寝ても、覚めても、起きていても、心に思い浮かぶのは、あの嫌な人のこと。
家族よりも、友人よりも、恋人よりも、あの嫌な人のことで頭はいっぱい。
彼女と散歩していても、別の人と手をつないで歩いてる。
彼女から話しかけられても、僕はまるで上の空。
僕の恋人は嫌な人。
勤務中、僕は嫌な人と毎日デート。
帰りの電車の中でも、僕は嫌な人と毎日デート。
夢の中でも、僕は嫌な人と毎日デート。
あの人は僕を追いかけ、僕はあの人を追いかけている。
僕はもうあの人に夢中だ。
僕の世界は、あの人を中心に回っている。
愛する人以上に、あの嫌な人のことを考えて暮らしている。
いずれ、愛する人は僕を見限るだろう。
そうなると、僕はいよいよあの嫌な人とふたりっきりだ。
ふたりのために、世界はあるの。
僕はもはやあの嫌な人のことしか考えられない。
あの人なしには生きてはいけない。


嫌な人のことよりも、愛する人のことを考えなさい。