2007-07-17 22:47:36
【お話】にわとりのうた (広島 Remix Version)


幼稚園の頃の話じゃ。ある日、わしが風邪を引いて寝とったら、兄ちゃんが帰ってきたんじゃ。


ごそごそいう音がしてからのう、薬でうとうとしとったわしの頬にやわらかいもんが当たったんじゃ。

こら、なんじゃろうかて思うて、目を開けたら、目の前に、ちまいひよこが立っとったんじゃ。ひよこはあちこちを見回してから、きょろきょろしとったよ。そのひよこはのう、わしの兄ちゃんが、小学校の前で行商のおいさんから買うたもんじゃったんじゃ。ほいで、毎日、わしと兄ちゃんは交代でそのひよこの世話をしたんじゃ。


ほしたらのう、このひよこが、日に日に、でかあなってきてからのう、気がついたら、頭の上にかさぶたみとうなもんが隆起してきてから、鶏みとうになってきたんじゃ。


ほいで、そのうち、室内じゃあ飼えんようになってしもうたもんじゃけん、父ちゃんが大きな本箱を運び出してから、それに細い園芸用の金網を貼って、鳥小屋にしたんじゃ。


鶏はその後もどんどんでかあなってから、そのうち、朝っぱらからけたたましい声で鳴くようになったんじゃ。それがぶちうるさいもんじゃけん、どうしようかのう、っちゅうことになったんじゃ。


父ちゃんは、冗談で、締めて食うたろうで、っちゅうたんじゃ。ほいじゃったらフライドチキンの方がええっちゅうて、わしが提案したら、兄ちゃんが、せっかくじゃけん、ローストチキンにしようや、言うたんじゃ。ほしたら、母ちゃんがキモも美味しいんよ、っちゅうて付け加えたんじゃ。


そがあにして、鶏の味付けが決まった数日後のことじゃった。

わしが学校から帰ってきたら、テーブルの上にでっかいスイカが乗っかっとったんじゃ。「こらあ、なんね」っちゅうて母ちゃんに聞いてみたら、「今日、お向かいのうちのドーベルマンが逃げ出してからね、うちのを食うてしもうたんよ」ちゅうて答えたんじゃ。


ほいじゃけん、その日の夜、わしら兄弟は口の中を真っ赤にしてから、どっちがようけスイカ食べるかっちゅうて、競争をしたんじゃ。


(上の作品は 「【お話】にわとりのうた 」 を広島弁に翻訳したもの)






2007-07-21 20:46:49
【お話】セキセイインコのうた (広島 Remix Version)


鶏がおらんようなってから、とうちゃんがおもむろに鳥かごの修理を始めたんじゃ。何をするつもりかのうちゅうて思っとったら、その日の夕方には5羽のセキセイインコが飛び交っとったんじゃ。

それから何日か経って、鳥かごの底にうずら豆のような卵が落ちとることに気付いたけん、とうちゃんは大きな鳥かごの中に小さな巣箱を三つ取り付けたんじゃ。

セキセイインコは、その後、自然に繁殖してってから、何年か経ったら鳥かごは色とりどりのインコたちであふれかえっとったんじゃ。


そんなある日曜日の午後、遊びから帰ってきたら、鳥かごの前でとうちゃんと一人の女の子がなにやら話しこんどったんじゃ。誰じゃろうか思うて近づいてみたら、その子は女の子じゃのうて、同じクラスの牧野じゃった。茶色の髪と瞳、白い肌をした牧野は華奢な体をしとってから、よう女の子と間違われたりすることがあったんじゃ。ある体育の授業の前、着替え中の牧野が女の子のプリント柄のパンツをはいていったのが見つかってから、みんなにからかわれたことがあったんじゃ。もしかしたら、姉さんのパンツをはいとったんかもしれんのじゃけど。そがあなこともあって、牧野をみたらつい女の子を連想してしまうんじゃった。


「どうしたん。」


わしは牧野に近づいて尋ねたんじゃ。


「うん。前からインコを飼いたかったんよ。ほいで、近所にインコをたくさん飼うとる人がおるって聞いたもんじゃけえ、分けてもらおうかあ思うてきたんよ。川野んちじゃったんじゃね。」


「ほうなん。」


ほいで、牧野は私の父にインコの飼い方についていろいろと質問をしとった。ほしたら、そのうち、とうちゃんが、牧野の尊敬のまなざしに気をようしたんか、「どれでも好きなのを持ってきんさい。何羽でもあげるけん」っちゅうて言い出したんじゃ。わしゃそれを聞いてあわててしもうた。なんでかいうたらのう。鳥かごの中には最近成鳥になったばかりのぶちきれいな、珍しい柄のインコが一羽おったんじゃ。なんともいえん深いグリーンから目の覚めるような黄色い柄のグラデーションがかかっとってのう。模様の入り方も普通のインコとはまったく違っとったんじゃ。ほいじゃけん、わしゃそのインコには特別に目をかけてとったんじゃ。


わしゃそのインコが今巣箱におることを祈とったんじゃが、運悪うそのインコは鳥かごの中を飛び回っとった。ほいじゃけん、わしゃ牧野がそのインコを指名せんことを心の中で祈っとったんじゃ。


そがあなわしの思惑にも気がつかんとから、牧野は真剣に鳥かごのインコたちを見詰めとった。金網のすぐ近くまで顔を近づけてから、無意識に白い指を唇に当てて、一羽ずつ、その柄を確認しとったわ。


長い時間がしてから、「じゃあ、これとこれちょうだい」言うて、牧野が指差したインコは、むしろ当時の病院に行ったら、受付に必ずおったような典型的な柄の二羽じゃったんじゃ。セキセイインコ初心者の牧野はむしろ絵に描いたような柄のインコが欲しかったんかもしれんのう。『本当にそんとな柄でええんか?』わしゃ心の中でそがあな疑問を持ったんじゃけど、あわてて飲み込んだわ。


「ほいじゃあ、待ってきんさい」言うて、とうちゃんは鳥かごに手を突っ込んでから、その二羽を捕まえようとしたんじゃ。牧野はあらかじめ持参しとった緑色の虫かごのふたをあけて待っとったわ。


ほいで、とうちゃんが、最初に、水色に白色の体色にマーブル模様の入ったインコを捕まえてから、それを牧野に手渡したんじゃ。


さっきまであわてて逃げ回っとったそのインコは、牧野の手の中でトカゲみとうな目を閉じてから、死んだようにじっとしとったわ。


ほいで、とうちゃんがもう一羽のインコを捕まえたんじゃ。こちらは黄色に黄緑色の体色にマーブル模様が入った柄じゃった。


とうちゃんから受け取ったインコを牧野が虫かごに入れとるそのときに、彼らの後ろで鳥かごから一羽のインコが出ようとしとるのにわしゃ気がついたんじゃ。ほいで、わしがあわてて走り寄ったら、そのインコはばっと飛び出してきたんじゃ。ほして、インコはそれから塀の上にふっと止まったんじゃ。


インコの繁殖をしとると、しばしば中途半端な模様のインコが生まれることがあるんじゃ。そのインコもそがあなうちの一羽でのう。わしらがあまり気に留めとらんかったやつじゃったんじゃ。


とうちゃんが捕まえようとしてから手を伸ばしたんじゃけど、そのうすい模様のインコはふわりと飛び上がってから、弧を描いてわしらの家の屋根の上に上がってってしもうたわ。


(上の作品は 「 【お話】セキセイインコのうた 」 を広島弁に翻訳したもの)






2007-07-19 23:26:00
【詩】わしゃ幸せになりたかったんじゃ。 (広島 Remix Version)


 わしゃ幸せになりたかったんじゃ。

 わしゃいつも幸せにあこがれとった。

 あるとき、わしゃ幸せをあんたの中に見た。
 ほいじゃけん、わしゃあんたをつかみ取ろうとしたんじゃ。

 あんたに手をかけたとき、わしゃあんたがあんまりに柔らかかったもんじゃけん、はっとした。
 わしゃあやうくあんたを握りつぶすところじゃった。

 あんたの中の幸せは、わしの幸せじゃのうて、あんたの幸せじゃった。
 わしゃ自分と他人の区別がつかんようになってしもうとったんじゃのう。



 わしがあんたを手に入れたら、わしもあんたも幸せでなくなるじゃろう。

 わしゃあんたの幸せを祈ろう、それはわしのもんじゃないがのう。



(上の作品は 「 【詩】僕は幸せになりたかった。 」 を広島弁に翻訳したもの)






2007-07-19 21:37:17
【詩】幸せの缶詰 (広島 Remix Version)


わしゃ幸せの缶詰を手に入れたんじゃ


世界にたった一つしかないんじゃ こらあわしだけのもんじゃ


誰にもやれんし、誰もとることが出来んのじゃ


わしゃもう幸せを手に入れたけん


他には何もいらん



ほいじゃが、困ったことがひとつあるんじゃ


この缶詰、いったいどがあにして開けるんじゃろうかのう


今日も考え込むんじゃ
 


(上の作品は 「 【詩】幸せの缶詰 」 を広島弁に翻訳したもの)






2007-07-08 07:52:05
【詩経】蓼莪



 かつては青々したよもぎの葉、
 蓼蓼者莪 (蓼蓼(りくりく)たる莪(が)、 )

 ほいじゃが、今はただのあざみの葉。こらあ、ただの雑草じゃなあか。
 匪莪伊蒿 (莪に匪(あら)ず これ蒿(こう)。 )


 可哀想なとうちゃん、かあちゃん、
 哀哀父母 (哀哀たる父母、 )


 わしを生んで苦労したもんじゃ。
 生我劬勞 (我れを生みて苦労す。 )



 かつては青々したよもぎの葉、
 蓼蓼者莪 (蓼蓼たる莪、 )


 ほいじゃが、今はただのあざみの葉。こらあ、ただの雑草じゃなあか。
 匪莪伊蔚 (莪に匪(あら)ず これ蔚(い)。 )


 可哀想なとうちゃん、かあちゃん、
 哀哀父母 (哀哀たる父母、 )


 わしを生んで老いやつれてしもうたわ。
 生我勞瘁 (我を生みて老瘁す。 )




 徳利(子)の酒が尽きるんは、
 缾之罄矣 (缾(へい)の罄(つ)くるは、 )


 甕(かめ)(親)の恥じゃっちゅうのう。
 維罍之恥 (維(こ)れ罍(らい)の恥。 )


 ひとりぼっちで生きてくぐらいじゃったら、
 鮮民之生 (鮮民(せんみん)の生くるは、 )


 死んでしもうた方がましじゃあ。
 不如死之久矣 (死の久しきに如(し)かず。 )


 とうちゃんがおらんかったら、何を頼りにしていけばええんじゃ。
 無父何怙 (父無くば 何をか怙(たの)まん、 )


 かあちゃんがおらんかったら、何を恃りにしていけばええんじゃ。
 無母何恃 (母無くば 何をか恃(たの)まん。 )


 外へ出てみても、悲しいばかりじゃし、
 出則銜恤 (出でては則ち恤(うれい)を銜(ふく)み、 )


 うちに帰ってみても、どうにもならん。
 入則靡至 (入りては則ち至る靡(な)し。 )



 とうちゃんがわしに生を与え、
 父兮生我 (父や 我を生み、 )


 かあちゃんがわしを育てた。
 母兮鞠我 (母や 我を鞠(やしな)う。 )


 わしをなでて、わしを養い、
 拊我畜我 (我を拊(な)で 我を畜(やしな)い、 )


 わしを大事にし、わしを育て、
 長我育我 (我を長じ 我を育(そだ)て、 )


 わしを顧み、わしを守り、
 顧我復我 (我を顧み 我を復(まも)り、 )


 うちを出るときにも、帰るときにも、わしを腹に抱えておった。
 出入腹我 (出入に我を腹(いだ)く。 )


 わしゃこの恩に報いたいのじゃが、
 欲報之徳 (之れが徳に報いんと欲するも、 )


 親の徳は、天よりも高いのじゃ。
 昊天罔極 (昊天 極まり罔(な)し。 )



 南山はえらい寒いど。
 南山烈烈 (南山 烈烈たり、 )


 ぶちすごい風が吹きよるわ。
 飄風發發 ( 飄風 發發たり。 )


 みんな、仲良う暮らしとるっちゅうのに、
 民莫不穀 (民 穀(よ)からざるは莫(な)きに、 )


 なんで、わしだけ、ひとりぼっちなんじゃあ。
 我獨何害 (我れ獨(ひと)り何ぞ害える。 )



 南山はえらい寒いど。
 南山律律 (南山 律律たり、 )


 ぶちすごい風が吹きよるわ。
 飄風弗弗 (飄風 弗弗たり。 )


 みんな、仲良う暮らしとるっちゅうのに、
 民莫不穀 (民 穀(よ)からざるは莫(な)きに、 )


 なんで、わしだけ、親孝行出来んのじゃあ。
 我獨不卒 (我獨(ひと)り卒えず。 )






2007-08-25 21:32:51
【広島漢詩】還甲宴(ファンガプヨン) 金笠(キム・サッカッ)


そこに坐っとる爺さん、あら人間かいの。


天から降ってきた仙人じゃあなかろうか。


その仙人にゃあ7人の子がおるんじゃが、こがあなんらが皆盗人でのう。


揃いも揃うて碧桃盗んできてから、皆爺さんに差し出したわ。還暦の祝いじゃと。



彼坐老人不似人


疑是天上降真仙


其中七子皆為盗


偸得碧桃献寿筵



還甲・・・干支が一巡して61歳を迎えること。朝鮮では、昔から子が両親の還暦を盛大に祝う習慣がある。

碧桃・・・王桃、天桃ともいう。昔、中国では桃の若木が初めて結んだ実を碧桃といって不老長寿の霊果として珍重した。子が親のためにこれを食べさせるのが最大の孝養とされた。

(金笠詩選より)






2007-08-28 21:26:23
【広島漢詩】輓詞 友を追悼する歌 金笠(キム・サッカッ)


わが友よ。あんたが生きとった頃、わしらあ、よいよ双子みとうなもんじゃった。


ほいじゃが、あんたが死んでしもうたもんじゃけん、わしゃ独りぼっちになってしもうたわ。


あんたあ、わしもあんたのところに連れ去ってくれんかいのう。


地の底でまた双子になれることを願うとるよ。



同知生前双同知


同知死後独同知


同知捉去此同知


地下願作双同知



別訳:


わが友よ。われが生きとった頃、わしらあ、よいよ双子みとうなもんじゃったのう。


ほいじゃが、われが死んでしもうたもんじゃけん、わしゃ独りぼっちになってしもうたじゃなあか。


わしもわれんところに連れ去ったれよ。


地の底でもまた双子じゃあ。わしゃあ、そう願うとるよ。






2007-08-28 21:54:04
【広島漢詩】艱貧 金笠(キム・サッカッ)


この世に仙人はおるんじゃが、富める者のことしか見とらんわ。


人間に罪があるんじゃのうて、貧しさに罪があるんじゃ。


貴賎は生まれで決まる、なんて言いんさんなや。


貧しい者が貴くなり、富める者が卑しうなることもあるんじゃけんのう。



地上有仙仙見富


人間無罪罪有貧


莫道貧富別有種


貧者還富富還貧



別訳:


この世には仙人がおるんど。わしには富める者はみな仙人に見えるわ。


人間に罪があるんじゃないんじゃ。貧しさに罪があるんじゃ。


貧富の差は種で決まる、なんちゅうて言うもんじゃなあど。


貧しい者が豊かになり、富める者が貧しうなることもあるんど。






2007-08-17 20:51:10
【広島詩集】寝んさい、アイリーン。


寝んさい、アイリーン。
"Goodnight, Irene"




アイリーン、寝んさい。アイリーン、寝んさい。
Irene, goodnight, Irene, goodnight,


寝んさい、アイリーン。寝んさい、アイリーン。
Goodnight, Irene, goodnight, Irene,


わしゃ夢であんたと一緒になるわ。
I'll get you in my dreams


わしゃあんたのかあちゃんに言うたんじゃ、あんたをくれっちゅうて。
I asked your mother for you


(かあちゃん、なんて言うたんかいね?)
(What'd she tell him?)


あんたのかあちゃんはわしに言うたんじゃ、なんぼなんでもあんたら若すぎるわいね。
She told me that you was too young


(あの子は18歳じゃね。)
(She's 18 years old)


わしゃあんたに出会わんかったらよかったわ。
I wish the lord that I'd never seen your face


あんたあ、なんで、この世に生まれてきたんじゃ。
I'm sorry you ever was born


(よっぽどショックじゃったんじゃね。)
(It broke his heart!)


アイリーン、寝んさい。アイリーン、寝んさい。
Irene, goodnight, Irene, goodnight,


寝んさい、アイリーン。寝んさい、アイリーン。
Goodnight, Irene, goodnight, Irene,


わしゃ夢であんたと一緒になるわ。
I'll get you in my dreams


ときどき、わしゃ田舎に住む。
Sometimes I live in the country,


ときどき、わしゃ都会に住む。
Sometimes I live in town,


ときどき、わしゃ大それたことを考えるんじゃ。
Sometimes I have a great notion;


河に飛び込んで、死んだろかっちゅうてのう。
Jumpin' in into the river and drown


アイリーン、寝んさい。アイリーン、寝んさい。
Irene, goodnight, Irene, goodnight,


寝んさい、アイリーン。寝んさい、アイリーン。
Goodnight, Irene, goodnight, Irene,


わしゃ夢であんたと一緒になるわ。
I'll get you in my dreams


ぶらぶらするんは、もうやめんさい。ほいから、ギャンブルもやめんさい。
Stop ramblin', and stop gamblin',


夜遅うまでおっちゃいけんわ。
Quit stayin' out late at night


(あんたあ、どうするん?)
(What are ya gonna do?)


家に帰りんさい、あんたの奥さんと家族が待っとろうが。
Go home to your wife and your family


(そこがあんたのおるべきところじゃね。)
(Where you oughta be,)


ほいで、暖かい暖炉の側に座りんさい。
And sit down out by the fireside bright


(ほいで、みんなに夜が訪れるんじゃね。)
(And people come at night)


アイリーン、寝んさい。アイリーン、寝んさい。
Irene, goodnight, Irene, goodnight,


寝んさい、アイリーン。寝んさい、アイリーン。
Goodnight, Irene, goodnight, Irene,


わしゃ夢であんたと一緒になるわ。
I'll get you in my dreams


わしゃアイリーンを愛しとる。神様だってご存知じゃ。
I love Irene, god knows I do


(遅すぎるわあ。)
(Too late)


わしゃ海の水が枯れてしまうまで、あの子を愛し続けるわ。
Love her until the sea run dry


もし、アイリーンがわしに背を向けてしもうたら、
If Irene turns her back on me


(どうするん?)
(Whatcha gonna do?)


わしゃモルヒネ打って、死んだるわ。
I'm gonna take a morphine and die


(ほしたら、あの子は言うたんよ。「やってみんさい!自殺してみんさい!」)
(She said, "go ahead and kill yourself then!")


アイリーン、寝んさい。アイリーン、寝んさい。
Irene, goodnight, Irene, goodnight,


寝んさい、アイリーン。寝んさい、アイリーン。
Goodnight, Irene, goodnight, Irene,


わしゃ夢であんたと一緒になるわ。
I'll get you in my dreams



Word by Huddie Leadbetter & John Lomax

Translated by toraji.com.






2007-07-11 23:43:44
【広島詩集】チャダーエフに


愛じゃろうが、望みじゃろうが、静かな栄光の偽りじゃろうが、


そがあなもんは、いつまでもわしらを慰めはせんかった。



夢みとうに、朝の狭霧みとうに、


儚く消えてしもうた、わしらの青春の喜びよ。


ほいじゃが、まだ、わしらの胸には望みが燃えとる。



どうもならん権力、押しつけられて、


いらいらする思い、抱えてから、


わしら、祖国の呼びかけを聞くんじゃ。



いうたら、恋する若もんが、


楽しい逢瀬を待っとるように、


わしら、望みに疲れ果てたまま、


清らかな自由のときを待っとるんじゃ。



わしらの胸に自由が燃え立ち、


わしらの心が誉に生きとるうちは、



友よ。 祖国に捧げよう、


わしらのこの若い魂を。


この美しいほとばしりを。



友よ。 信じるんじゃ、


いつか、ほんまに幸せの


星の輝き上ることを。



ほいでロシヤは夢から目覚め、


ぶち壊された専制政治の瓦礫の上に、


わしらの名前が刻まれることを。



「チャダーエフに」 アレクサンドル・プーシキン
(金子幸彦訳からの孫訳)






2007-07-18 22:06:24
【広島詩集】わしはあんたが好きじゃった


わしはあんたが好きじゃった。


恋はまだわしの心のおくで消えはててはおらんのじゃろう。


ほいじゃがわしは願うわ それがもうあんたの胸をかき乱さんようにの。


わしは どがあなことじゃろうと あんたを悲しませとうないんじゃ。



わしはあんたが好きじゃった。


ものおじばっかりしてから 疑うてはもだえてから


言葉もなあ 望みもなあ ほんまの気持ち やさしい心でからの。


いまわしは祈っとるよ。あんたがほかのもんからそがあな心で愛されとることを。



「わしはあんたが好きじゃった」(1829年) アレクサンドル・プーシキン
(金子幸彦訳からの孫訳)