蓼蓼者莪

(蓼蓼たる莪)

かつては青々としていたよもぎの葉も


匪莪伊蒿

(莪に匪ず、これ蒿)

今ではただのあざみの葉になってしまった。


哀哀父母

(哀哀たる父母)

かわいそうなお父さん、お母さん


生我劬勞

(我れを生みて苦労す。 )

私を生んで苦労した。



蓼蓼者莪

(蓼蓼たる莪)

かつては青々としていたよもぎの葉も


匪莪伊蔚

(莪に匪ず、これ蔚。)

今ではただのあざみの葉になってしまった。


哀哀父母

(哀哀たる父母)

かわいそうなお父さん、お母さん


生我勞瘁

(我を生みて老瘁す。 )

私を生んで老いやつれてしまった。



缾之罄矣

(缾の罄くるは)

徳利(子)の酒が尽きるのは


維罍之恥

(維れ罍の恥。)

瓶(親)の恥だという。


鮮民之生

(鮮民の生くるは)

貧しい者が生きるくらいなら


不如死之久矣

(死の久しきに如かず。 )

死んでしまったほうがましだ。


無父何怙

(父無くば何をか怙まん。)

父がいなければ、なにを頼りにしていけばよいのか。


無母何恃

(母無くば何をか恃まん。)

母がいなければ、なにを頼りにしていけばよいのか。


出則銜恤

(出でては則ち恤を銜み)

外に出たところで、悲しみがあふれるばかり


入則靡至

(入りては則ち至る靡し。 )

家に帰ったところで、どうにもならない。



父兮生我

(父や我を生み)

父が私に生を与え


母兮鞠我

(母や我を鞠う。 )

母が私を養った。


拊我畜我

(我を拊で我を畜い)

私をなで、私を養い


長我育我

(我を長じ我を育て)

私を大切にし、私を育て


顧我復我

(我を顧み我を復り)

私を顧み、私を守り


出入腹我

(出入に我を腹く。 )

出るときも、帰るときも、私を懐に抱えておられた。


欲報之徳

(之れが徳に報いんと欲するも)

この両親の徳(恩)にぜひとも報いたいと思うのだが


昊天罔極

(昊天極まり罔し。 )

両親の徳は碧天よりも高くにあり、私の手に届くものではない。



南山烈烈

(南山烈烈たり。)

南山は恐ろしく寒い。


飄風發發

( 飄風發發たり。 )

風が強く吹き付ける。


民莫不穀

(民穀からざるは莫きに)

世の親子は皆仲良く暮らしているのに


我獨何害

(我獨り何ぞ害える。 )

何故、私だけひとりぼっちなのか。



南山律律

(南山律律たり)

南山は恐ろしく寒い。


飄風弗弗

(飄風弗弗たり。 )

風が強く吹き付ける。


民莫不穀

(民穀からざるは莫きに)

世の親子は皆仲良く暮らしているのに


我獨不卒

(我獨り卒えず。 )

何故、私だけ親孝行を果たすことが出来ないのか。