷹村守があの時、幕之内一歩を見つけたのは天文学的な数値による偶然でしたが、
幕之内一歩が葉っぱを取れる確立をアメリカのスーパーコンピューターで計算した結果、
ジャイアント馬場が16文キックをあみだしたのとほぼ同じ確立で達成可能とでました。

(ほ~)ため息

ですので、葉っぱを一人でも掴めたのではないかという問題については、
「有り得る」という結果が出たことをここで認証したいと思います。

(パチパチ)拍手

さて、丸太を埋め込む作業にあれだけの情熱を注いだ部分についての検証ですが、
肉体を酷使したファイトマネーで買ったという事実について、
渋谷で1000人のギャルに調査したところ、
「え~信じらんない」が75%、
「丸太?!」と驚くものが10%、
残りの15%にいたっては「暇だね」
と、調査になりませんでしたので、
新橋のサラリーマンに変えてみたところ、
「感動した」と感涙するものが200名、
「昭和を感じた」と懐かしむ者が40名、
軍人時代の年配者からは「是非住所を!手紙を書きたい!」と、
そういった結果になりました。

(ざわざわ)

この結果から推測出来ることは、
幕之内一歩の行動は近隣に住んでいたら考えられない迷惑な行動であるが、
知り合いでもない場合は「勇者」的スタイルに変わるという、
萌えとは違う、男の心を動かす行為だと判明しました。

ですが、丸太をハンマーで打つという人間離れについて視点をかけてみると、
所属するジム全体が人間離れしているからだ!という説も生まれ、
熊を素手で倒すというボクサーや、
タイヤをボロボロにしたかと思えば、アロワナという古代魚で技を編み出す者、
さらには命懸けの試合中によそ見をして相手の隙を狙うような、
通常の格闘家からは考えられない事態を当たり前に行う人物が常におり、
これについてキックボクシングのタイ人C氏からのコメントによると、
「そんな場所にいたら寿命が減るね」
と、首を高速で振り否定する意見も得られました。
そこからデーターを作り上げると、
釣り船で得られた強靭な肉体と、
人間が誰もいないジムに所属するという、

「質問!!」

はい、どうぞ

「人間が誰もいないというのは大袈裟すぎやしませんか?!」

はいはい。

ここでワタクシが説明する人間がいないジムについてご説明いたしますと、
八木禁止!という釣りの世界からは恐れられる人物がいるということが一点、
そして、
開いてるのか閉じてるのかまったくわからない目を持つトレーナーが一人、
さらに、丸太を素手で埋め込む幕之内と同じDNAを持つ会長がいるというのを
頭に入れて置いてください。

 (おー)

そのようなジムで育ち、

「しかし、宮田一郎についてはどうなるんですか?!」

はい、良い質問ですね。

彼は幼い頃からあのジムで育ちました。
しかし、幕之内と違う点が一つだけあります。
それは、鷹村・木村・青木という人間離れ属性よりも早くジムに入門したという事実です。
これにより、ATフィールドを早いうちから覚えたことで、
人間離れから逃れられたと実験を扱った研究員B氏が力説してました。

(わー)

ですが、
残念なことに宮田のATフィールドも完全でなかったとあります。

(ざわざわ)

いいですかみなさん、
宮田は新人王戦から日本人とは戦わず修行の道に出ました。
この時期は人間離れウイルスに触れることなく、
ごく当たり前のボクサーとして、その天才性を発揮しておりましたが、
日本に帰った直後から彼のATフィールドが狂っていくのです。

宮田のATフィールドが決壊された事件といえば、
一番最近の情報によると、
拳を粉砕したにもかかわず顔色さえ変えずに会話をしていた事実があります。
あの時は父親と川原ジムの関係者がおりましたが、
痛みを感じようともしない二枚目ぶりに実の親でも心配したと、
そういったコメントも父親から残されていましたが、
宮田一郎ほどフェロモンを放っているオトコも珍しく、
「宮田くーん」という、歴史に残るような幕之内の台詞があることも踏まえてみると、
あの時の激痛消しについては、
別のフェロモンが作動した可能性もあるのではないかとワタクシは推測しております。
しかし、鴨川血族という言葉があるのも見捨てられない状況下もありますので、
あれは鴨川ジム恒例の「人間離れ」の一つとして文書に残したいと、
そう思う気持でもあります。

  「質問!」

はいどうぞ

「宮田と鷹村の釣り属性はどうなんでしょうか?」

良い質問ですね。

カウンター使いの宮田とオールマイティーな鷹村の釣りベタは有名ですが、
そこに鴨川会長も入れるべきではないかと思います 。
篠田・八木・青木・木村は釣れる側に配置するとすれば、
鷹村・宮田・会長は、釣りが向かないタイプに組み込めます。
これによってボクサーはなんでも出来るわけじゃないんだ!が発動され、
ベルトがなくても多彩な人は多彩!に、くっきりと分けられます。
そうです、
あれはベルトチームとそうでないチームに編制された、
ある意味、恐ろしい結果論の一つでもあります。

 「意義アリ」

はいはい、ここは裁判じゃないです

「会長はベルトを持っていませんが!」

戦後という生活状況を考えれば、
ベルトに掛けるような余裕がない時代でもありましたが、
あれほどの軍曹を相手にしていれば=ベルト=王者ですんなり決まるでしょう。

(おー!)

何も腹に巻いたら良いというわけでもありませんので、
ここは会長の年齢と時代設定を頭に入れて=王者チームで考えれば、
問題点も減少されると思います。
そこで、釣りベタな意味を別の競技選手に当て嵌めてみると、
男子体操のある選手の話になりますが、
彼はその筋肉によって水泳を勧められたことがあったそうです。
上腕部の盛り上がり下半身の強靭さ、
これは凄い記録が出るだろうと期待されましたが、
残念なことに脂肪がまったくない為に浮く事が出来なかったそうです。
つまり、沈んだってことですね。

彼は金メダリストだったにもかかわらず泳げない体でもあったという、
これをベルトチームに当て嵌めると手首のスナップは無意味!だとわかります。
宮田一郎の得意とするカウンターでさえ海の生き物には通じなかったと、
得てして無情な結果がはっきりと現れてしまったんです。
鷹村はその後青木を釣り上げましたが、
「人間には通用する!」という意味が残っただけであり、
やはり魚には無理だったと夏の宮田との合宿で答えが出てしまいました。
宮田一郎の父親も八木に挑戦しようと思いましたが、
やはりここでも王者というジンクスで無駄に終わるということになり、
鴨川のボクサー>王者限定、
これが発動されるのは偶然ではなく必然だと言えるでしょう。

ではここで、他のボクサーに関しても調べてみた結果内容を発表しますが、
リカルド=マルチネスはクルーザー所持だが釣りに興味はないとあり、
伊達は魚が基本的に苦手のようです。
これは余談の部類に入りますが、
伊達曰く「魚が見てるから」が理由だとか。

(ざわざわ)

刺身の時は大葉で魚の顔を隠さないと食べられないそうです。
さらに大阪に話を移してみましょう。
千堂武士は30分以上じっとしているとアレルギーが出る体質の為、
止む無く実験を却下しました。
名古屋の沢村は釣竿を見せた瞬間にバイクで逃走。
青森のハンマーナオはサンドバックを縫っている途中だったので待機中ですが、
沖縄の島袋は「潜った方が早い」とモリに巨大な魚を刺して実験職員に刺身を披露、
アメリカの研究員にヴォルグへ連絡をつけてみましたが、
「幕之内の船じゃないと無理デース」と断固拒否。
武にいたっては「引退してるからそっとしておいてくれ」と門前払いでした。

やはりボクサーは釣りが苦手だと、
今回はこの結果について実験調査を断念せねばならぬ状況になり、
次回の学会の時には、もう少し選手層を広げて行いたいと思う所存でございます。 
このような鴨川属性の人間離れや釣りについて調査しましたが、
まだまだ謎が多く含まれていることに驚愕する次第であります。
今回は第一回の会合でもありますので、
不慣れな点や調査不十分も数多くありましたが、
この次はさらに細かく分類して一人一人に調査員をつけたいと思います。

(パチパチ)拍手

 「以上を持ちまして、第一回、名誉教授の発表会を終了させて頂きます。」