デイでは色々なボランティアの方々が来てくださっています。

ハーモニカ演奏。

三味線演奏。

色々な楽器と歌の方。

落語やマジックを披露してくださるかた。

フラメンコの教室の方たち。

詩吟クラブの方。


多種多彩な分野に渡り、利用者さんたちを楽しませて頂いています。


利用者さんたちの年代で懐かしい歌をたくさん

演奏したり歌ったりしてくださるのですが

やはり皆さん、本当に懐かしんで一緒に歌われます。


歌と共に、その当時の心境や様子が鮮やかに蘇るんですね。

思い出深い一曲だったりすると、

「これ、私が21歳のときによく歌った曲やねんよ!」って

嬉しそうに教えてくれたり

「この曲が流行ってた時はなあ、終戦直後で・・・」と

時代背景をいろいろ話してくださるのです。


色々な曲に皆さんそれぞれの特別な気持ちや思いを

持っておられるのを感じ取ることができます。


炭坑節を聞くと必ず涙する男性のKさんだったり

普段、感情を出さない方でも歌を聞くと一緒に歌ったり

表情がかなり違ってきたりします。


歌の力ってすごいなと改めて感じます。


特に、利用者さんたちの世代は電話やメールもなく

コミュニケーションツールは限られていました。


今はメールでも、PCでも、携帯でもどんなものからでも

情報を入手できるし、発信もできます。

物や情報があふれている時代。


伝えたい相手にはすぐに伝えられるし

自分の感情を我慢しなくてもいいですよね。


でもそんな手段がなかった時代のときの歌って

歌詞がストレートで、メロディーも覚えやすく

色々な方にとっての楽しみだったんだろうなと思いました。


その歌ごとにきっと、そのときの辛い気持ちや状況や

嬉しいとき、楽しいときの思い出がぎゅっと詰まっている感じが

ものすごく伝わってきます。


今みたいに自由に恋愛できない時代。

親が決めた人と結婚しなければいけなかった時代に

本当は好きな人がいたんだよって教えてくれたTさん。

そんな気持ちを代弁するかのようなラブソングに

涙して歌っていたこと。


もちろん今だっていい曲はたくさんあるし、皆それぞれに

思い出の曲はたくさんあるはずですが

今のように何でも手に入る時代じゃないときのほうが

歌にこめる思いや願い、気持ちが強かったんじゃないかな?って

思ったりもします。


今日も別れの歌(題名を忘れた・・・)を聞いて涙する利用者さんを見て

改めて、歌の力、音楽ってすごいなあと感じたあたしなのでした。



デイの出勤日のうち、週二回は認知症専門の二階担当をしているあたし。


そのなかでも木曜日はもっとも好きな曜日。


というのも利用者さんのメンツがみんな超個性的。

かつ、超陽気。


そしてタッグを組むもう一人のスタッフも超陽気。


とにかくいつも大きな声で楽しそうに笑うOさん(女性80歳)。

彼女はラルクが大好きで、ハイドの大ファン。

ラルクの話をうっかりすると、興奮して話が止まりません(笑)


わっははー。と徳島の方言丸出しで豪快な話口調のSさん(女性86歳)

彼女は8年間旦那さんの介護に尽くして生きてきた人。

三分に一回の吸引がとっても大変だったこと、農家として一生懸命に

お仕事をしてきたごっつい手を見せながら

「あんたらみたいな細い形のええ手じゃなくてごっつくて不細工な手じゃろ」

といつも言われてます。


とんでもない。

すべてを任せても安心感のあるお母さんみたいな存在で

立派に仕事をしてきたかっこいい手なのです。


そんな方たちのいる木曜。

最近のブームは、マジンガーZの歌を歌うごっこ。


きっかけはスタッフMちゃんが始めた鼻歌から。

作業途中の紙が違う形に変わっていたのを見つけ


「だれだ♪だれだ♪だれっだ~~~~♪」


そのフレーズをすっかり気に入った利用者さん。

Mちゃんと共に声を揃えて歌いだします。


「だれだ♪だれだ♪だれっだ~~~~♪」


とにかくそのワンフレーズがお気に入り。


そのうち、そのフレーズを歌いたいがために口実を探します。


誰のかわからないタオルが机にあったりなんかすると、もう。


「このタオル、だれ?」


このひとことが引き金。


次に口々に「誰?」

「誰?」


を連呼した後、


見事なまでに声を揃えて


「だれだ♪だれだ♪だれっだ~~~~♪」


そして大爆笑。

お腹が痛くなるぐらい笑います。


ああ。平和だ。


なんてうかれ曜日なんだろう。


いっつもそんなことを思いながら過ごす木曜日なのです。


ところが、認知症の利用者さん。

先週あれだけ盛り上がったというのに、次の週にはみんな

無反応だったり(笑)


なのでまた違う遊びを見つけてブームが去るのでした。


次のブームは何なんでしょうか・・・・。

密かに楽しみなあたしなのでした。





昨日、大阪十三の第七藝術劇場で

介護のドキュメンタリー映画の「ただいま、それぞれの居場所」

を観てきました。


くわしくはコチラダウン

http://www.tadaima2010.com/intro.html


この日は、監督であり大宮浩一さんの舞台挨拶があり

撮影中の出来事、スタッフのこと、そして自身のお父さんが

撮影終了後に要介護5状態になられたことなど、

色々お話してくださいました。


ちゃんと監督をみてお話を聞きたかったのですが、

なんせ、最後は号泣してしまったため、目が真っ赤。

涙がとまらなくって、鼻水もずるずる(笑)


監督は目の前にいてそちらを向きたいのだけど

涙が。。。。あせる


まだ上映中のため、中身は詳しくは割愛させてもらいますが

介護にたずさわる方なら、ぜひ観て欲しい映画だと思いました。


あたし自身、介護保険サービス適用でのデイサービス勤務で

それが当たり前だと思って仕事をしていました。


でも、その枠組みから外れてしまうひと、施設という団体に

受け入れてもらえない方がいる現実。


この映画はその社会から見えない盲点にスポットライトを当てて

3Kと言われる介護のお仕事だけでなく、さまざまな人間模様を

描いていました。


どれだけ、その人らしく生きられるか。

最後までその人の人生を尊重して、人間としての

生き方を支援できるように、映画に登場する施設での

さまざまな現場にたくさんの共感と涙がありました。


介護といえばイコール高齢者と見られがちですが

若くても、脳梗塞や心疾患から障害者という立場になって

介護が必要な人もいるわけです。


この映画は老人だけでなく、障害者の立場からの介護の視点も

取り入れていて、デイに来られていた方と姿が重なり

最後は本当に号泣してしまいました。


普段は表情を出さない男性が娘さんの姿を見つけた瞬間の

それはそれは嬉しそうな笑顔にもう涙腺が切れました。


本当にたくさんのことを考えさせられるとともに

こういう視点で映画を撮られた監督にも尊敬の念でいっぱいです。


明日、職場でもみんなに観てみて!って

勧めようと思いました。


介護職の方ならぜひ、見てほしい映画です。