北野隆一の「朝日新聞の慰安婦報道と裁判」を読んだ! | とんとん・にっき

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北野隆一の「朝日新聞の慰安婦報道と裁判」(朝日新聞出版:2020年8月25日第1刷発行)を読みました。

 

発端は、8月15日の友人からのメールです。北野隆一さん(朝日新聞編集委員)の新刊が出ましたというメール。すぐに購入しましたがなかなか読み進めることができず、ブログに載せるまで、1か月以上かかってしまいました。

 

以下、ご本人のメールで紹介します。

 

8月上旬に単著として『朝日新聞の慰安婦報道と裁判』(朝日新聞出版、朝日選書)という本を出版したので、そのご案内を申し上げます。

朝日新聞は2014年8月、過去の慰安婦報道を検証した特集記事「慰安婦問題を考える」を掲載。朝鮮人女性を慰安婦にするため強制連行したとする吉田清治氏の証言を「虚偽」と判断し、記事を取り消しました。しかし謝罪が遅れたことなどから強い批判が起こり、翌2015年には朝日新聞社に対する集団訴訟が右派3グループから相次いで提起されました。

著者は2014年の特集記事の取材班に参加し、その後も慰安婦問題の取材を続けています。本書では朝日新聞の報道と、保守・右派の批判を訴訟の経過に沿って詳述。双方の主張と裁判で示された判断を並べて記し、「第三者委員会報告書」や「米国での慰安婦像撤去訴訟」「植村隆・元朝日新聞記者の訴訟」についても詳報しました。

本文に800個以上の注をつけ、典拠となる書籍の掲載ページやネット上の動画URLなどを明示。勘違いや誤記とみられる発言や記述について、原資料にあたってファクトチェックした結果も、注で説明しました。慰安婦問題に関心を持つ方々が問題を調べる手がかりになるような「読める資料集」をめざしました。552ページ、税込2090円(税別1900円)。

 

内容:
朝日新聞を相手に起きた「三つの訴訟」や、「慰安婦像撤去訴訟」「植村隆氏の訴訟」「第三者委員会報告書」…。2014年8月の朝日新聞・慰安婦問題検証記事の執筆に参加し、一連の訴訟や保守・右派の動きも徹底取材してきた記者による克明な記録。慰安婦問題の本質とは何か―。

 

出版社からのコメント:
2015年1月から2月にかけて、朝日新聞社に対する集団訴訟が右派3グループから相次いで起こされた。
きっかけは2014年8月5、6日に掲載された「慰安婦問題を考える」と題した特集記事。
戦時中の朝鮮・済州島で、女性を慰安婦にするため強制連行したとする吉田清治氏(故人)の証言を「虚偽」と判断し、記事を取り消したことで、批判が高まった。
14年8月の特集記事の取材班に参加し、その後も慰安婦問題の取材を続ける記者が、朝日新聞の報道と、これに対する保守・右派の批判を訴訟の経過に沿う形で記していく。
さらに、社外有識者による「第三者委員会報告書」や「米国での慰安婦像撤去訴訟」「植村隆・元朝日新聞記者の訴訟」についても詳報。朝日新聞の慰安婦報道が日韓関係や国際社会に与えた影響とは。
そして戦後75年を経てもなお、置き去りにされる慰安婦問題の本質とは。
克明な記録をもとに徹底検証する。

 

過去にこのブログで書いた朝日新聞北野隆一に関する記事です。

「天皇が自ら動くとき」、A新聞編集委員K記者に聞く!

 

同僚記者を例に挙げて、私には取材対象の思いを生き生きと描く取材力も、敵対する勢力に命懸けで肉薄する覚悟や胆力も、どちらもない、と自らを謙遜しています。

私は朝日新聞の記者になってから「だれかがやらなければならないが、朝日の社内では手を挙げる人があまりいない」テーマのおはちが回 くることが何度かあった。一つは拉致問題、一つは慰安婦問題。どちらも保守・右派から朝日新聞が厳しく批判されることが多いテーマです。と、「おわりに」で書いています。

 

天皇の「皇統の継承」問題に次いで、9月21日の顔写真と署名入りの朝日の記事、「朝鮮人虐殺」です。いやはや、大変な問題ばかり担当しているようです。

朝日新聞:2020年9月21日


目次
第1章 慰安婦問題とは
第2章 問題のこれまで
第3章 保守・右派の台頭
第4章 二〇一四年検証記事
第5章 「慰安婦問題を考える」
第6章 保守・右派の提訴
第7章 「朝日新聞を糺す国民会議」の訴訟
第8章 「朝日新聞を正す会」の訴訟
第9章 「朝日・グレンデール訴訟」
第10章 米国での慰安婦像撤去訴訟
第11章 植村隆・元朝日新聞記者の訴訟
第12章 訴訟後も続く運動

 

北野隆一:

1967年岐阜県高山市生まれ。90年東京大学法学部卒業、朝日新聞社入社。新潟、延岡、北九州、熊本をへて東京社 会部次長を務め、2014年から編集委員。皇室、北朝鮮拉致問題、部落問題、ハンセン病、水俣病などを取材。

単著に「プレイバック『東大紛争』」。共著に「フェイクと憎悪 歪むメディアと民主主義」、「祈りの旅 天皇皇后、被災地への想い」、「徹底検証 日本の右傾化」、「事件の取材と報道2012」、「東アジア 新時代の海図を読む」、「脱常識の部落問題」、「戦後誌 光と影の記憶」、「九州山地に生きる」など。

 

朝日選書998

「朝日新聞の慰安婦報道と裁判」

2020年8月25日第1刷発行

著者:北野隆一

発行所:朝日新聞出版