先日の続き
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いろんな人と話をしていて、気になることがある。
例えば、ある人、Aさんがいて、ある音楽作品「α」を評して、以下のように言ったとしよう。
「αは世界で一番ひどい作品だ。」
また、別の人、Bさんがいて、同じ作品を評して、以下のように言ったとしよう。
「αは世界で一番つまらない作品だ。」
この場合、前者は分かるのだけど、後者がイマイチ分からない。
「世界で一番つまらない作品」とはどんな作品なんだろうか。
例えば、上の発言を、ある個人、CさんとDさんの経済状況に対する評価に置き換えてみると考えやすい。
「Cさんは世界一負債総額の大きい(世界一借金の多い人)だ。」
「Dさんは世界一貯蓄の少ない人(世界一貯金のない人)だ。」
この場合、前者の発言の趣旨はよく分かるのだけど、後者の発言の趣旨がイマイチよく分からない。
「世界一貯蓄の少ない人」ってどんな人なんだろうか。
おそらく、Dさんは貯金が一円もない人なんだろう。
しかし、考えてみれば、貯金のない人間なんていくらでもいるはずだ。
であるのにもかかわらず、何故、BさんはDさんを名指しで世界一と認定しようとするのだろう。
つまり、Cさんが世界で一番負債が大きい、つまり、世界で一番借金の多い人であるという発言は意味があるが、Dさんが世界で一番貯蓄が少ない人間であるという発言は意味がない。
上のようなことを考えてみると、私は以下のような疑問を感じるのである。
「人は、何故、あるものを、世界で一番つまらないものとして、一番に取り上げるのか?」
それに対しては、私はこう思うのである。
「ある人が、取るに足らないものを取り上げるのは、その人にとって、それを取り上げなければならないほど何か気になるところがあるのだろう。
例えば、今ここにある女性、E子さんがいるとしよう。
その女性が、知人のある男性、Fさんのことを、以下のように言ったとしよう。
「Fさんは世界で一番つまらない男性よ。」
この場合、E子さんにとって、Fさんはどういう男性なのだろうか。
結局、彼女の発言は、以下のように言っているのと同じことではないか。
「私、E子は、Fさんという男性に世界一興味がありません。」
ある女性にとって世界一興味がない男性とはどんな男性なのだろうか。
何故、世界一存在感のないものが、そう考える彼女の頭の中を占めるのか。
その男性は、たまたま知り合いではあるが、よくも悪くもまったく存在感がないということなのだろうか。
しかし、もしそうだとしたら、そもそも、E子さんは上のような発言をしようとも思わないのではないだろうか。
結局のところ、E子さんはFさんのことが気になっているのではないか。
(以下、続く)
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