真夜中のロイヤルホストで、
オレンジ色の看板を見下ろしながら、
俺は時間が過ぎるのをじっと待っていた。
あれからどれほど時間が経ってしまったのか。



彼女が作った朝食がすでになく、
彼女が作った夕食がすでにない。
今は夢の中で一緒に食べるだけ。
目覚めれば何も食べていないことに気付くのだ。



私がどんな大金持ちになったとしても、
どんな権力者になったとしても、
どうしてもかなわないことがひとつある。
それは君の手を握ることである。



いつの間にか夜が更けて、
いつの間にか夜が明けて、
君がいなくなったことに気が付いた。
そして、今日、僕は君の幸せな手紙を受け取った。



蟻のように人間たちが群がり、
せわしなく動き回っているこの世間。
それを遠くから眺めると、
星雲のように美しい。



君が行きたがっていた箱根にようやく着いたよ。
僕は旧街道を一人で歩いている。
若い頃には遠い外国のように思われたのに、
今ではまるで自分の庭のようだよ。



若い頃には得られなかったことを悔やんだもの。
(それは私のものではなかったのだ。)
年をとってからは与えなかったことを悔やむもの。
(これを欲しがっていた人はもういないのだ。)



言葉は私の人生のマイレージである。
生きている間、それはどんどん溜まっていく。
私はそれを何と引き換えるでもなく、
ひとりで眺めてみては、ひとりで喜んでいるのだ。



朝鮮の鳥が河を渡って、
韓国の鳥になる。
韓国の蝶が河を渡って、
朝鮮の蝶になる。