そこに坐っとる爺さん、あら人間かいの。


天から降ってきた仙人じゃあなかろうか。


その仙人にゃあ7人の子がおるんじゃが、こがあなんらが皆盗人でのう。


揃いも揃うて碧桃盗んできてから、皆爺さんに差し出したわ。還暦の祝いじゃと。



彼坐老人不似人


疑是天上降真仙


其中七子皆為盗


偸得碧桃献寿筵



金笠(キム・サッカッ) 1807年(純祖7年)-1863年(哲宗14年)
朝鮮の放浪詩人。老人の還暦祝いに詠んだ詩。


還甲・・・干支が一巡して61歳を迎えること。朝鮮では、昔から子が両親の還暦を盛大に祝う習慣がある。

碧桃・・・王桃、天桃ともいう。昔、中国では桃の若木が初めて結んだ実を碧桃といって不老長寿の霊果として珍重した。子が親のためにこれを食べさせるのが最大の孝養とされた。

(金笠詩選より)


「金笠詩集」 李応洙編 1939年 京城、学芸社
大増補版「金笠詩集」 李応洙編 1941年 漢城図書
「金笠詩選」 崔碩義編訳注 2003年 平凡社(東洋文庫 714)



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