tony's jazz house

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tony's jazz houseへようこそ。TONYが個人的好みと独断で毎月CDのDISC REVIEWをお送りするブログです。

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Impulse!/00602567639251/Recorded Mar.6,1963

Personnel:John Coltrane(ts,ss),McCoy Tyner(p except2&5),Jimmy Garrison(b),Elvin Jones(ds)

全7曲/47分08秒/★★★★★

今年6月、”コルトレーンの未発表音源が発売される”というニュースが駆け抜けた。6月9日付け朝日新聞によると「2005年最初の妻(*ということはNaima)の娘の元にコルトレーンが持ち帰ったらしい予備テープ4本が残っていることがわかり、発売に向け長年調整が続いていた」ということである。時は1963年3月6日でスタジオ・セッション録音。この前のセッションが「バラード」(1962年11月13日)で、なんと「ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン」録音の前日という”謎のベールに包まれたセッション”(ジャズ批評No.57コルトレーン全セッション)と言われていたもの。インパルス時代の黄金のカルテットで、ジャズ・ファンには興味は尽きないアルバムのリリースです。

1."Untitled original 11383"(J.Coltrane)5'41"

コルトレーンのソプラノで始まる。J.ギャリソンのベース、E.ジョーンズのシンバルが響く中、コルトレーンのソロが舞う。ソプラノで突っ走るコルトレーンらしい一曲。

2."Nature boy"(E.Ahbez)3'23"

マッコイが抜けたトリオ演奏で、後に1965年2月録音「The John Coltrane Quartet Plays」に入っていた”ネイチャー・ボーイ”。テナーの音、一発に観るコルトレーンの世界。

3."Untitled original 11386"(J.Coltrane)8'38"

コルトレーン がソプラノを吹くアンタイトルド・オリジナル。バックで叩くエルビンのドラムスが光る。マッコイのソロに、J.ギャリソンのソロ。コルトレーン ・カルテット充実の一曲。

4."Vilia"(F.Lehar)5'32"

コルトレーン が4拍子をストレートに吹く、テナーが気持ちの良い一曲。

5."Impressions"(J.Coltrane)4'30"

コルトレーン のテナーが伸びやかにテーマを吹くお馴染みの”インプレッションズ”。ここではマッコイを除いたトリオ。コルトレーンは奔放に吹きまくり、4分30秒が短く感じられる。

6."Slow blues"(J.Coltrane)11'25"

7."One up,One down"(J.Coltrane)7'58"

後に1965年3月ハーフ・ノートのライブ録音が出た”ワン・アップ、ワン・ダウン”。ハーフ・ノートでは27分超と長過ぎたが、約8分に凝縮された、これぞコルトレーン・カルテット。

スタジオ録音だけに音も良く、没後51年目に、予期せぬ賜り物であった。

 

Blue Note/6747897/Recorded Mar.19&20,2017

Personnel:Kenny Barron(p),Kiyoshi Kitagawa(b),Johnathan Blake(ds),Mike Rodriguez(tp,flh),Dayna Stephens(sax)

全11曲/66分22秒/★★★★

2014年10月のレビューで「The Art of Conversation」(D.Hollandとのデュオ)をご紹介した、今や大御所とも言えるケニー・バロンの2017年3月、73才での録音のニュー・アルバムです。顔ぶれは、K.バロン・トリオから1958年大阪生まれ、小曽根真の1987年録音「The Trio」が光るベースの北川潔、1976年生まれのジョナサン・ブレイクのドラムス。フロント陣は、2015年5月のレビューで「Peace」をご紹介した1978年生まれ、サックスのデイナ・ステファンズに、秋吉敏子Jazz Orchestraのメンバーでもあった1979年生まれ、トランペットのマイク・ロドリゲスというクインテットです。

1."DPW"(K.Barron)4'51"

K.バロンのアップ・テンポの曲で始まる。ウオーキング・ベースに2管がハモる。バックを務めるJ.ブレイクのドラムスが効いている。K.バロンのソロは快活で気持ちの良いスタート曲。

2."Concentric Circles"(K.Barron)7'26"

3."Blue waters"(K.Barron)5'39"

4."A short journey"(K.Barron)5'28"

5."Aquele Frevo Axe"(C.Veloso)8'15"

K.バロンのピアノのイントロで始まるボサノバの綺麗な曲。K.バロンのピアノは綺麗な音で軽やかなソロ。D.ステファンズのサックス、M.ロドリゲスのフリューゲル・ホルンも柔らかい。

6."Von Hangman"(K.Barron)4'43"

7."In the dark"(K.Barron)7'00"

8."Balle"(K.Barron)5'16"

テーマを2管でハモるラテンの香りのする明るい4拍子。D.ステファンズのサックス、M.ロドリゲスのトランペットが明るくソロを交わす。K.バロンのソロもラテン・テイストで楽しい。

9."L's Bop"(L.White)5'54"

レニー・ホワイトが書いたバップの曲。2巻がハモった後、M.ロドリゲスのトランペット、D.ステファンズのサックスがアップ・テンポを吹きまくる。

10."I'm just sayin'"(K.Barron)6'51"

11."Reflections"(T.Monk)4'44"

K.バロンのソロで、モンクの”リフレクションズ”。1分30秒からのシングルトーンが綺麗。

モンクを弾くことによって、ピアニストとしての誇りと喜びを表現したケニー・バロンでした。

 

Jazzman Records/JMANCD 093/Recorded Jul.23,1968

Personnel:Winston "MANKUNKU" Ngozi(ts),Lionel Pillay(p),Agrippa Magwaza(b),Early Mabuza(ds)

全4曲/32分57秒/★★★★★

南アフリカ、ナンバーワン・テナーサックス奏者、ウィンストン・マンクンク・ンゴズィ(1943年南アフリカ、ケープタウン近郊リトリート生まれ)の、1968年録音のアルバムです。ライナーノーツに、アルバム・タイトルの「Yakhal' Inkomo」とは、”屠殺場での畜牛の叫び声”のことと書かれている。一方、録音された1968年に目を向けてみると、前年の1967年にジョン・コルトレーン が亡くなり、1968年にローランド・カークの「溢れ出る涙」(原題「The Inflated Tear」)が録音されている。(音楽ではないけれど、キング牧師が狙撃され死亡)。翌1969年には、同じ南アフリカ・ケープタウン出身ダラー・ブランドの「African Piano」が録音され、話題を呼んだ。こういう年代にあって、ライナーノーツに”マンクンク・ンゴズィから放たれるサックスのブローは、彼の叫びである”と書かれているこのアルバム。聴いて下さい。

1."Yakuhal' Inkomo"(W.Ngozi)8'55"

シンプルなベース、ドラムスで、マンクンクがテーマを吹く。ソロに入ってのテナーは、彼が見た南アフリカの土人の村落での恐怖に慄く牛の呻き声を絞り出している。ライオネル・ピレイのシングルトーンも鎮魂のピアノである。

2."Dedication(to Daddy Trane and Brother Shorter)"(W.Ngozi)10'15"

マンクンクのオリジナルで、”父なるトレーンと兄ショーターに捧ぐ”で、いい曲。確かにマンクンクのテナーは、コルトレーンを思わせ、ベースをバックにブロウするソロは一級品。

3."Doodlin' "(H.Silver)6'07"

H・シルバーの”ドゥードゥリン”。ミディアム・テンポの4ビートのベースをバックに、マンクンクのソロはちょっとフリーで、L・ピレイのソロはちょっとファンキー。

4."Bessie's Blues"(J.Coltrane)7'38"

コルトレーン の1964年録音「Crescent」に入っていた”ベッシーズ・ブルース”。マンクンクが吹きならす縦横無尽のソロ。充実した一曲で締めくくってくれました。

1900年前後にニューオリンズで、ブラスバンド(黒人楽隊)から始まったと言われるジャズ。1956年録音チャールス・ミンガスの「直立猿人」、1960年録音マックス・ローチの「We Insist!」を経て、1968年南アフリカでマンクンクのこのアルバムがあった。M・ローチの『地上に存在する地獄を、黒人は美へと昇華させ芸術的貢献であるジャズをもたらしたのである』という名言がある。そして今、アメリカ、欧州、日本、全世界で、我々はジャズという芸術を手にしている。