この話はしたっけな。
私は温泉というか、スーパー銭湯が好きで、ついでにアカスリも好きでよく利用してたんだ。今はコロナで行ってないけど。
でアカスリってお店の方針によるのか、対応してくれるスタッフはお店によって若い日本人の女性か年配の韓国人のおばちゃんのどちらかが多いんだよね。で私はこういうサービスをしてくれる人って年齢や容姿は一切見ない。要するに総合的に見て上手いかどうか。
だから担当してもらえる人はどちらでもいいのだけど、経験的に言えばやはり後者の方が一日の長があって、私は韓国人のおばちゃんが出てくると内心で嬉しかったりする。でまたこの韓国人のおばちゃんたちがみんな亡くなったうちの母ちゃんに似てるんだよね。

お喋りでお節介で人情深い。

核家族の家庭で育った人の中にはこういう人を図々しく感じて熱苦しがったりする人もいるかもしれないけど、私はわりと嫌いじゃないんだよね。むしろ逆のタイプの人の方が苦手かも。

ある時期、こんなことがあったんだ。
私の左肩が四十肩になって腕が水平より上に上がらなくなったんだ。リュックを背負うだけで激痛が走るレベル。それでしばらくアカスリを遠慮してたんだけど、久々に行ってみたらそこは若い日本人女性たちがいるお店だった。

で彼女が「どこかお怪我をされてたり、触らない方がいいところはありますか?」と聞いてきたので「今左肩が四十肩で痛いから左肩はアカスリをやらなくていいですよ」と言ったんだよ。そしたら「はい、分かりました」と言って注文通りに左肩を触らないでうまくやってくれたんだよね。

で後日別のスーパー銭湯に行った時にアカスリを頼んだら韓国人のおばちゃんが出てきた。やっぱりうちの母ちゃんに似ててね。でやっぱり「痛いところ、ダメなところはないか」と聞いてくるから「左が四十肩なんで、その辺りはいいよ」と答えた。するとその韓国人のおばちゃんが「分かった、分かった」という。で任せてたら左肩以外をアカスリしてくれた。これで終わりかと思っていたら、段々左肩周りを少しずつマッサージし始めた。最初は驚いたが、しばらくは何も言わないでいた。するとどんどん左肩に近づいてきて力も強くなってきた。
(いや流石に結構痛いんだが、そろそろ断るか。)
と思っていたら、さらに私の腕を上にあげてぐりぐりと回し始めた。
痛みで驚いていると段々とその痛みが収まってきたので、そのまま任せていると韓国人のおばちゃんが言った。

「四十肩は痛いからって動かさないでいると余計に固まってもっと動かなくなるよ。」

だいぶ痛みも引いたのでそのままおばちゃんに任せているといつまで経っても終わらない。あれもうとっくに終了時間じゃないのかなと思って時計を見たら、10分以上オーバーしている。予定時間を間違えてないか聞いてみたら「大丈夫、大丈夫」という。
そのうちおばちゃんが

「終わったよ。明日の朝になったらだいぶ良くなってるよ」

というので「ああそう」と言って帰って寝て、次の朝に起きたらおばちゃんが言った通りほとんど四十肩が治っていた。この一年ぐらいの激痛はなんだったのか。超過時間も追加料金はなくおばちゃんが施術後の自分の休憩時間に只でやってくれたらしい。

私は思わず笑ってしまった。いかにも私の母もやりそうなことだったから。

おばちゃん、ありがとね。

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