『そろそろ来ると思っていたよ。トモくん。
占い師の都合で判断するのは止めた。
ケイが弱っている。
たった一人の家族を魔物に連れていかれたその心の傷は大きい。
君に協力を仰ぎたい。』
〈分かっています。
占い師に私の過去を今すぐに暴き出してもらってください。
私が魔物でない証拠が欲しいんです。
自分が何者かを知らなければいけないんです。
いつまでも知らないという事を
“甘え”に変えていては、前に進めません。
私が躊躇している間に、たくさんの人の心に悲しみの雨を降らせてしまいました。
きちんとお詫びしたい所ですが、この私が誰か知り得てからにします。〉
タク様は静かに
私の話を聞いていたが、
おもむろに立ち上がると
『…君に大きなことを
背負わせてしまって、すまない。』
と深々と頭を下げた。
私は慌てて
〈これは私の中の問題です。
初めから具体化しなければならなかったことで、
タク様のせいでも、誰のせいでもありません。〉
タク様は、すぐに
占い師を招いてくれた。
きっとタク様は、
私の気持ちが乗るまで
待っていてくれていたのだろう。
主様からの願いとなれば、
人気の占い師だとしても
飛んでやってくるに違いない。
実際、今タク様とお話して
1時間もしないうちに
占い師はこのお城へ
到着されたのだから。
タク様からの最大の恩恵に、
私の胸は張り裂けそうになった。
そして、
自分の甘さ、緩さに腹が立った。
ここで、仲間を作り、
人間ぶいた生活をしている場合ではなかった。
この世でなにか
不吉な事が起きている。
そのきっかけや、
あるいは答えが
この身体に潜んでいるなら
早く知り得るべきだった。
きっと私は弱いのだろうと、
自分で自分の精神を悟った。
魔物に近づくことができたのは、
自分の内なる力を知っていたから。
もしかしたら、
身体に染みついた魔術が
私に信号を送っていたのかもしれない。
魔物と呼ばれる彼らと、
もし自分が近い関係なら
私も恐れられなければならない存在で。
「勇敢な魔法使い」
などと勇者を気取っている場合ではなかったのだ。